「メディア効果論」の版間の差分

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: この辺りは「影響がある」にせよ「抑止効果がある」にせよ、どちらも所定のメディアよりの影響が客観的に証明できるだけの科学的な証拠が得られないため、双方の水掛け論に発展している様子もうかがえる。
 
===社会動向===
なお本説は、他の[[犯罪学]]研究によって上に述べたような否定がされているにもかかわらず、報道マスメディア側を含む世論では無批判で信奉されており、しばしばメディア規制論に絡んで引用される。
 
:例えば[[2006年]][[1月18日]]及び同年[[9月28日]]の[[毎日新聞]]社説に代表されるように、環境犯罪誘因説を根拠に掲げて表現規制を求める声は([[表現の自由]]の制約に対して最も敏感でなければならないはずのマスメディアにおいてすら)後を絶たない。その背景には[[ゲーム脳]]のような学界内ではほぼ否定され尽くしている説を「生理的に受け入れられない」や「TVゲームに熱中することで勉学がおろそかになる」などの他の理由から否定的に考えている層が支持するような現象があるが、メディア規制論に熱心な保護者や政治家の中には、本説を持って論理武装する傾向も見られる。
 
こうした世論的な後押しもあって、日本では都道府県単位で実施されている[[青少年保護育成条例]]の全てが、大なり小なりこの環境犯罪誘因説に立脚したメディア規制([[有害図書]]指定など)を実施している。[[最高裁判所]]も、「[[有害図書]]の自動販売機への収納の禁止は、青少年に対する関係において([[表現の自由]]を定めた)[[日本国憲法第21条]]1項に違反しない」という判断を下している(岐阜県青少年保護育成条例事件)<ref>{{cite web|url=http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/34-3.html|title=「岐阜県青少年保護育成条例事件」上告審判決|date=1989年|accessyear=2009年|accessdate=9月21日|author=最高裁判所 昭和62年(あ)第1462号}}</ref>。
[[日本における検閲#青少年保護育成条例による有害図書指定]]も参照。
また同様の、環境犯罪誘因説に立脚した表現規制を行っている国家も存在する。このようなメディア規制が敷かれている国には[[大韓民国|韓国]]・[[ドイツ]]・[[カナダ]]・[[オーストラリア]]・[[ニュージーランド]]などが挙げられる。[[青少年有害社会環境対策基本法案#日本以外の国における青少年保護法制]]、[[ラディカル・フェミニズム#カナダ]]も参照。
 
しかし、[[青少年保護育成条例]]を法制化しようとした[[青少年健全育成基本法]]案の提出の際には、(社団法人)[[日本図書館協会]]から「[[有害図書]]に接することが青少年の逸脱行為の原因になるという因果関係の科学的証明がない」と指摘される<ref>{{cite web|url=http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/kenkai/seisyonen.html|title=青少年社会環境対策基本法案についての見解|date=2001年|accessyear=2009年|accessdate=9月21日|author=社団法人 [[日本図書館協会]]}}</ref>
など、反対が多かったため、法案は成立していない。
{{Quotation|「有害」図書類に接することが逸脱行動の原因であるという結果は得られていません。表現と行動の因果関係が科学的に証明できないのですから、どのような表現が逸脱行動の原因であるかを科学的に定義することは不可能で、このことも規制する表現対象の恣意的拡大を可能にします。([[日本図書館協会]]2001年)}}
====メディア規制に絡む反対の声====
メディア規制を実施している国は上に挙げた通りだが、それらの国々に於ける過去の犯罪件数を単純に人口比などで比較すると、特に規制が緩い状態での日本における犯罪発生率は([[性犯罪]]に限定しても)非常に低く、そのような規制を実施しても実効性とは無関係で規制をする側の自己満足にしかならないという意見も存在する。
 
:ただ、そのような単純比較は実質的に、社会的な他の差異(警察による犯罪検挙率の高低や都市構造に絡む抑止効果・文化や思想的背景といった国民性)を無視しており、比較論自体もナンセンスである危険性も含んでいる。この辺りは、他の要因を廃した同一グループ間で、影響の有無を見るべきである。
 
なお、[[アメリカ合衆国]](米国)では同種のメディア規制に関する議論も盛んだが、こちらは本説の否定以前に[[表現の自由]]にも絡んで、規制案の違憲判断が司法レベルで下されるなどしているが、その一方で業界団体による[[レイティング]]の設定にも熱心で、小売店レベルでの商品陳列への配慮といった動きも見られる。(→[[残酷ゲーム#規制問題|残酷ゲーム規制問題]])
 
日本では、愛好者筋などからの反発の声は[[インターネット|ネット]][[コミュニティ]]を中心として根強いものの、業界側ではレイティング設定や販売サイドでの年齢確認などの徹底といった配慮による自主的な規制を目指す動きも見られる。[[教育委員会]]などによる[[有害図書]]指定といった公的な規制も全国的に見られ<!--、この中では規制反対者の声は少数派として黙殺される傾向すら見受けられ-->る。
 
:日本では[[成人向けゲーム]]や[[アダルトゲーム]]でも[[萌え]]市場に絡む製品は、既にこれのみを制作しているメーカーも少なからずあり、また市場としても[[おたく]]市場として無視できない規模でもあるため、未成年者へのこれら「作品」提供で社会問題化して排斥される前に、一定の年齢以下にはそのような製品が渡らないようにする業界ルールを徹底させる事で、市場崩壊を防ごうという背景もあるようである。
 
==医学・栄養学的観点からの環境犯罪誘因説==