「逆選抜」の版間の差分

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逆選抜ではなくモラルハザードの例なので除去
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中古車市場では、売り手は車の品質をよく理解しているが、買い手は車を購入するまで車の品質を詳しく調査できない場合が多い。そのため情報優位者である売り手は情報劣位者である買い手の無知につけ込んで、良質な車は手元に置いておき、劣悪な車を売りつけようとする。したがって中古車市場には劣悪な車ばかりが出回る結果になり、買い手が良質な車を選択しようとしても、結果的にはその逆の選択が行われてしまう。
 
中古車市場における中古車の品質などの情報は、売り手のみが知りうる情報であり、買い手には知りえない情報であるため、「隠された私的情報」と呼ばれている。
 
== 金融市場における逆選抜 ==
資金を提供される事業者や企業がどのような行動をとるかは、当人や当企業にはわかっていても、資金を提供する投資家や銀行などには詳しくは分からない。
 
もちろんどの企業であれ利益を追求して行動するとは考えられるが、特に資金を貸し付けて金利を得る場合、リスクに対する利益が貸し手と借り手とで異なったものとなるため、逆選抜が起こりやすい。つまり資金を貸して金利を得る場合、貸す相手があまり成功しなくとも、あるいは大成功しようとも、貸し手にとっては得られる利益は一定であり確実に返済されることが重要なこととなる。一方で借り手からすると、少しの成功と大成功とでは得られる利益が大きく異なるのである。
 
ここで、例えば確実に成功し10%の利益が得られる事業と成功確率は五分五分だが成功すれば200%の利益が得られる事業がある場合、貸し手である銀行などからすると確実に成功する事業を行う企業の方が望ましく、このような企業に貸せば確実に返済を受けることが出来る。しかし借り手である企業からすると、確実な方の利益の期待値は10%であるのに対してより危険な事業に挑戦すれば100%の利益が期待値として計算でき、そこで確実な事業に投資すると言って資金を借り、実際には危険な事業に投資するというインセンティブが生まれるのである。
 
特に金利が高い場合には、安全な事業で得られる利益が少なくなり、一か八かの賭けに出るインセンティブが高くなる。上の例で見ると、金利が1%であれば、確実な9%の利益か五分五分の99%の利益かであり、9%でも確実に得られるならばとこちらを選択するものも多いと考えられるが、金利が9%であれば確実な1%の利益か五分五分の91%の利益かであり、五分五分にかけるものが増加すると考えられるのである。
 
==逆選抜への対策==