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'''営業職'''(えいぎょうしょく)とは、見込み客に自社の[[物品]]・[[サービス]]または[[情報]]、といった財([[商品]])の購入を促し、[[売買]]契約を結ばせることにより自社の[[利益]]に結びつける[[職業]]である。
 
== 概説 ==
[[販売]]を主たる業務とするが、ひと口に営業職と言っても、実際にはその仕事内容は様々であり<ref>永井滋『今日から営業マン』</ref>、[[業界]]・[[業種]]、扱う[[商品]]・[[サービス]]あるいは会社の規模などによって大きく異なるともされる<ref>『営業職大事典』p.6</ref>。ただし、いずれにせよ、営業職の原点は、人と人とのお付き合いであるという点では同じ<ref>長井滋『今日から営業マン』p.11</ref>とも、「[[コミュニケーション能力]]」と「意思決定を促す力」が必要とされる点では同じだ<ref>小笹芳央『モチベーション・マネジメント』p.29</ref>ともされる。
 
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営業職従事者の主たる業務は自社の商品を販売する事であるが、加えてそれに付随する作業全般も含まれるため、販売だけでなく[[企画]]や[[調査]]、[[接待]]や[[アフターサービス]]といった要素を求められる事もある。企業によっては、営業職と企画や[[広告職]]、[[宣伝職]]を区別しない事がある。特に小規模事業所では、技術職以外の事務、庶務等も行う事までもある。営業職には多様な要素が含まれているため、ある程度、役割が分担されている事も多い。なお、[[営業事務]]職は本来、営業部局でのデータ作成・分析や営業マンへの連絡が主な業務であり外回りはしない事が多い。しかしさまざまな理由から、実際は営業職であるにも拘らず「営業事務」として求人が掛けられていることも多い。
 
新規客を開拓するセールスマンの多くは、事前のアポイントメント(面会の約束。"アポイント"は誤用。略称アポとも)なしで一方的に訪問する(俗に言う'''飛び込み''')ことが多く、営業活動や取引契約に際して、しばしばトラブルの原因ともなる。また、アポに基づいて訪問するタイプの営業であっても、元のアポ自体はほとんどの場合強引な無差別電話勧誘によるものでありこちらもトラブルの原因となっている。個人宅への営業活動は押し売りなど消費者とのトラブルも多く、[[訪問販売]]の一つの形態として[[特定商取引に関する法律]]が適用され、消費者保護が図られている。また、[[判例集|最判]]平成20年4月11日によれば、飛び込み営業が[[住居侵入罪]]に該当する可能性も出てきた
個人宅への営業活動は押し売りなど消費者とのトラブルも多く、[[訪問販売]]の一つの形態として[[特定商取引に関する法律]]が適用され、消費者保護が図られている。また、[[判例集|最判]]平成20年4月11日によれば、飛び込み営業が[[住居侵入罪]]に該当する可能性も出てきた。
 
一般に営業職の行う作業には以下のようなものがある。
; [[顧客]]の開拓
: 営業による新規顧客の開拓手法としては、見込み顧客へ営業を掛けて積極的に売り込む方法と、[[広告]]を出して顧客からの反応を待つ方法、および両者を併用する方法の3通りがある。それぞれの例を挙げると、売り込み型は[[事務機器]]・[[リフォーム]]・[[配置販売業|配置薬]]・B to B、待ち型は注文住宅([[住宅展示場]])、併用型はマンション販売である。
: 営業先の選定方法は、既存顧客からの紹介や名簿の購入など業種により様々である。
 
