「シャッター速度」の版間の差分

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*被写体の明るさと感度が一定であれば、絞りが開いている(F値が小さい)ほど適正露出のシャッタースピードは速くなり、絞り込む(F値が大きい)ほど遅くなる。この関係を'''相反則'''といい、フィルム撮影の元で長時間露出するなどによる、この関係の崩れを'''相反則不規'''(アンダーになったりやカラーバランスが崩れたりする。)という。デジタル写真では長時間露出をすると長秒ノイズが発生し、これを除く処理が行われる。
 
:なお、F値の大きさは[[被写界深度]]や[[小絞りボケ]]と関係するので注意を要する。
*被写体の明るさと、絞り値が一定であれば、感度が高いほど適正露出のシャッタースピードは速く、感度が低いほどシャッタースピードは遅くなる。ただし、一般にフィルムでも[[デジタルカメラ]]でも感度が上がるほど画質は粗くなる。
*[[レンズフィルター#NDフィルター|ND(減光)フィルター]]や[[レンズフィルター#PLフィルター|PL(偏光)フィルター]]、C-PL(円偏光)フィルターなど減光作用のあるフィルターをレンズに装着すると、適正露出に必要なシャッタースピードは遅くなる。このため明るいところでスローシャッターを切ったり、明るすぎてシャッターが下りないときなど、NDフィルターを使用することが適当である。絞りによってもシャッタースピードは調節できるが、被写界深度が変化したり、[[光]]の[[回折]]による[[小絞りボケ]]などを考慮に入れる必要がある。なおPLフィルターは回転することにより減光の程度が変化し、また反射に影響するなど特殊な効果を生じるので、この目的に使用するにあたっては考慮する必要がある。
 
[[AEカメラ|AE]](自動露出)カメラにはシャッター速度優先AE、絞り優先AE、プログラムAEなどのモードがあるが、シャッタースピードをコントロールして撮影する場合、[[AEカメラ#種類別用途#シャッター速度優先AE|シャッター速度優先AE]]を用いると便利である。希望するシャッタースピードに合わせて[[絞り (光学)|絞り]]が自動的に決定され、適正露出で撮影できる。また[[AEカメラ#種類別用途#絞り優先AE|絞り優先AE]]で撮影する場合、光量が一定であるとすると、絞りを開く([[F値]]が小さい)ほどシャッタースピードは速く、絞り込む(F値が大きい)ほど遅くなる。特に深い[[被写界深度]]([[パンフォーカス]])を狙って大きく絞り込むときは、シャッタースピードが遅くなるので、[[ブレ]]が生じるおそれ可能性があるので注意を要する。
 
==ブレ==
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三脚などを立てて手ぶれが起きないような状態でもシャッターの衝撃や、三脚の動きなどによりが生じることがあり、これを特に'''カメラぶれ'''という。
 
'''被写体ぶれ'''はシャッターが開放されている時間に被写体が動くことによって生じるブレである。[[Image:London bus and telephone box on Haymarket.jpg|right|thumb|300px|'''被写体ブレ'''。シャッタースピード1/5秒。三脚を立てているので手ブレはないが、高速で移動するバスの像だけがぶれている。]]
手ぶれ、カメラぶれは画面全体がぶれるのに対し、被写体ぶれは動いた被写体のみがぶれるのが特徴である。(写真参照)
 
手ぶれは一般に35ミリ換算で焦点距離分の1秒以下のシャッターを切ることによって防ぐことができるといわれる(例えば50ミリ相当の[[画角]]を持つレンズなら1/50秒、100ミリ相当のレンズなら1/100秒以上のシャッタースピードならぶれないとされる)。それ以下のシャッタースピードでは[[三脚]]や[[一脚]]などを利用することによりある程度解消でき、また最近の[[デジタルカメラ]]の中には[[手ぶれ補正機構]]が導入され、かなりの低速シャッターでも手持ちで撮影できるようになっているものもある。しかし、これらの方法でもカメラぶれ、被写体ぶれは防ぐことはできない。カメラぶれを防ぐためには[[リモートレリーズ]]を使用する、頑丈な三脚を利用する、[[ミラーアップ]]によりシャッター開閉のショックを少なくするなどの方法がある。
 
被写体ぶれを防止するには、さらに[[ISO感度]]を上げたり、絞りを開く、あるいは[[エレクトロニックフラッシュ|ストロボ]]など[[照明]]を利用するなどの方法により露光時間を短縮するしかない。特に[[風景写真]]では画質の良い低感度のもとで[[パンフォーカス]]を狙って大きく絞り込む結果、シャッタースピードが遅くなることが多く、風の止むのを待ってシャッターを切るなど、風などによる被写体ぶれに留意する必要がある。(風の止むのを待ってシャッターを切るなど)
 
一定のシャッタースピードを確保しつつ撮影するには[[AE#シャッター優先AE|シャッター優先AE]]を選択する場合が多いが、暗い被写体の場合、絞りが開いてしまい、被写界深度が浅くなりすぎる場合がある。そのため、ISO感度を上げることにより、被写界深度とシャッタースピードを両立するという手段も存在する。しかし、感度を上げるとノイズが発生することは念頭に置く必要がある。
 
最近のデジタルカメラのなかには、ブレを防ぐために一定のシャッタースピードを決定し、同時に被写界深度を確保するため一定のF値を決定すると、自動的に適切な[[ISO感度]]をカメラが選択するというモード('''TAvモード'''など)を持つ機種が現れている。
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==低速シャッターによる表現==
[[image:Ralf Schumacher Indianapolis 2003.jpg|thumb|200px|作例3 レーシングカー・流し撮り]]作例3は同じくレーシングカーを撮ったものであるが、作例2と違って背景が流れている。これは低速シャッターを利用してレーシングカーの動きに合わせてカメラの向きを動かしながら撮ったものである。「[[流し撮り]]」といわれるやや高度なテクニックを要する撮影方法であり、スピード感が強く表現されている。
 
[[IMAGE:Zoom effect.jpg|thumb|200px|作例4 露光間ズーム 1/20秒]]作例4は、低速シャッターにより露光時間中にズームレンズのズームを動かして撮影したもの。'''露光間ズーム'''といわれる手法である。
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[[image:Avtoput.JPG|thumb|200px|作例7 高速道路の光跡 13秒]]作例7は高速道路を往来する自動車のヘッドライト・テールランプの光跡を13秒間のシャッター開放で表現したものである。
 
このように、シャッタースピードの調整によって、さまざまな写真表現が可能なのである。
 
==関連項目==