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{{右|[[ファイル:Orthodox deacons.jpg|thumb|right|200px|[[振り香炉]]を準備する三人の輔祭。[[ステハリ]]を着用し、[[オラリ]]と呼ばれる帯を肩から垂らしている。]]
[[ファイル:Orthodox Deacon.jpg|thumb|200px|[[ベツレヘム]]の[[生誕教会|降誕教会]]の中を歩く、祭服を着用した状態の[[ギリシャ正教会]]の輔祭の姿。ステハリを着用し、オラリと呼ばれる帯を肩から垂らしている。[[カミラフカ]]と呼ばれる帽子も着用しているが、[[スラヴ]]系の正教会ではカミラフカをかぶる輔祭は一定の功績・年功を積んだ者に限られる。]]}}
'''輔祭'''(ほさい)は[[正教会]]における[[神品 (正教会の聖職)|神品]](聖職者)の職分のひとつ。[[日本正教会]]の訳語。輔祭職には[[正教徒]]が[[主教]]による[[神品機密]]を受けてこれにあたる。

[[主教]]・[[司祭]]の許(もと)で、主教・司祭を補佐する。輔祭の中に細分化された位階として、'''首輔祭'''・'''[[長輔祭]]'''がある。稀に「補祭」との表記が見られるがこれは誤りである<ref>[[明治時代]]最初期の文献には用例がみられるが、現在では全く用いられない。</ref>
 
他教会との比較では、[[カトリック教会]]の[[助祭]]、[[聖公会]]の[[執事]]に相当する。なお、正教会における「執事」は、他教派では一般の信徒が務める「教会役員」等に相当する。
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== 名称・呼称 ==
ギリシア語のディアコノス({{Lang|el|διάκονος}}、奉仕者の意)を語源とする。この語は[[日本正教会訳聖書]]ではディアコンとルビを振った上で'''役事'''と訳される事もあるが、現在の教会制度のなかで役事の語がこの職を指して使われることはない。書き言葉での敬称としては「'''師'''」が用いられる事が多い(正教時報など)。話し言葉での敬称は「輔祭さま」「輔祭さん」が用いられる
 
== 修道輔祭と在俗輔祭 ==
信者が[[主教]]による[[神品機密]]を受け輔祭となる。敬称として「'''尊師'''」があるとされるが、[[日本ハリストス正教会]]ではこの敬称を用いる事はまずない。書き言葉での敬称としては「'''師'''」が用いられる事が多い(正教時報など)。話し言葉での敬称は「輔祭さま」「輔祭さん」が用いられる。
[[修道士]]が輔祭となる場合は[[修道輔祭]]、それ以外の場合は在俗輔祭である。但し在俗輔祭という語彙は普段は使われず、日常的には単に輔祭と呼称・記述される。
 
在俗輔祭には妻帯が許されるが、神品機密を受けた後の妻帯は許されない。また再婚することはできない。ただし現在は、結婚相手が再婚者であることは問題とならない。在俗輔祭は司祭と異なり、教会に専従する者ばかりではなく自らの生業を持った上で無給与で奉職する者も多い。これを「'''自給輔祭'''」と呼ぶ。日本ハリストス正教会では、2008年現在、在俗輔祭の殆どが自給輔祭である。
== 概要 ==
[[聖体礼儀]]などの[[奉神礼]]に立つときは[[ステハリ]](カトリックの[[アルバ]]や[[聖公会]]の[[アルブ]]に相当)を着て、左肩から[[オラリ]](カトリックの[[ストラ]]、聖公会の[[ストール]]に当たる)を垂らす。司祭と異なり聖体礼儀などの[[機密 (キリスト教)|機密]]を執行することができない。輔祭は在俗輔祭と修道輔祭に分けられ、功績、主教の祝福により[[長輔祭]](protodeacon)、[[首輔祭]](archdeacon)に昇叙される。
 