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; [[製品開発]]部門と顧客との橋渡し
: 顧客から得られる情報には、商品に対する問題点や新たなニーズなどの有益な情報が含まれる事が多く、適切な部門へのフィードバックが求められる。
: 顧客と製品開発部門とは求めている方向性が違う(要求と技術的解法)ため、意思疎通が難しい場合もある。又、専門性の強い商品の場合、営業活動にあたって技術的な部分のやり取りが必要となる事が多い。そのため、技術の分かる営業が中に入って、双方の言葉を翻訳、あるいは営業活動のサポートをする事が求められる。このような作業を行う営業を「技術営業」「セールスエンジニア」と呼ぶ事がある。
; 販売促進・調査
: 販売活動を効果的に行うために、[[市場調査]]や、各種広告を行う。マーケティングや商品企画といった専門の部署で行われる事が多い。
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== 営業職の成立 ==
<!-- 経緯、問題 -->
現代のような営業職が成立した理由の一つとして、社会的[[分業]]システムの深化が挙げられる。大規模化した企業を効率的に運営するために分業化が進み、営業職は事務職や販売職、製造部門(技術職)と分離され独立した。営業職を独立させる事により、効率的な生産が可能になった他、プレゼンテーション技法の高度化などがもたらされた。しかし、営業と製造部門を分離しすぎたため、売るべき製品に対する営業職従事者の愛着が失われ、モチベーション低下を招いている例もある。<!--どのような物(サービス)を売るのかは、会社によって大きく異なるので、しっかり吟味する事が必要。-->
営業職を独立させる事により、効率的な生産が可能になった他、プレゼンテーション技法の高度化などがもたらされた。しかし、営業と製造部門を分離しすぎたため、売るべき製品に対する営業職従事者の愛着が失われ、モチベーション低下を招いている例もある。<!--どのような物(サービス)を売るのかは、会社によって大きく異なるので、しっかり吟味する事が必要。-->
 
== 特徴 ==
世間一般的には営業職はきつい、厳しいという認識がある。仕事の結果を売上額、契約受注額や契約件数で客観的に測定しやすいため、年俸制などの[[成果主義]]が適用されやすく、また[[保険外交員]]のように[[歩合制]]を採用しているところも多い。営業成績によっては、高額の手当が期待出来る事もあるが、常に日々の数字(結果)というプレッシャーを受け続ける。
 
'''[[ノルマ]]'''(個人別の売上げ目標)が厳しいため休日返上で出勤する話は少なくない。なかにはノルマ達成のため休日・時間外勤務が実質義務になっている企業も少なからず存在する(サービス出勤、[[サービス残業]])。社員の中には苦し紛れに自らが自費で商品を購入するケースもある(これを隠語で「自爆」という)。同僚である他の営業社員とは競争関係にある場合が多く、情報の共有化が為されないため、仮に劣悪な労働環境だとしても労働組合に訴えにくいことがある。労働組合の側も営業職の待遇については見て見ぬ振りをする傾向があり、営業職の労働環境は総じて改善されていない。いわゆる[[ブラック企業]]と呼ばれる低い評価をされる会社の不人気要因の一つに、大量採用・大量退職の営業部隊社員の勤務実態および待遇が劣悪であるという点が挙げられることも多い。
 
営業職には、多くの人と接する[[コミュニケーション]]能力だけでなく、常に変化する状況に適切に対応する能力が求められる。そのため、「営業技術は汎用性が高く、営業が出来れば何の職業でも出来る」と言われる事がある。しかし、実際は営業職以外の他職種への転職は難しいことが多い。職務の高度化・専門化が進んだ昨今では尚更である。逆に、他職種から営業職への転職は簡単である場合が多い。また、一般的に定着率が低いため営業職の求人数は多い。特に未経験、学歴不問での正社員待遇の求人はその多くが営業職であり、採用基準も大幅に低い。ただ、コンサルティング営業など、経験者が有利だったり専門知識を要する営業職もあるので必ずしも「営業職は誰でも就ける」というわけではない。
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== 営業を専門としない者による営業活動 ==
[[新聞販売店]]の一部には、([[新聞拡張団]]とは別に)自店の新聞配達員にも顧客の新規開拓を行わせる店が存在する。この場合の配達員や個人事業主・経営者などのように、主たる職務が営業でない者は「営業職」ではない。例えば、日本に古くからあった「[[御用聞き]]」は既存顧客の需要掘り起こし作業であり、紛れも無い営業(営業'''活動''')であるが、経営者や一般従業員によるものであるため、当該従事者は営業'''職'''ではない。なお現代では(BtoBの)御用聞きだけを行う営業職が存在する。それが「ルート営業」である。
この場合の配達員や個人事業主・経営者などのように、主たる職務が営業でない者は「営業職」ではない。
例えば、日本に古くからあった「[[御用聞き]]」は既存顧客の需要掘り起こし作業であり紛れも無い営業(営業'''活動''')であるが、経営者や一般従業員によるものであるため、当該従事者は営業'''職'''ではない。なお現代では(BtoBの)御用聞きだけを行う営業職が存在する。それが「ルート営業」である。
 
 
== 出典 ==