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{{Otheruses|古代の女王|その他|ディド}}
[[Image:Death Dido Cayot Louvre MR1780.jpg|thumb|230px|ディードーの死。[[ルーブル美術館]]]]
'''ディードー'''({{lang|la|Dido}}、{{lang|el|Διδώ}})は、[[ギリシア神話]]・[[ローマ神話]]の中で、[[カルタゴ]]を建国したと伝えられている[[伝説]]上の[[女王]]。[[長母音]]を省略して'''ディド'''、'''ディドー'''とも。元は[[フェニキア]]の[[都市国家]][[テュロス]]の[[国王]]の娘で初めは'''エリッサ'''({{lang|la|Elissa}})と呼ばれていた
 
== カルタゴの建国神話に基づく伝記 ==
初め、[[フェニキア]]の[[都市国家]][[テュロス]]の[[国王]]の娘で幼名は'''エリッサ'''({{lang|la|Elissa}})といった。父の弟で[[メルカルト]]の[[神官]]をしていた[[シュカイオス]]と結ばれて同じく[[巫女]]として仕えていた。父の死去の際、彼女と兄の[[ピュグマリオーン (テュロス王)|ピュグマリオーン]]が共同で国を治める様に[[遺言]]された。ところが、兄は王位の独占と叔父の財産目当てに遺言に違えてシュカイオスを[[暗殺]]し、ディードーの命をも狙った。そこで彼女は全てを捨てて心ある家臣たちとともに航海に出たのである。
 
ディードーの一行は途中[[キプロス島]]で豊饒の女神[[アスタルテー]]に仕える[[神官]]と神殿に献上される予定であった[[乙女]]達を受け入れながら旅を続け、現在の[[北アフリカ]]・[[チュニジア]]の地に辿り着いた。そこで彼女はこの地の王である[[イアルバース]]に[[土地]]の分与を申し入れた。イアルバースは1頭の[[ウシ|牝牛]]の皮が覆えるだけの土地であれば分与しても良いと応えた。そこで彼女は牝牛1頭分の皮を細かく引き裂いて土地を取り囲み、[[砦]]を築くだけの土地を得た。この地が後のカルタゴとなった。
 
[[古代ギリシア]]の[[歴史家]][[ティーマイオス]]によれば、これを見たイアルバースは彼女の才能に惚れて求婚した。だが、亡き夫の死の際に決して再婚しないと誓っていた彼女はこれを拒んで[[火葬]]の[[炎]]の中に飛び込んで自らの命を絶ったという。
 
== 『アエネーイス』の世界 に基づく伝記==
ところで、[[古代ローマ]]の詩人[[ウェルギリウス]]作の[[叙事詩]]『[[アエネーイス]]』にはこれとは違う物語が書かれている。
 
英雄[[アイネイアース]]は祖国[[イリオス|トロイア]]滅亡後に仲間とともに流浪の末にカルタゴに漂着する。そこで彼は女王として国を治めているディードーに歓待を受ける。アイネイアースの母[[ウェヌス]]([[アプロディーテー]])は彼の身に危険が及ぶことを恐れ、[[クピードー]]([[エロース]])に命じてディードーに彼に対する愛を吹き込まさせる。そして、2人は愛し合うようになり契りを結ぶ。ところが、アイネイアースに[[イタリア半島]]に向かうように[[神託]]を下していた[[ユーピテル]](大神[[ゼウス]])は、改めて[[メルクリウス]]([[ヘルメース]])に命じて神託の実行を促した。そこで彼はイタリア行きを決意して出発してしまう。アイネイアースに裏切られたディードーは悲嘆の余り、火葬の炎に身を焼かれて命を絶ったという(『アエネーイス』第4巻)。