「元老院」の版間の差分

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'''元老院'''(げんろういん、[[ラテン語]]: '''{{lang|la|Senatus}}''')とは、[[王政ローマ]]における王の助言機関、また、後の[[共和政ローマ]]における統治機関、更に、後の[[ローマ帝国]]皇帝の諮問機関を指す語である。また、現在では、多くの国が[[上院]]の呼称に用いる語でもある。{{lang|la|Senatus}}に由来する名称の機関は必ずしも「元老院」と訳されるわけではないが、本項では便宜上「元老院」と表記する。
 
== 語源と歴史 ==
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西欧が経験した唯一の共和政体が共和政ローマであり、貴族の権威によらない合議制の統治機関として西欧が知る唯一の実例がローマの元老院だったことから、西欧世界において {{lang|la|senatus}} が各国語に変化した語(下記「[[元老院#各国の例|各国の例]]」を参照)が「合議制による国家の意思決定機関」、又は、「高い権威を持った合議制の国家機関」を表わす普通名詞と化した。
 
この後、中世の[[ヴェネツィア共和国|ヴェネツィア]]や[[トスカーナ大公国|フィレンツェ]]などに共和政体が成立すると、その統治機関にも「元老院」の名称が用いられた。この機関は「参事会」と訳されることが多い。また、東ローマ帝国の皇帝権を継承するかたちで成立した[[ロマノフ朝]]の[[ロシア帝国]]では、[[ピョートル1世]]が諮問機関として設置した機関に「元老院」の名称を用いている。そして、[[近世]]になり、体系的な国家構造と将来展望をもつ初の近代的共和国として[[アメリカ合衆国]]が独立すると、その[[議会]]に旧・宗主国[[イギリス]]の[[両院制]]を取り入れながらも、その「[[貴族院 (イギリス)|貴族院]]・[[庶民院]]」という名称を改めて「[[アメリカ合衆国上院|元老院]]・[[アメリカ合衆国下院|代議院]]」として現在に至っている。
 
この結果、現在でも古代ローマを源泉とする西欧文明を継承する国々、中でも英・仏・西・米の旧・宗主国や、その旧・植民地に20世紀になってから独立した国の殆どが、上院の正式名称に「元老院」を用いるに至っている。