== 結婚・妻帯の可否 ==
在俗輔祭には妻帯が許されるが、神品機密を受けた後の妻帯は許されない。また再婚することはできない。ただし現在は、結婚相手が再婚者であることは問題とならない。在俗輔祭は司祭と異なり、教会に専従する者ばかりではなく自らの生業を持った上で無給与で奉職する者も多い。これを「自給輔祭」と呼ぶ。日本ハリストス正教会では、2008年現在、在俗輔祭の殆どが自給輔祭である。
[[修道輔祭]]は[[修道士]]が輔祭となっているものであり、従って妻帯していない。
 
在俗輔祭には妻帯が許されるが、[[神品機密]]を受けた後(輔祭に[[叙聖]]された後)の妻帯は許されない。従って妻帯を希望する場合には叙聖前に[[婚配機密]](結婚)に与らなければならない。離婚すると輔祭職を解かれる。また死別であっても再婚することはできない。ただし現在は、結婚相手が再婚者であることは問題とならない。
ビザンチン奉神礼における聖体礼儀では、輔祭の役割には、以下のことがらが含まれる。
 
修道輔祭でないが独身のままで叙聖される在俗輔祭も存在する。
 
== 奉神礼における役割 ==
[[File:Eastern vespers entrance.jpg|thumb|right|200px|[[晩課]]の[[聖入]]。[[イコノスタシス]]の王門前に立っている人物(一番右)が輔祭。]]
[[司祭]]と異なり[[聖体機密]]([[聖体礼儀]])などの[[機密 (キリスト教)|機密]]を執行することができない。輔祭は在俗輔祭と[[修道輔祭]]に分けられ、功績、主教の祝福により[[長輔祭]](protodeacon)、[[首輔祭]](archdeacon)に昇叙される。
 
[[聖体礼儀]]などの[[奉神礼]]に立つときは[[ステハリ]](カトリックの[[アルバ]]や[[聖公会]]の[[アルブ]]に相当)を着て、左肩から[[オラリ]](カトリックの[[ストラ]]、聖公会の[[ストール]]に当たる)を垂らす。司祭と異なり聖体礼儀などの[[機密 (キリスト教)|機密]]を執行することができない。輔祭は在俗輔祭と修道輔祭に分けられ、功績、主教の祝福により[[長輔祭]](protodeacon)、[[首輔祭]](archdeacon)に昇叙される
 
ビザンチン[[奉神礼]]における聖体礼儀では、輔祭の役割には、以下のことがらが含まれる。
*開始を告げる:「(司祭に対し)君や、祝讃せよ」
*各種の[[連祷]]において、[[教衆]]を先導し、祝文を誦する。
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*[[炉儀]]を行う。
 
また他方、[[副輔祭]]という教役もあるが、これは神品機密の対象ではなく、主教の祝福によって就くものである。[[東ローマ帝国]]の[[皇帝教皇主義|皇帝]]は副輔祭としての祝福を得ていた。奉神礼で[[主教祈祷]]輔佐を主に行う他、[[誦経者|誦経]]や[[堂役]]と同様の役割主立って担う役目にある
 
{{See also|副輔祭}}
 
== 女性輔祭・女輔祭 ==
初期教会の時代から主教・司祭は男性の職分であり、初期教会のものとされる「聖使徒規則」では女性が就くことを禁じている。

但し近現代に入り、女性輔祭がかつて存在し、大きな役割を与えられていたことについての研究もなされている。[[ロシア正教会]]では[[1917年]]の[[ロシア革命]]直前期において行われていたロシア正教会公会準備期間中に、女性輔祭制度復活については真剣に討議されていた。しかしながらロシア革命とその後の[[共産主義]]政権による弾圧によって、この公会準備期間において討議されていたいくつかの改革案とともにこれは頓挫した<ref>出典:[[イラリオン・アルフェエフ]]著、ニコライ高松光一訳『信仰の機密』88頁、[[ニコライ堂|東京復活大聖堂教会]]、2004年</ref>。
 
一方で、東方正教会の一部にはギリシアを中心に古代から「[[女輔祭]]」という職分を任じる伝統があるが、これは[[副輔祭]]と同様の役割を荷うものであり、輔祭とは基本的に役割と地位を異にする。
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
<references />
 
== 外部リンク ==