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{{国際化|日本}}
{{IPstack}}
'''ISDN'''(アイエスディーエヌ、'''Integrated Services Digital Network'''、'''サービス総合ディジタル網'''<ref>日本ITU協会による[[ITU-T|CCITT]]勧告和訳本の表記による[http://opac.ndl.go.jp/recordid/000001895250/jpn]。また[[東日本電信電話|NTT東日本]][http://www.ntt-east.co.jp/ISDN/basics/index.html]、[[西日本電信電話|NTT西日本]][http://www.ntt-west.co.jp/denwa/support/faq/isdn_gaiyou.html]、[[KDDI]][http://www.kddi.com/business/kokusai_isdn/index.html]などの商用ISDNサービスの解説でもこの表記を用いている。</ref><ref>[[シスコシステムズ]]による[http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/service/info/tips/terms/AI.shtml インターネットワーキング用語・略語集]では'''サービス総合ディジタルネットワーク'''と解説しているなど、他の日本語表記も多く見られる。</ref>)とは[[交換機]]・中継回線・[[加入者線]]まで全て[[デジタル]]化された、[[パケット通信]]・[[回線交換]][[データ通信]]にも利用できるデジタル回線網である。ISDNはモデムで接続する既存の[[公衆交換電話網]](PSTN) (PSTN) をデジタル化することで、高速で高品質な回線サービスを提供する。[[ITU-T]](電気通信標準化部門)によって世界共通のIシリーズ規格として定められている。
 
[[音]]声は、0.3~33 - 3.4[[キロヘルツ|kHz]]を64k[[ビット毎秒|bps]]の回線交換でISDN網内を伝送しているため、[[VoIP]]よりも音声品質が安定している。また北米・[[日本]]は[[μ-lawアルゴリズム|μ則]]、その他の国々では[[A-lawアルゴリズム|A則]]が[[PCM]]非直線[[符号化方式|符号化]]に使用されているため北米・日本側の関門[[電話交換機]]で変換している。
<!--
 
<!--故障率を示す[[MTBF]]が非常に低く、反対に稼働率が[[ファイブナイン]](99 (99.99999%) と高い。また回線交換データ通信の場合速度がパケット通信の場合[[Quality of Service|QoS]](サービスの品質)が保障されているため、[[ADSL]]より品質が良いとされている。-->
<!--一般回線網より課金単位が割高な海外では、あまり普及していない。{{要出典}}どこの国なのかも含めて-->
 
== 電話番号 ==
[[電話番号]]は、通常の[[市外局番]]のものがDチャネル1つあたり1つ割り当てられる。また「[[ダイヤルイン]]」や「[[i・ナンバー]]」を申し込むことにより、電話番号の追加が有料で可能である。ダイヤルインを利用した番号の追加はDチャネル毎に与えられた1つの番号を含めて最大で9999番号、i・ナンバーを利用した番号の追加はDチャネル毎に与えられた1つの番号を含めて最大3番号で番号の利用は回線につながったISDN[[ターミナルアダプタ]]に番号を設定する事でIインターフェイスに2チャンネルあるBチャンネルと1チャネルあるDチャンネルで自由に利用することが出来る。また、ダイヤルインi・ナンバーの電話番号は通常の市外局番の電話番号以外に[[フリーダイヤル]]の0120や0800で始まる番号や情報提供料を発信者に課金する[[ダイヤルQ2]]の0990で始まる番号、#ダイヤル(着信短縮ダイヤルサービス)の番号などの割り当てを受けることも可能。
 
ISDN相互間の通信の場合、[[サブアドレス]]という付加番号を電話番号の後に付け同じ電話番号の中から特定の端末を指定しての呼び出しが可能である。またサービスクラスと呼ばれる可能な通信方法を呼び出し時に知らせる機能により、[[ファクシミリ]]からの発信の場合にファクシミリのみ応答させるといったことが可能である。
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== 機器の接続 ==
日本では一般的な基本速度TCM-ISDNは[[ヨーロッパ]]・[[アジア]]の基本速度Euro-ISDNと加入者線インターフェースが異なるため、回線終端装置(DSU) (DSU) の互換性は無い。また、一次群速度加入者線インターフェースについても地域によって異なっている。
 
DSU以外の部分は、ソフトウエアの変更のみで各国対応となる機器が多い。
 
=== S点インターフェース機器 ===
基本インターフェースのNTの端末側(S点・T点)は終端された4線式のバス配線であり、ポイント・マルチポイント構成と呼ばれる1本当たり最大8台の端末の接続が可能である。
 
次の2種類がある。
*; 短距離受動バス配線
: 最大ケーブル長が200m以下の配線であり、任意の場所に端末接続用のモジュラージャックを設置できる。
*; 延長受動バス配線
: 最大ケーブル長が500m以下の配線であり、末端部付近に集中して端末接続用のモジュラージャックを設置できる。
 
