「不動点」の版間の差分

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:<math>\ f(x) = x^2 - 3 x + 4</math>
 
によって定義される数ならば、''f''(2) = 2 であるから、2 はこの数 ''f'' の不動点である。
 
どんな写像でも不動点を持つわけではなく、たとえば ''f'' が実数全体で ''f''(''x'') = ''x'' + 1 によって定義される数ならば、どんな実数 ''x''も ''x'' = ''x'' + 1 を満たすことはないから、これは不動点を持たない。数のグラフを考えれば、不動点とは直線 ''y'' = ''x'' 上にある点 (''x'', ''f''(''x'')) のことであり、同じことだが ''f'' のグラフと直線 ''y'' = ''x'' との共有点のことであると言うことができる。''f''(''x'') = ''x'' + 1 の例でいえば、この数のグラフと直線 ''y'' = ''x'' は互いに[[平行]]であって、共有点を持たない。
 
有限回の[[反復関数|反復]]で元の値に戻ってくる点は[[周期点]]として知られる。不動点は周期が 1 に等しい周期点である。
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が ''x''<sub>0</sub> に[[収束]]するものをいう。どのくらい近ければ「十分近く」であるかは場合によっては微妙な問題である。
 
自然[[余弦関数]](「自然」というのは単位が &deg; ではなくラジアンであるという意味) はちょうどひとつだけの吸引的な不動点を持つ。この場合「十分近く」というのはとてもゆるい基準であって、ためしに例えば数電卓でもって好きな実数を入力して cos ボタンを繰り返し押してみれば、瞬く間に不動点である約 0.73908513 に収束してしまう。つまりそこがグラフと直線 ''y'' = ''x'' が交差する点である。
 
必ずしも全ての不動点が吸引的であるわけではなく、たとえば ''x'' = 0 は数 ''f''(''x'') = 2''x'' の不動点だが、0 以外の値ではどれもこの数の反復によって急速に発散してしまう。しかしながら、数 ''f'' が不動点 ''x''<sub>0</sub> の適当な開近傍で連続的微分可能かつ |''f''&prime;(''x''<sub>0</sub>)| &lt; 1 であるならば、吸引性は保証される。
 
吸引的不動点はより広い数学的概念である[[アトラクター]]の特別の場合である。吸引的不動点はそれが[[リアプノフ安定]]であるとき、'''安定不動点''' {{lang|en|(''stable fixed point'')}} であるといわれる。また、不動点が'''中立安定不動点''' {{lang|en|(''neutrally stable fixed point'')}} であるとは、それがリアプノフ安定だが吸引的でないときにいう。二階[[線型微分方程式|斉次線型微分方程式]]の中心は中立安定不動点の例である。
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を満たすものが存在するならば、(''p''<sub>''n''</sub>)<sub>0&le;''n''&lt;&infin;</sub> は ''p'' に &alpha; のオーダーで、漸近誤差定数 &lambda; で収束する。
 
数 ''f''(''x'') = ''x'' の不動点 ''p'' の収束性の判定に有用なリストが存在する<ref>Numerical Analysis, 8th Edition, Burden and Faires, Section 2.4 Error Analysis for Iterative Methods </ref>
# 最初に ''f''(''p'') = ''p'' であることを調べる。