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'''ゼロデュア'''({{lang|en| (Zerodur}})と) は[[ドイツ]]の[[ショット AG(ガラス製造業)|ショット]]が開発した低膨張<ref>~0.02 x 10<sup>-6</sup>/K at 0-50°C。</ref>の[[光学]][[材料]]である。ゼロデュアは[[ガラスセラミック]]複合素材で[[非晶質]]の基材と結晶質の分散材により構成される。異なる膨張係数を持つ材料を混合することにより、常温付近の膨張率を減らした素材である。
 
== 概要 ==
50nm程度の結晶性ケイ素酸化物70 - 75%を、非晶質酸化ケイ素で包摂した構造をもつ。0 - 50 ℃で0.02 x 10<sup>-6</sup>/Kと熱膨張が極めて小さいため、反射望遠鏡の鏡材や光学原器などに用いられる。白色。
 
製造時の加温セラミック化条件によって熱膨張率は微妙に変化する。また、製造後の熱的条件によっても熱膨張率が変化する。そのため、製造後の使用温度域を考慮してアニーリングを行う必要がある。
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なお、熱膨張曲線はフラットでないため、熱膨張率を考慮した補正がしづらいという欠点がある。このため、溶接によって大型の一枚板を製造することができない。
 
[[超大型望遠鏡VLT]]の鏡材として使用されている。直径8.2m2 m・厚み177.9mm9 mm・アスペクト比64の超大型薄鏡である。製造には溶解に24日・除冷に3 - 4月・セラミゼーション(加温セラミック化)に8月程度が必要とされた。
 
== 特徴 ==
* 熱膨張が事実上ゼロに近い<ref>く、温度変化による変形がほぼないため高精度が保たれる。</ref>。
* 均質である
* 加工性が優れる
* 高精度で研磨できる
* メッキが容易
* ヘリウムを透過しにくい<ref>く、レーザージャイロなどに有効。</ref>。
* 多孔質ではない
* 化学的に安定
* 温度特性がフラットではない
 
== 用途 ==
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# 計測技術: 低膨張率と長期間に渡る安定性により、計測装置の原器の素材として使用される。
 
== ゼロデュアの項目特性 ==
* [[分散 (光学)]]: (nf - nc) = 0.00967
* [[密度]]: 2:2.53 g/cm<sup>3</sup>(25 at 25°C℃)
* [[ヤング率]]: 9:9.1 x 10<sup>9</sup> dynes/mm<sup>2</sup>
* [[ポアソン比]]: 0:0.24
* [[比熱容量]](25 at 25°C: 0℃):0.196 cal/(g*K) = 0.82 J/(g*K)
* [[熱膨張率]](20 (20° to- 300°C) : 0℃):0.05 ± 0.10 x 10<sup>-6</sup>/°C
* 最高耐熱温度::600 600°C
 
== 出典 ==
* [http://www.mellesgriot.com/products/optics/mp_3_6.htm Melles Griot Optics Guide - ZERODUR](ゼロデュアの項目)
* 新版反射望遠鏡光学入門 吉田正太郎 誠文堂新光社 2005
 
== 関連項目 ==
*[[低膨張材料]]
**[[セルビット]] - セラミック系低膨張材。ヘリウムガスを透過するため、レーザージャイロには適さない。
**[[シタール (材料)]] - [[ソビエト連邦]]で開発されていた。
**[[ULE (材料)]] - Ultra Low Expansionの頭文字をとったもの。コーニング社が開発した酸化チタン-酸化ケイ素系ガラス。[[すばる望遠鏡]]にも使用されている。
**[[石英ガラス]]
**[[ボロフロート]](ホウケイ酸ガラス)
 
== 外部リンク ==
* [http://www.schott.com SCHOTT AG ショット社 公式ページ]
* [http://www.schott.com/optics_devices/english/products/zerodur/index.html SCHOTT AG - Schott Optik Zerodur ショット社 ゼロデュア]
 
== 脚注 ==
<references />
 
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