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一次群速度インタフェースのNTの端末側(S点・T点)は4線式の配線であり、ポイント・ポイント構成と呼ばれる1本当たり1台のみの端末の接続が可能である。
 
伝送路から伝送された信号を回線終端装置(NT1) (NT1) でS点インターフェースに変換し、超高速伝送の可能な[[ルータ]]・[[ファクシミリ#規格|G4 FAX]]などのS点インターフェース機器(TE1) (TE1) を接続する。また、[[構内交換機]](NT2) (NT2) などを使用し内線通信などを可能にすることもある。
 
|TE1|--S点--|NT2|--T点--|NT1|--(LI)U (LI) U点--加入者線
 
=== アナログ電話回線機器など ===
S点インターフェースが複雑なために実際にS点インターフェースを備えた端末機器(G4 FAXやISDN対応電話機)は少なく、[[ターミナルアダプタ]](TA) (TA) で変換して従来のアナログ[[電話機]]・ファクシミリ(TE2) (TE2) や[[Local Area Network|LAN]]・[[コンピュータ]]機器を接続して利用する形態が一般的に行われている。
 
ターミナルアダプタは、ISDN回線からの給電のみでは動作しない。そのため、乾電池などで停電補償を行うものがある。
 
|TE2|--R点--|TA|--S点--|NT2|--T点--|NT1|--(LI)U (LI) U点--加入者線
 
NT2とTAの機能を持ったターミナルアダプタの場合
  
|TE2|--R点--|TA + NT2|--T点--|NT1|--(LI)U (LI) U点--加入者線
 
また、NT1、NT2、TAの機能を全て備えたターミナルアダプタの場合は以下のようになる。
 
|TE2|--R点--|TA + NT2 + NT1|--(LI)U (LI) U点--加入者線
 
=== 機能群 ===
*; NT1
: 回線終端装置(DSU:Digital (DSU: Digital Service Unit)Unit) - 加入者線の終端・Iインターフェースへの変換・端末機器などへの給電を行う。
*; NT2
: 端末制御装置・[[構内交換機]](PBX:Private (PBX: Private automatic Branch eXchange)eXchange) - 端末装置間の通信手順制御・交換・多重化・集線などを行う。
*; TE1
: S点インターフェース端末装置
*; TE2
: S点インターフェース以外の端末装置
*; TA
: ターミナルアダプタ
 
=== 参照点 ===
*; (LI)U(LI) U
: 伝送路インターフェース規定点 - 基本速度インタフェースの場合はNT1のRJ-11の電話用6極[[Registered jack|モジュラージャック]]またはねじ止め部分、一次群速度インタフェースの場合は、NT1の光コネクタ部分である。
*; T点
: ISDNユーザー網インタフェース規定点 - 基本速度インタフェースの場合はNT1の[[8P8C|RJ-45]]の8極モジュラージャックまたはねじ止め部分、一次群速度インタフェースの場合は、NT1のねじ止め部分である。
*; S点
: NT2のRJ-45の8極モジュラージャックまたはねじ止め部分である。
*; R点
: TEの電話用6極モジュラージャック部分である。
 
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== 基本速度インターフェース ==
基本速度[[インタフェース (情報技術)|インターフェース]](BRI:Basic (BRI: Basic Rate Interface)Interface) は64kbpsの2個のデータチャネルと16kbpsの信号チャネルから構成され、2B+Dなどと表記される。基本速度インターフェースはSOHO、個人、バックアップ回線として利用される。ISDNには、基本速度インターフェースと一次群速度インターフェースの2種類がある。
 
加入者線伝送方式として、アナログ電話回線と同じ2芯[[ツイストペアケーブル]][[通信線路]]が使用されることが多い。電話局設置の[[電話交換機]]からDSUの動作と音声通話に必要な最低限の給電が行われる。
 
伝送方式は、地域や[[電気通信事業者]]によって異なっている。
 
=== TCM-ISDN ===
TCM-ISDNは、[[日本]]の[[東日本電信電話|NTT東日本]]・[[西日本電信電話|西日本]]の「INSネット64」で使用されている。
 
ピンポン伝送とも呼ばれる時分割方向制御方式(Time (Time Compression Multiplexing)Multiplexing) でAMI[[符号化方式|符号化]]による[[ベースバンド伝送]]を行っている。使用する[[周波数]]帯域が広くなるが、伝送装置が単純となる。また加入者線間でタイミングを合わせて送受信を切り替えるため近端漏話が無く遠端漏話のみとなり、細い加入者線で長距離伝送が可能である。
 
[[ADSL]]回線と加入者線(ISDN回線)の同時使用は不可能である。また相互干渉を抑えるAnnex C規格の採用や同じより対線の組にISDNとADSLを収容しないようにする収容代えが必要であるなど、日本国内の一部からはADSL普及を阻害したと批判されたこともあった。
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== 一次群速度インターフェース ==
一次群速度インターフェース(PRI:Primary (PRI: Primary Rate Interface)Interface) は、より多くのチャネルから構成される。企業やプロバイダの回線として利用される。
 
