「デストルドー」の版間の差分

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== 訳語の問題 ==
フロイトはTodestriebと対のようにLebenstriebという語を用いたが、日本語ではともに「死の本能」「生の本能([[エロス]])」と訳されることが多い。しかしながら[[本能]]には「[[遺伝]]的に組み込まれた行動パターン」という意味合いが強くTrieb<ref>心的な欲求、[[衝動]]。[[深層心理学]]の「心のダイナミクス」の項を参照せよ。</ref>をそのように訳すのは誤解を招きかねない面があり、彼は本能Instinktと別に、[[自我]]に対して何かに駆りたてさせる[[衝動]]という意味でTriebを使ったとされる。英仏訳でも誤りが指摘され、訂正が施されたが日本語訳ではまだ「本能」と訳されている事も多い。
 
日本語訳でも広まりつつある欲動または衝動の訳語に意義があるのは、それにより本人の[[葛藤]]に焦点が当てられることになるからである。患者はしばしば「死にたい」という言葉を発するが、「死の本能」でなく「死の欲動」と訳すことにより、「死にたい気持ちに駆られる」と言わしめるもの、フロイトが「生の欲動」「死の欲動」の二元論で説明しようとしたものは臨床現場で頻繁に聞かれる「死にたい気持ち」と「生きたい気持ち」の間の葛藤としてうまく機能するのである。