「保証」の版間の差分

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保証債務は、主たる債務との関係で以下のような性質を有する。
 
; 独立性
: 保証債務は、それによって担保されている主たる債務とは別個独立の債務である。
; 同一内容性
: 保証債務とそれによって担保された主たる債務の内容は、原則として同一である。もっとも、保証の内容は保証契約で定まるのであり、主たる債務の内容から一義的に定まるものではないから、同一内容性の原則はしばしば排されているといえる(例えば、サーカス公演契約を保証した者は自らサーカスを行うのではなく、違うサーカス団を探してきたり、損害賠償をしたりといった内容の保証債務を負っていると考えられる)。
; [[付従性]](附従性)
: 保証債務の成立、変更、消滅は、主たる債務の成立、変更、消滅に従う。つまり、保証債務は、主たる債務がなければ成立せず、主たる債務より重い債務となることはなく、また主たる債務が消滅すればともに消滅する。保証債務の付従性は、成立、(内容の)変更、消滅の各局面において、それぞれ、成立における付従性、内容における付従性、消滅における付従性として問題となる。後に詳述する。
; [[随伴性]]
: 主たる債権について[[債権譲渡]]がされた場合、保証債務履行請求権も主たる債権と同時に債権の譲受人へと移転する。
; 補充性
: 保証債務は、主たる債務者が債務不履行に陥って初めてその補充のため履行する義務が生じる二次的な債務であること([[b:民法第446条|446条]])。
: そのため、保証人は、債権者から履行を請求された場合に[[催告の抗弁権]]と[[検索の抗弁権]]を持つことになる。後に詳述する。
=== 催告の抗弁権・検索の抗弁権 ===
保証債務には補充性から催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められる([[b:民法第446条|446条]])。
; 催告の抗弁権
: 保証人は、債権者から履行の請求をされた場合に、まず主たる債務者に催告をするよう請求でき、主たる債務について一時的責任を負わされることを回避することができる([[b:民法第452条|452条]])。
; 検索の抗弁権
: 保証人は主たる債務者が債務を(たとえ一部であっても)履行できるだけの資力を有しており、かつ執行が容易であることを証明すれば、債権者からの請求を拒むことができる。この場合、債権者はまず主たる債務者の財産について執行しなければならなくなる([[b:民法第453条|453条]])。
 
債権者が催告や執行を行っても主たる債務者から全額について弁済を受けられなかった場合、再び保証人に債務の残部の履行を請求することになる。しかし、これらの抗弁権が行使された場合、債権者が直ちに催告や執行をしなかったがために弁済額が減少したのであれば、その分までを保証人に負担させることはできない([[b:民法第455条|455条]])。例えば、主たる債務が100万円だったとして、検索の抗弁を受けた後すぐに執行をしたなら70万円は回収できたところ、それを怠ったがために50万円しか弁済を受けられなかったとする。通常なら残る50万円は保証人の負担となるが、抗弁の後すぐに執行すれば70万円を回収できたのであるから、債権者は保証人に対して30万円しか請求することはできないのである。
 
=== 保証債務の対内的効力 ===
* 主たる債務に生じた事由
:** 付従性により、主たる債務について生じた事由は原則として保証債務にも効力が及び、主たる債務の時効([[消滅時効]])が中断した場合には保証債務の時効も中断する([[b:民法第457条|457条]]1項)。ただし、保証債務の限界は保証契約で定められているから、主たる債務が加重されても、保証債務は加重されない。
* 保証債務に生じた事由
:** 保証債務について生じた事由は、主たる債務を消滅させる行為(弁済、供託、代物弁済、相殺、更改)に限り主たる債務に効力が及ぶことになる。例外的に連帯保証の場合には連帯債務の規定が準用される(458条)。
 
== 保証債務の消滅 ==
保証人が債権者に対して債務を弁済した場合(つまり肩代わりをした場合)、保証人は債務について最終的な責任を負うものではないから、主たる債務者に対して求償できる。しかし、保証人となった経緯に応じて求償できる範囲や方法が異なる。以下、個別に見ていく。
 
* 主たる債務者からの委託を受けて保証人となった場合
:** この場合、保証人は、肩代わりした債務の全部について主たる債務者に求償することができる([[b:民法第459条|459条]]1項)。この場合、求償できる範囲は、法定利息、必要となった費用、及び損害賠償まで含む(同条2項)。
:** また、債務が弁済期にあるときなど一定の場合には、保証人は、保証債務を履行する前でも、あらかじめ主たる債務者に求償することができる([[b:民法第460条|460条]]、事前求償権)。
* 主たる債務者からの委託を受けずに保証人となった場合
 
