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'''有効需要'''(ゆうこうじゅよう、Effective demand)とは、ものを買うための貨幣支出のことをいい、裏づけのある需要<ref>goo辞書「有効需要」[http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/196479/m0u/%E6%9C%89%E5%8A%B9%E9%9C%80%E8%A6%81/]</ref>。金銭的な支出を伴った欲望として、単なる欲望とは区別される。「有効」という言葉は、一般に、貨幣支出(購買力)に基づいていることを示している。
 
経済学では、有効需要とはマクロ経済全体で見た需要のことを指し、[[消費]][[投資]]政府支出および純輸出([[輸出]]マイナス[[輸入]])の和で定義される。総需要と同義である。「全体としての産出物の需要表」<ref>Keynes,Collected Writings John Maynard Keynes,Vol.XIV,Macmillan,1973 P.85</ref>。全体としての産出に必要な雇用が[[完全雇用]]状態でない場合、[[失業|非自発的失業]]が生じる。古典派は非自発的失業がない状態まで全体としての産出が行われるとする。
 
[[経済学者]]である[[ミハウ・カレツキ]]あるいは[[ジョン・メイナード・ケインズ]]によって提唱され、後に形成された[[ケインズ経済学]]([[ケインジアン]])の考え方の根幹となっている。
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==有効需要の原理==
経済全体の有効需要の大きさが、国民所得や雇用量など、一国の経済活動の水準を決定するという原理<ref>goo辞書「有効需要の原理」[http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn/196480/m0u/%E6%9C%89%E5%8A%B9%E9%9C%80%E8%A6%81/]</ref>。非自発的失業の存在は有効需要の不足が原因となる。
これに対してケインズの「一般理論」では、[[セイの法則]]は、総供給量はそれ自らの総需要量を決定し、雇用量に関係なく一致することを主張したものとして理解されている。所得のうち消費されなかった残りにあたる貯蓄<ref>貯蓄量は[[消費]]性向に依存する。</ref>の一部が[[投資]]<ref>ケインズによれば投資量は[[貨幣]]供給量、[[期待]]利潤率および[[流動性]]選好に依存する。また、需要側の支払手段である貨幣はつねに[[金利]]や[[流動性選好説|貨幣選好]]など貨幣市場の制約を受ける。</ref>されない可能性を指摘して<!--そのため、総需要量は総供給量に見合う分だけは増えないとして、-->セイの法則を批判した。
 
これに対してケインズの「一般理論」では、[[セイの法則]]は、総供給量はそれ自らの総需要量を決定し、雇用量に関係なく一致することを主張したものとして理解されている。所得のうち消費されなかった残りにあたる貯蓄<ref>貯蓄量は[[消費]]性向に依存する。</ref>の一部が[[投資]]<ref>ケインズによれば投資量は[[貨幣]]供給量、[[期待]]利潤率および[[流動性]]選好に依存する。また、需要側の支払手段である貨幣はつねに[[金利]]や[[流動性選好説|貨幣選好]]など貨幣市場の制約を受ける。</ref>されない可能性を指摘して<!--そのため、総需要量は総供給量に見合う分だけは増えないとして、-->セイの法則を批判した。
 
<ref>『ジョン・メイナード・ケインズ』美濃口武雄(一橋論叢1990-04-01一橋大学機関リポジトリ)[http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/11054/1/ronso1030400560.pdf]</ref>ケインズの診断によれば、古典派の均衡理論では景気が後退すれば資金供給が増え(貯蓄↑)資金需要が減る(投資↓)ため金利は低下するはずであるが、現実の観測では2%を下回らない「慣行的でかなり安定的な長期利子率」と、「気まぐれで高度に不安定な資本の限界効率」が原因となって、不況であるにもかかわらず金利は高止まりし、完全雇用を提供するに足る高い水準の有効需要を維持することは困難であるとする。この原因はおもに通貨のもつ[[流動性]]に対する人々の選好と、投機を要因とした資本の限界効率の不安定性にあるとする。