「ビブラート・ユニット」の版間の差分

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シンクロナイズド・トレモロなどに比べアーミング操作が非常に軽いのが大きな特徴であり、繊細なビブラート効果を得やすい。またアームの動きが柔らかいため、クリケット奏法(アームを叩くなどして微振動を起こし独特のサウンドを得る)にも向いている。ブリッジとテールピースの距離が長いため、その部分の弦を弾く奏法(ブリッジ外奏法)も行いやすい。
 
フェンダーが1964年に発売した[[フェンダー・ムスタング|ムスタング]]の[[ダイナミック・ビブラート]]は、シンクロナイズド・フローティング・トレモロの発展型と言える。ただし、ジャズマスターの押しバネに対し、ムスタングの場合は二本の引きバネによって弦のテンションを支えるという点の違いがある。また音程変化量がジャズマスターより若干大きい。1967年に発売したテレキャスター専用ビグスビー・トレモロ・ユニットのブリッジアッセンブリにも、フローティング・トレモロと同様の機構が盛り込まれている。
 
フェンダーは「ストラトキャスターのシンクロナイズド・トレモロよりチューニングの安定度が高い」と優位性を主張し、'60年代前半の[[サーフミュージック]]全盛期には高い人気を誇った。しかし音程の可変幅がシンクロナイズド・トレモロより小さく、ブリッジ位置が安定しないため実際にはチューニングが狂いやすい。ブリッジとテイルピースの距離が長いため、現在主流の細いゲージの弦を張り激しく演奏すると弦落ち(弦がブリッジから外れる)を起こしやすい。フローティング・ブリッジはボディ側に点で接触しており、弦振動がボディに伝わりにくい(アンカーからもある程度は伝わる)。こういった欠点がクローズアップされ、ディストーションサウンド(歪んだ大音量サウンド)を多用する'60年代後半以降の[[ロック]]ミュージック勃興期には人気が低下した。その為「チューン・O・マチック」ブリッジに交換するギタリストも多く存在していた。1981年にジャズマスターの生産が終了すると共にフェンダーのカタログから消えたが、後にジャズマスターやジャガーのリイシュー(再生産)モデルが登場し、それに伴ってフローティング・トレモロも復活している。
 
50年代のモデルではシンクロナイズドの綴りに誤りがある。
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テールピースの弦を通す穴の位置(高さ)が弦によって変えられており、ピッチ変化量が各弦で一定になるよう配慮されている。つまりアーミングしても和音があまり崩れない(他のビブラートユニットは和音が崩れる)。これは後の[[スタインバーガー]]・[[トランストレム]]の思想と一致する。ピッチの可変量を調整する機構も考案され、[[パテント]]を取得していたが、機構が複雑化する欠点があったため、採用は見送られている。ネッド・スタインバーガー(スタインバーガーの創立者)は、ビブラミュートがトランストレムと同様の思想で作られていた事を後年になってから知り、非常に驚いたと語っている(「ギターマガジン」誌のインタビュー)。
 
モズライトの1966年製品からは、[[亜鉛合金]]製のモズレーユニット(モズレーアーム)に置き換えられた([[セミアコースティック]]ギター用のブリッジサドルとアーム取り付け部分が分割したセパレートタイプも新たに登場する)。ビブラミュートよりも若干トレブリーで[[サスティン]]が短めな音質となる。
 
==フロイド・ローズ==
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最大の特徴は、各弦のチューニングを相対的に保ったままアーミングをすることが可能という点である<ref>他のビブラート・ユニットは全て、アーム操作時にそれぞれの弦の音程変化量が異なる為、和音を鳴らした状態でアーム操作を行うと、和音が崩れるという欠点があった。一方、トランストレムは和声関係を保ったまま連続的に音高を変化させることが可能であった。</ref>。
 
さらにトランストレムならではの機能として、和音の平行移動を利用したチューニングのロック機能がある。アーム基部に階段状のノッチを刻んだロックピンがあり、レギュラチューニングのマル状態からダウン3段、アップ2段での固定が出来る。これによって、わざわざチューニングし直すことなく、アームの操作だけで一音下げチューニングなどの変更が簡単に出来る。但しこの機能を使う為には、トランストレム専用のダブルボール弦が必要となる(通常のギター弦を使用できる別売りのストリングアダプターを使用すると、トランストレムの動作にバラつきが出て、機能が発揮できない)他、細かいピッチシフトの調整が必要で専用の工具が必要になる等、扱いが煩雑となる弱点がある。トランスポーズ機能のみならず、独特の柔らかく滑らかなアーミング効果を好むギタリストも多い。
 
このトランスポーズ機能を省略したものがSトレムとして発売されていた。ブリッジの固定はアームではなく、ボディ底部のチューニングノブ横にあるレバーを使用して固定する。R-トレムは廉価版に使用されていたが、アーミング時の効果がフロイド・ローズのような鋭い効果が得られる。
 
ギター用以外に、4弦ベース用のトランストレム"ベーストランスポーザー"も存在した。
 
2009年現在は大幅な商品ラインナップの整理が行われ、"ZT-2"に採用された"トランストレム-3"及び、[[韓国]]で生産される入門機種"Spirit"シリーズに採用された"R-トレムTREM"のみ流通している。また現在は現行モデル及び旧生産モデル等、各モデルのスペアパーツの供給が非常に大変困難な状況となっている。
 
トランストレム他一連のスタインバーガーの[[パテント]]を所有する[[ヘッドレスギター]]専用のダブルボール弦は、[[ダダリオ]]や[[ラ・ベラ]]から発売されているが、総じて流通量は少ない。特にラベラの弦はメーカー自体が小規模な為、大量生産が望めず、安定供給が難しくなっている。
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また[[フェンダー (楽器メーカー)|フェンダー・ジャパン]]から発売されていた"Strat"に使用されていた[[フロイド・ローズ]]ライセンスの"スパイダートレモロ"も存在した。
 
長い間市場から姿を消し、ケーラーの機能を模倣しただけの粗悪品が市場に流通してしまう事態を迎えていたが、その後再興し2006年に荒井貿易が代理店となり、ライセンス生産品ではないオリジナル・ケーラーの販売を開始した。
 
ギター用のユニットのみならず、ベース用のトレモロユニットも製造しており、[[ヴィクター・ウッテン]]等ベースソロでそれまでのベースには在り得なかったテクスチャーを加えるベーシストが使用している。近年、5弦ベース、6弦ベースといった[[エレクトリックベース|多弦ベース]]用のトレモロユニットを製品化した。