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== 現象および機構 ==
[[物体]]はその機械的[[強度]]より小さい力学的[[応力]]を一時的に受けても破壊されることはなく、[[弾性]]範囲内であれば応力を取り除くことにより元の状態に復元する。しかしながら、巨視的には[[弾性]]範囲内の小さい応力であっても、原子論レベルの微視的状態においては、ごく一部の原子がもとあった場所に戻らない非弾性的振る舞いを(特に表面近傍部で)起こし、それが蓄積されることによって強度が劣化する。繰り返し応力を受ける場合、破壊された断面を観察すると縞状の模様が観察されることが[[面心立方格子構造|面心立方]]金属([[アルミニウム|Al]]、[[銅|Cu]]、[[オーステナイト]]鋼)に多く見られ、その襞の一つが一振幅の負荷に相当しストライエーション([[英語]]:''striation'')と呼ばれる。
 
疲労による機械的強度の低下は多くの場合、始めに物体に微小な割れ目(クラック)が発生し、繰り返し[[応力]]を受けることによって割れ目が次第に大きくなる機構による。物体に応力が加えられると[[弾性]]範囲内であっても[[拡散]]現象などによってわずかな物質の移動が発生して応力を緩和しようとする。物質の移動によって微小な割れ目が発生すると、その割れ目の先端において応力が大きくなり、割れ目が進行するようになる。物体を構成する物質の一部が、応力を受けて[[弾性率]]や強度の小さい別の物質に変化する場合にも同様の現象が起こる。