「腫瘍壊死因子」の版間の差分

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=== 受容体およびシグナル伝達 ===
[[画像:NFKB-pathway.png|230px|thumb|TNF-αが転写因子である[[NF-κB]]を活性化するシグナルの模式図]]
TNFの生理作用は、[[赤血球]]を除いた生体内の細胞に広く存在しているTNF受容体(TNFR)を介して発現する。TNFRにはTNFR1(p60)とTNFR2(p80)が存在するが、TNFR2に対する親和性がTNFR1に対するものよりも5倍高いことが報告されている<ref>Tartaglia LA and Goeddel DV.(1992)"Two TNF receptors."''Immunol.Today.'' '''13''',151–3. PMID 1322675</ref>。TNFRもTNFと同様に3量体を形成して存在しており、TNFR1は全身の多くの組織に構成的に発現しているのに対して、TNFR2は何らかの刺激を介して免疫系の細胞に発現する誘導型の受容体である。TNFRファミリーは[[神経成長因子]]受容体(NGFR)と細胞外領域に相同性を有し、TNF/NGF受容体ファミリーとも呼ばれる。TNFR1とTNFR2の構造上の主な違いはデスドメインと呼ばれるドメイン構造の有無であり、デスドメインは他のデスドメインを有する分子との結合に関与している。TNFR2においては細胞内に存在するデスドメインを欠損している一方、TNFR1はデスドメインを介していくつかの[[シグナル伝達]]分子とDISCと呼ばれる複合体を形成し、タンパク質分解酵素である[[カスパーゼ]]8の活性化を介して自発的な細胞死([[アポトーシス]])を誘導する。また、TNFRを介した[[NF-κB]]あるいは[[AP-1]]などの[[転写因子]]の活性化は下記に示すような生理作用の一部の発現に関与しており、NF-κBの活性化はアポトーシスに対して抑制的に働く。これらの転写因子の活性化を介した作用はデスドメインの有無に関わらず引き起こされるため、TNFR1とTNFR2に共通している。TNFR2の細胞死への関与は[[2008年]]現在の段階では未だ議論が分かれるところである。また、細胞膜上のTNFRの他にも可溶性TNFRと呼ばれる分子が尿中から発見されており<ref>Engelmann H, Novick D and Wallach D.(1990)"Two tumor necrosis factor-binding proteins purified from human urine. Evidence for immunological cross-reactivity with cell surface tumor necrosis factor receptors."''J.Biol.Chem.'' '''265''',1531-6. PMID 2153136</ref>、これらがTNF-αおよびTNF-βと結合して生理作用の発現に寄与していることが知られている。