「リナロール」の版間の差分
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{{ Infobox 化合物
| name=リナロール
| 画像=[[Image:Linalool.
| IUPAC名= 3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール
| 別名=リナロオール<br />(''S'')
| 分子式= C<sub>10</sub>H<sub>18</sub>O | 分子量 = 154.25
| 組成式= | 式量=
| 形状= 無色液体 | CAS登録番号=[78-70-6]<br />(''S'')
| SMILES=CC(C)=CCCC(O)C=C
| 密度= 0.87 | 相=液体 (20 {{℃}})
| 水への溶解度=
| 溶媒2= | 溶解度2= <!--g/100 mL ( ℃)-->
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| pKa=
| pKb=
| 旋光度=
| 粘度=
| 屈折率= 1.46 (20 {{℃}}、D線)
| 出典=
}}
'''リナロール''' (linalool) は[[分子式]] C<sub>10</sub>H<sub>18</sub>O で表される[[モノテルペン]][[アルコール]]の一種である。[[スズラン]]、[[ラベンダー]]、[[ベルガモット]]様の芳香をもつため、大量に[[香料]]として利用されている。他のモノテルペン香料物質の原料となるほか、[[ビタミンA]]や[[ビタミンE]]の合成中間体でもある。
== 天然
非常に多くの植物の[[精油]]成分として見出される。特に含有量が多いのは[[ローズウッド]]、[[リナロエ]]、[[芳樟]]の精油で、これらは工業的なリナロールの合成法が確立されるまでリナロールの供給源であった。
またネロリ
=== 光学純度 ===
[[天然物]]中のリナロールでは (''R'') 体が過剰であるものが多い。芳樟油はもともと (''R'')-リナロールの化学純度が高く、また高い光学純度を持つので現在でも (''R'') 体のリナロールの供給源として重要である。ネロリ、ラベンダー、ベルガモット、クラリセージはいずれも (''R'') 体を過剰に含む。かつてギアナで採取されていたローズウッドの精油から得られたリナロールは(''R'')-体が過剰であった。
ローズウッドの精油からのリナロールで現在市場に供給されているものはほぼ[[ラセミ体]]である。
(''S'')
== 合成法 ==
リナロールの工業的な合成法はいくつか知られている<ref>中島基貴編著 『香料と調香の基礎知識』産業図書、2000年、129–130頁。ISBN 987-4-7828-3560-9。</ref><ref>井上祥平 『有機工業化学』 裳華房〈 化学の指針シリーズ〉、2008年、147–151頁。ISBN 978-4-853-3222-8。</ref>。
=== β-ピネンを出発原料とする方法 ===
β-[[ピネン]]を熱により開環して[[ミルセン]]とし、塩化水素を付加させて塩化ゲラニルとする。これをアセチル化すると[[アリル転位]]を起こして[[酢酸リナリル]]が得られるので、[[加水分解]]してリナロールとする。
[[ファイル:Linalool_from_beta-pinene.svg|center|600px]]
=== アセチレンとアセトンを出発原料とする方法 ===
[[アセチレン]]を[[アセトン]]に付加させた後、[[リンドラー触媒]]で部分還元して3-メチル-1-ブテン-3-オールとする。3-メチル-1-ブテン-3-オールに[[ジケテン]]を反応させると、[[アセト酢酸]]エステルを生じて[[キャロル転位]]を起こし、[[メチルヘプテノン]]を生成する。これに[[アセチレン]]を付加させてデヒドロリナロールとし、再び[[リンドラー触媒]]で部分還元することでリナロールが得られる。
[[ファイル:Linalool_from_acetone_and_acetylene.svg|center|600px]]
なお、リナロールに対してジケテンの反応からリンドラー触媒での部分還元までを繰り返すとイソプレン単位を1つずつ増やしていくことができる。
=== イソプレンを出発原料とする方法 ===
[[イソプレン]]に[[塩化水素]]を[[1,4-付加]]させて塩化プレニルとした後、これを用いてアセトンをプレニル化して[[メチルヘプテノン]]とする。以降の合成法はアセチレンとアセトンを出発原料とする方法と同様である。
[[ファイル:Linalool_from_isoprene.svg|center|548px]]
=== α-ピネンを出発原料とする方法 ===
α-ピネンを水素化してピナンとし、これを空気酸化でヒドロペルオキシドとしたあと、還元して得られるピナノールを熱分解するとリナロールが得られる。
[[ファイル:Linalool_from_alpha-pinene.svg|center|587px]]
=== 光学純度 ===
しかし、光学活性体の工業的な合成は今のところなされていないようである。
== 用途 ==
[[
また[[ゲラニオール]]や[[シトラール]]などの合成原料として使用される。ビタミンAやビタミンEのような[[テルペノイド]]の部分骨格を持つ医薬品の原料としても使用されている。▼
▲[[File:Linalool Enantiomers Structural Formulae.png|260px|thumb|(''S'')-体はオレンジ様の香り (left) and (''R'')-体はラベンダー様であるとされており (right)]]
==出典==
<references />
▲ビタミンAやビタミンEのような[[テルペノイド]]の部分骨格を持つ医薬品の原料としても使用されている。
== 関連項目 ==
{{commonscat|リナロール}}
*[[ゲラニオール]]
*[[シトラール]]
[[Category:
[[Category:
[[Category:アルコール]]
[[bg:Линалол]]
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