「マイケル付加」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Akane700 (会話 | 投稿記録)
en:Michael reaction#Mechanism16:42, 27 December 2010(UTC)を抄訳
1行目:
'''マイケル付加'''反応({{lang-en-short|Michael addition}})は、[[エノン|α,β-不飽和カルボニル化合物]]に対して[[カルバニオン]]またはその他の[[求核剤]]<ref>Little, R.; Masjedizadeh, M.; Wallquist, O.; Mcloughlin, J. ''[[Org. React.]]'' '''1995''', ''47'', 315. (doi: [http://dx.doi.org/10.1002/0471264180.or047.02 10.1002/0471264180.or047.02])</ref><ref>{{cite DOI|10.1016/j.progpolymsci.2006.03.001}}</ref><ref>[http://www.files.chem.vt.edu/chem-dept/mapmuri/pdf/Mather%20reprint%206_06.pdf Mather 2006 reprint ]</ref> を1,4-付加を行うさせる反応である。[[共役付加反応]]に属する。[[アメリカ]]の[[化学者]][[アーサー・マイケル]](Arthur Michael)によって報告された。
[[Image:Michael_reaction.png|center|280px]]
 
== 概要 ==
[[エチレン]]のような通常の[[アルケン]]は一般的には求核剤との反応は起こらないが、[[アクリル酸メチル]]のように、電子求引性基によって(求核攻撃に対して)[[活性化]]されたアルケンは、[[グリニャール試薬]]や[[エノラート]]のような求核剤と反応することが可能である。同様に、[[電子求引性基]]である[[ニトロ基]]や[[シアノ基]]の結合したビニル化合物についても同様の反応が起こる。
[[アクリル酸メチル]]のように、電子求引性基によって(求核攻撃に対して)[[活性化]]されたアルケンは、
[[グリニャール試薬]]や[[エノラート]]のような求核剤と反応することが可能である。
同様に、[[電子求引性基]]である[[ニトロ基]]や[[シアノ基]]の結合したビニル化合物についても同様の反応が起こる。
 
一般のカルボニル化合物と求核剤との反応では、求核剤がカルボニル炭素に対して求核攻撃するが、
マイケル付加反応においては、求核剤の付加はカルボニルとの[[共鳴]]によりδ-となったβ位の炭素に対して起こり、求核剤上にあった負電荷は酸素へと移る。これは、α,β-不飽和カルボニル化合物のような共役した化合物の[[LUMO]]はビニル基上にあり、求核剤の[[HOMO]]との相互作用が最も強いビニル基で反応が起こるためである。
 
また、α,β-不飽和カルボニル化合物に対して1,2-付加を起こすためにはハードな求核剤([[HSAB則]]参照)を用いればよい。有機銅試薬([[ギルマン試薬]],R2CuLi)や[[グリニャール試薬]]が主に1,4-付加体を生成するのに対し、[[アルキルリチウム]]が1,2-付加するのはこのためである。
[[Image:Michael_reaction.png|center|280px]]
 
== 反応機構 ==
[[File:Michael Reaction Mechanism.png|right|500px]]
まず、物質'''1'''が[[塩基]]によって[[脱プロトン化]]され求核的な[[カルバニオン]]'''2'''が形成する。このカルバニオンは電子求引基(ケトン基)によって安定化され、'''2A'''から'''2C'''までの共鳴構造をとり、このうち'''2B'''と'''2C'''はエノラートである。これと求電子的な[[アルケン]]'''3'''が求核共役付加反応を起こし、エノラート'''4'''を形成する。最終的にエノラート'''4'''がプロトン化塩基からプロトンを受け取り生成物'''5'''を得る。
 
{{-}}
一般のカルボニル化合物と求核剤との反応では、求核剤がカルボニル炭素に対して求核攻撃するが、
== 出典 ==
マイケル付加反応においては、求核剤の付加はカルボニルとの[[共鳴]]によりδ-となったβ位の炭素に対して起こり、
<references />
求核剤上にあった負電荷は酸素へと移る。
これは、α,β-不飽和カルボニル化合物のような共役した化合物の[[LUMO]]はビニル基上にあり、
求核剤の[[HOMO]]との相互作用が最も強いビニル基で反応が起こるためである。
 
また、α,β-不飽和カルボニル化合物に対して1,2-付加を起こすためにはハードな求核剤([[HSAB則]]参照)を用いればよい。
有機銅試薬([[ギルマン試薬]],R2CuLi)や[[グリニャール試薬]]が主に1,4-付加体を生成するのに対し、[[アルキルリチウム]]が1,2-付加するのはこのためである。
 
== 関連項目 ==
28 ⟶ 26行目:
[[Category:炭素-炭素結合形成反応]]
[[Category:人名反応]]
{{sciChem-stub}}
 
[[de:Michael-Addition]]