構成は、地域によって異なっている。
*; 北米及び日本(NTTの「INSネット1500」)
: 23B+D(64kbps)(D (64kbps)(他の回線とDチャネルを共用する場合は24Bも可能)で、通信速度は1.544 Mbit/s(T1)s (T1)
*; ヨーロッパ、及びオーストラリア
: 30B+D(64kbps)D (64kbps) で、通信速度は 2.048 Mbit/s(E1)s (E1)
 
加入者線伝送方式として、2芯の[[光ケーブル]]が使用されることが多い。給電が行われないため、加入者側で電源の確保が必要である。
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* [[1972年]]の[[ITU-T|CCITT]]のジュネーブ総会でISDNの基本概念が発表された。
* [[1985年]]4月、[[シンガポール]]において[[富士通]]製のデジタル[[電話交換機]]で、世界初のIインターフェースによる実環境を用いた試験が開始された。
 
=== 日本での歴史と現状 ===
[[ファイル:DM1021形電話機 特仕7988号2版.JPG|thumb|200px|right|三鷹市・武蔵野市でISDNの実用化試験で使われていたDM1021形電話機 特仕7988号2版 Yインターフェース回線のISDN回線で動作する為、現在のISDN回線では利用することはできない。]]
旧[[日本電信電話公社]]によって[[1970年代]]から独自の研究が行われていた。高度情報通信システム ('''INS'''='''I'''nformation '''N'''etwork '''S'''ystem)ystem) と呼ばれ[[1984年]]、[[三鷹市]]・[[武蔵野市]]で現在のものと互換性のないYインターフェースで実用化試験が行われた。ちなみにYインターフェースでの'''INS'''(ISDN) (ISDN) 回線は回線構成が1B+1Dで通話と同時にFAXの送受信が行えないなど不便があったため、デジタルで通信を行う以外は旧来の電話と機能に変化が無いため現行のIインターフェースのISDN回線では回線構成が2B+Dになったらしい。
 
[[1988年]][[4月19日]]に旧[[日本電信電話|NTT]]によって「[http://www.ntt-east.co.jp/ISDN/64/index.html '''INSネット64''']」「[http://www.ntt-east.co.jp/ISDN/1500/ '''INSネット1500''']」の[[商標]]でIインターフェースによる商用サービスが開始され、[[1998年]]のNTT再編後は[[東日本電信電話|NTT東日本]]・[[西日本電信電話|西日本]]から提供されている。大阪市中央区淡路町にあるNTTのビルには「明日への通信 INS発祥の地 昭和63年4月」の石碑がある[http://denwakyoku.jp/kitahama.html]。また、[[2000年代]]に入り他の[[電気通信事業者]]のサービスも開始された。
 
登場当初はバーチャルコール方式[[パケット通信]](INS (INS-P:INSP: INS-Packet switching service)service) による、大型[[コンピュータ]]などのパケット通信網(DDX (DDX-P:DigitalP: Digital Data eXchange Packet switching service)service) へのアクセスなどから利用された。間欠送信である[[クレジットカード]]の信用照会(CAFIS) (CAFIS) などに、パケット通信特有のデータ量による課金体系であることを生かして使用された。
 
また「INSネット1500」1回線で23本の回線が取れることを生かして、[[インターネットサービスプロバイダ]]の[[ダイヤルアップ接続]]用[[アクセスポイント (ISP)|アクセスポイント]]の拡充に使用された。
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* [[ラジオ]]の中継回線([[放送線]])や、データ通信回線(デジタル[[専用線]]など)のバックアップ用。
 
なお日本国内において遍く提供されているように思われているがINSネット64の場合(メタル線)、収容局から加入者宅までのメタル線路長が8~10km8 - 10kmを超えるような場合には、サービス提供が困難であると言う問題がある。
 
2010年11月、NTT(東西)は、固定電話網の基幹部分を交換機方式からIP方式に完全に切り替え、交換機の寿命が到来する[[2025年]]頃でサービスを廃止すると発表した。代替としては「[[フレッツ#フレッツ 光ネクスト|フレッツ光ネクスト]]」網 + 「[[フレッツ#ひかり電話|ひかり電話]]」サービスを組み合わせたサービスへの移行が例示されている<ref>[http://www.ntt-east.co.jp/release/1011/pdf/101102a_1.pdf PTSNのマイグレーションについて~概括的展望~]東日本電信電話・西日本電信電話、2010年11月2日</ref>
 
==== NTTグループ以外の状況 ====
[[電力系通信事業者]]では10社中、[[沖縄通信ネットワーク]](OTNet) (OTNet) を除く9社が導入したが[[HOTnet]]・[[HTNet]]・[[TOHKnet]]が既に撤退しうち2社については総務省から割り当てられた市内局番も返上している。他の事業者でも一部で撤退を検討している地域もある([[エネルギアコム]]が一部地域でのみサービスを廃止しているケースに見られる)が、現時点では正式には撤退を明言していない。
 
== 脚注 ==