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'''社会正義'''([[英語]]:Social justice)とは、[[正義]]を[[社会]]において応用した概念である。'''社会的公正'''と呼ばれる場合もある。
 
発想としては古くからあり、[[騎士道]]などにも登場するが、具体的な概念としては[[近代]]に明確化した。[[18世紀]]末の『[[ザ・フェデラリスト]]』や[[エドワード・ギボン]]の『[[ローマ帝国衰亡史]]』に、その表れをみることができる。[[19世紀]]末には[[ローマ教皇]][[レオ13世 (ローマ教皇)|レオ13世]]が[[カトリック教会]]の[[社会問題]]への取り組みを指示した[[回勅]]『[[レールム・ノヴァールム]]』を発表して[[労働者]]の権利を擁護し、[[搾取]]と[[資本主義]]の行き過ぎに警告を行った(しかし一方で[[社会主義]]を批判し、[[階級]]間の協調を説いた)
 
社会正義はまた、社会的に公正な世界をめざす運動の概念としても使われる。具体的には[[人権]]や[[平等主義|平等]]([[公平]])、[[累進課税]]や[[収入]]・[[財産]]といった[[富の再分配]]などが挙げられる。最近では[[リベラル]]な思想家の[[ジョン・ロールズ]](『[[正義論_(ロールズ)|正義論]]』の著者)によって概念が大きく拡張され、[[グローバルグリーンズ]]を構成する各国各地域の[[緑の党]]や、[[みどりの政治]]の概念に大きな影響を与えた。
 
資本主義に批判的な視点を含むなど[[福祉]]や[[社会保障]]を裏付ける思想の一つで、[[社会主義]]や[[社会民主主義]]の基礎にある発想と重なる部分もあるが、社会正義じたいは社会主義ではなく、また必ずしも[[大きな政府]]論を肯定するものでもなく、より幅の広い概念である。また[[社会自由主義]]に与えた影響もあるが[[自由主義]]に限られるものでもなく、上で述べたように社会問題への[[宗教]]からのアプローチも含まれ([[宗教左派]]など)、[[保守主義]](特に[[社会保守主義]])にも通じる点がある。一例としては[[反ユダヤ主義]]・[[反共主義]]や[[ラジオ]]の活用で知られる[[アメリカ]]の[[保守|右派]]カトリック説教士、[[チャールズ・カフリン]]も社会正義を前面に掲げた。このように単純に[[左派]]・[[保守|右派]]の軸で捉えられるものではない。
 
[[日本]]では[[弁護士法]]第1条に「[[弁護士]]は、[[基本的人権]]を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とあり、[[法曹]]関係において重要な用語となっている。また[[インドネシア]]は国是である[[パンチャシラ]]5原則の一つに「社会正義」([[インドネシア語]]:Keadilan sosial)を掲げている。