「ミニアチュール」の版間の差分

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Dr jimmy (会話 | 投稿記録)
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まず、北フランスと低地帯について見ると、14世紀が終わって15世紀に入るにつれて、この二つの画派のミニアチュールの構成はより自由になった。それに伴い、全体的な表現効果を描写の緻密さよりも彩色に求めるようになった。これはミニアチュール画家の表現の領域が広くなったことが要因である。あらゆる本が装飾されるようになり、聖書や詩編や祈祷書といった聖典はもはや装飾の主流ではなくなった。少なくとも唯一の装飾対象ではなくなったのである。だが、そんな中でも最も注目された聖典の類がある。それが時祷書である。これは個人のための祈祷書で、この時代大量に出回り、きわめて良質のミニアチュール作品が含まれている。この小冊子の装飾は、宗教上のキャラクターに割り当てられた制約を受けなかった。そのうえ、この時代の装飾写本の需要は高く、日常的に取引されるようになったのだ。また、写本生産は修道院に限定されず、民間の写本工房でも生産された。
 
[[Image:Enkhuisen Book of Hours (folio 39v).jpg|thumb|200px|聖母マリアとナザレのヨセフが、イエスを目にするところ。周囲にいるのは医者。[[エンクハウゼン]](オランダ北ホラント州の都市)の時祷書、15世紀後半。]]
 
15世紀前半は、慣習的な風景描写はいまだに一定の地位を占めていた。ダイヤや格子模様も同様である。それどころか、フランスでこの時代最良の作品にも、従来よりさらに華麗なダイヤ模様が見られる。だが1425年から1450年ごろ、自然の風景がより存在感を発揮するようになった。とはいえ遠近法に欠陥はあったが。視界や大気の効果を正しく扱う世代が現れるのはまだ先のことである。