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m -{{和暦}}: 1873年以降。see Template:年代要検証
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[[画像:ヤマト1推進装置.jpg|270px|thumb|[[お台場]][[船の科学館]]にて屋外展示されている推進装置。下側に写る大型容器がクライオスタット。上部に取り付けられた構造物が液体ヘリウム収納容器。クライオスタット右側から海水が侵入し左側へと排出される。右舷推進器[[東芝]]製。]]
 
'''ヤマト-1'''(ヤマトワン)とは、{{和暦|[[1992}}年]](平成4年)[[6月16日]][[神戸港]]において、世界で初めて[[超伝導]]を利用した電磁推進によって海上航行実験に成功した[[スクリュープロペラ]]が存在しない世界初の実験船である。
 
船名である「ヤマト」とは、日本を表す'''ヤマト'''に由来する。同時に[[宇宙戦艦ヤマト]]や[[大和 (戦艦)|戦艦大和]]また[[古事記]]に記されている[[日本武尊]]の歌である「やまとは国のまほろば・・・」などの意味もこめられている。
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==開発経緯 概要==
世界の[[造船]]量50%を超えるシェアを誇り「造船王国」と呼ばれた日本ではあったが、[[コンテナ船]]、[[天然ガス|LNG船]]、[[ホバークラフト]]や[[ジェットフォイル]]と言った付加価値の高い船舶は国外製が多く、船の「心臓」であるエンジンなども海外製や[[ライセンス生産]]などに頼らなければならない実情があった。また{{和暦|[[1985}}年]](昭和60年)当時、日本造船業界は海運不況の煽りを受け軒並み業績が低迷し、それに伴い研究開発なども沈滞傾向であった。そこで、のち「ヤマト1開発研究委員会」委員長となる[[笹川陽平]]が国内造船業に問題提起すると共に、経験の浅い技術者養成なども視野に入れた計画を立案する。
 
通常、船舶はスクリュープロペラを有している。[[水上オートバイ|ジェットスキー]]など[[ウォータージェット推進]]器を用いた船舶もジェット噴射構造内部に[[インペラ]]<ref>類似したものに[[ターボチャージャー]]などがある。</ref>と呼ばれる小型高速回転プロペラを利用し、海水を高圧にて噴射することによって推力に変えている。これに対し「ヤマト1」は一切の回転系推力発生器を使用せず、かわりに、超伝導電磁石を利用し強力な磁場を作り出し、磁場中の海水に電流を流して[[ローレンツ力]]により海水を噴射するウォータージェット推進方式を採用している。これによりスクリューや[[内燃機]]などが不要になりほぼ無音航行が可能であり、また不快な振動が無く環境性能も高い。(静粛性が高い。航行により波きり音は発生する。)構造特性からプロペラ部分のスペースが不要になる事により自由度が高い船尾設計が可能になり、船体を貫通する構造物が無い為に海水が船体内部に侵入しない、スクリューを高速回転させる事で発生する[[キャビテーション]]が発生しないなどの利点がある。
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==開発経過==
*{{和暦|[[1985}}年]](昭和60年) - 日本造船振興財団が主体になり「超電導電磁推進船開発研究委員会」<!-- ここは組織名なので意図的に「超電導」のままとします -->を設立。
:電磁推進船の構成およびシステム調査。
:超伝導電磁石、低温技術の調査。
:回流水槽の設計製作。
[[Image:Yamato 1 from the front.JPG|270px|thumb|ヤマト1(前面)]]
*[[1986年]](昭和61年)
*{{和暦|1986}}
:電磁推進船の推進効率研究。
:超伝導電磁石の設計。
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:実験棟の建設。
:電極材の研究。
*[[1987年]](昭和62年)
*{{和暦|1987}}
:電磁推進船のモデルテスト。
:超伝導電磁石の詳細設計と単体コイル製作。
:長水槽の建設。
*[[1988年]](昭和63年)
*{{和暦|1988}}
:電磁推進船の詳細設計。
:コイル・クライオスタットの製作。
:冷却装置製作。
:試験航海海域の調査。
*[[1989年]](平成元年){{年代要検証|元号|1989}}
*{{和暦|1989}}
:電磁推進船の建造着手。艤装。
:コイル他推進装置の組み立て調整。
:三菱造船神戸内に陸上支援施設建設。
*[[1990年]](平成2年)
*{{和暦|1990}}
:電磁推進船の完成。
:命名式。
:推進装置調整。
*[[1991年]](平成3年)
*{{和暦|1991}}
:ヤマト-1に電磁推進装置の搭載、調整。
*[[1992年]](平成4年)
*{{和暦|1992}}
:ヤマト-1神戸湾において海上試験航行。評価など行なう。