:** この場合、保証人は、肩代わりで弁済した当時、主たる債務者が利益を受けた限度で求償できる([[b:民法第462条|462条]]1項)。
*主たる債務者からの委託を受けずに保証人となった場合
* 主たる債務者の意思に反して保証人となった場合
:この場合、保証人は、肩代わりで弁済した当時、主たる債務者が利益を受けた限度で求償できる([[b:民法第462条|462条]]1項)。
:** この場合、保証人は、求償の時点で主たる債務者が利益を受けている限度で求償できる(462条2項)。
 
* 共同保証人間の求償権([[b:民法第465条|465条]]、[[b:民法第442条|442条]])
*主たる債務者の意思に反して保証人となった場合
:この場合、保証人は、求償の時点で主たる債務者が利益を受けている限度で求償できる(462条2項)。
 
*共同保証人間の求償権([[b:民法第465条|465条]]、[[b:民法第442条|442条]])
 
また、保証人が債務を弁済する場合、弁済の事前および事後に主たる債務者に対して自分が弁済する旨を通知しなければならないが(通知義務、[[b:民法第463条|463条]]1項)、これを怠った場合にも求償が制限される場合がある。
== 特殊な保証 ==
=== 連帯保証 ===
* 連帯保証の意義
:** 主たる債務の債務者が弁済できない場合に二次的に履行の義務を生じるという性質(補充性)が認められず、[[保証人]]が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証を'''連帯保証'''という。連帯保証をした者を[[連帯保証人]]という。
* 連帯保証の特徴
:** 以下の点で補充性が認められる通常の保証(単純保証)とは異なる。
#*** 単純保証の保証人には[[催告の抗弁権]]と[[検索の抗弁権]]が認められるが、連帯保証の連帯保証人には[[催告の抗弁権]]と[[検索の抗弁権]]がない([[b:民法第465条|465条]])よって債権者はいきなり保証人の財産にかかっていけることになる。
#*** 通常の単純保証では、保証人が数人いる場合には各保証人は債権者に対して保証人の数に応じて分割された部分についてのみ債務を負担する([[b:民法第456条|456条]]・[[b:民法第427条|427条]])。これを'''分別の利益'''という。連帯保証の場合には、この分別の利益がなく、連帯保証人が数人いる場合であっても、各連帯保証人は債権者に対して債務の全額について責任を負わなければならない。なお、連帯保証人間の内部関係においては、各連帯保証人には負担部分が存在するので、連帯保証人の一人が自己の負担額を超えて弁済した場合には、他の連帯保証人に求償することができる([[b:民法第465条|465条]]1項・[[b:民法第442条|442条]])。
#*** 主たる債務者と保証人のどちらか一方に生じた事由が他方に及ぼす事項について[[連帯債務]]の履行の請求等の規定が準用される([[b:民法第458条|458条]])。
* 商法上の特則
:** 民法では特約のない限り単純保証が原則であるが、[[商法]]は民法の特則として、債務が主たる債務者の[[商行為]]によって生じたものである場合、もしくは保証が商行為である場合(これらを'''商事保証'''という)には、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても当該保証債務は各自が連帯して負担する連帯保証になるとする([[b:商法第511条|商法第511条]]2項)。
 
=== 継続的保証 ===
 
「民法の一部を改正する法律」が平成17年4月1日より施行され、個人である保証人の保護を図るため、貸金等根保証についてそれまでの取扱いを大きく変える改正がなされた。
貸金等根保証契約では、極度額を約定しない場合、無効となる。また、5年以内の元本確定日を定めなければならず、定めなかった場合は3年となるほか、5年を超える確定日を定めた場合も3年となる。
 
=== 共同保証 ===
* 共同保証
:** 保証人が1人の場合を単独保証というのに対し、保証人が2人以上いる保証の形態を'''共同保証'''という。保証人間に連帯のない通常の共同保証では、各保証人は債権者に対して均等に分割された保証債務の部分についてのみ債務を負担するという分別の利益([[b:民法第456条|456条]]・[[b:民法第427条|427条]])が認められる。分別の利益が認められる共同保証の場合、保証人の一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときには民法462条が準用される([[b:民法第465条|465条]]2項・[[b:民法第462条|462条]])。なお、分別の利益は特約で排除される場合がある(後述の保証連帯)。
* 保証連帯
:** 共同保証のうち、分別の利益を特約によって排除し、各保証人が債権者に対して債務の全額について責任を負うこととすることとするものを'''保証連帯'''という。保証連帯は分別の利益のない点で連帯保証と似ているが、保証連帯の場合には催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められる点で連帯保証とは異なる。保証連帯の場合にも保証人間の内部関係においては、各保証人には負担部分が存在するので、保証人が自己の負担部分を超えて弁済したときには、超過部分について他の保証人に求償することができる([[b:民法第465条|465条]]1項・[[b:民法第442条|442条]])。
 
== 関連項目 ==
* [[民法]]
* [[債権]]
 
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