「ファデエフ=ポポフゴースト」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
NS5-brane (会話 | 投稿記録)
en:Faddeev–Popov ghost 03:33, 21 October 2010 を翻訳。ただし最後の"General ghosts in theoretical physics"を除く。
 
NS5-brane (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
1行目:
'''ファデエフ=ポポフゴースト'''(Faddeev-Popov ghost、'''ゴースト場'''とも呼ばれる)とは、[[ゲージ理論|ゲージ]][[場の量子論]]の[[経路積分]]による定式化の際に理論の整合性を保つために導入される場である。ファデエフ([[:en:Ludvig Faddeev]])とポポフ([[:en:Victor Popov]])により導入された。<ref>W. F. Chen. [http://arxiv.org/pdf/0803.1340v2 Quantum Field Theory and Differential Geometry]</ref>
 
== ゲージ場の経路積分 ==
5行目:
ゴースト場は場の量子論を経路積分によって定義する際に、あいまいさや特異性をもつ解を出さないように定式化するために必要となる。ゲージ対称性をもつ理論の場合、ゲージ変換で繋がる物理的に等価な解の中から一つだけ選び出す処方は存在しない。
 
経路積分では、ゲージ対称性で繋がる等価な物理的状態に対応する場の配位が重複して計算されることによる問題が生じる。この重複は経路積分の測度の因子に含まれる。それが原因で、[[ファインマン・ダイアグラム]]などの通常の方法を用いて、元の作用から様々な量を直接計算することができなくなる。
 
しかしながら、ゲージ対称性を破る場(ゴースト場)を作用に追加することにより問題を解決することができる。この手法はファデエフ=ポポフの方法と呼ばれる。ゴースト場は、現実の粒子ではなく[[仮想粒子]]としてのみ[[ファインマン・ダイアグラム]]に現れる計算上のツールであるが、ユニタリティを保つために必要となる。
25行目:
== ゴースト場のラグランジアン ==
 
[[ヤン=ミルズ理論]]でのゴースト場 <math>c^a(x)\,</math> に対する[[ラグランジアン]]は以下のように与えられる。(添字 ''a'' はゲージ群の[[特殊ユニタリ群#随伴表現|随伴表現]]を表す)
 
:<math>\mathcal{L}_\mathrm{ghost} = \partial_\mu \overline{c}^a\partial^\mu c^a + g f^{abc}(\partial^\mu\overline{c}^a) A_\mu^b c^c. </math>
 
第一項は複素スカラー場と同様の運動項であり、第二項はゲージ場との相互作用を表している。''g'' はゲージ場の結合定数、<math>f^{abc}</math> はゲージ群の構造定数である。
 
[[量子電磁力学]]のように可換なゲージ群をもつ理論では、第二項の <math>f^{abc}</math> がゼロとなるため、ゴースト場とゲージ場は相互作用せず、ゴースト場の存在は理論になんの影響も及ぼさない。