「FM-PAC」の版間の差分
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{{試聴|ファイル名=Msx_music_drums(org).ogg|タイトル=BASICでのドラム演奏例|説明文=|フォーマット=[[Ogg]]}}
{{試聴|ファイル名=Msx_music_drums(plus_noise).ogg|タイトル=BASICでのドラム演奏例(ノイズを重ねた例)|説明文=|フォーマット=[[Ogg]]}}
'''FM-PAC'''(えふえむぱっく)は、[[パナソニック|松下電器産業(現:パナソニック)]]より[[1988年]]に発売された日本の[[パーソナルコンピュータ]]、[[MSX]]シリーズ用の[[拡張カード|拡張カートリッジ]]であり、正式名称は「FM Pana Amusement Cartridge」。[[YM-2413]]を搭載し、MSXに9重和音、もしくは6重和音 + [[ドラムセット]]5音の演奏環境を追加拡張するほか、一部のゲームなどに対応した[[バッテリーバックアップ]]メモリも内蔵している。[[希望小売価格]]は7800円。
== 概要 ==
FM-PACは「FM Pana Amusement Cartridge」を省略した呼び方である。そのほか、「FM PAC」
カートリッジの形態を取り、MSXの[[拡張スロット]]に挿入することで、従来[[Programmable Sound Generator|PSG]]が
複数のスロットを備えたMSXで同時に挿入することで、ROMカートリッジで供給させるゲームにも利用可能である。この[[規格]]は「MSX-MUSIC」と呼ばれる。
また、ゲームソフトなどのセーブデータを保存するために8[[KB]]の[[Static Random Access Memory|SRAM]]を搭載しており、[[パナアミューズメントカートリッジ]]と同等の機能を持つ。この機能は対応ソフトウェアでしか使用できず、従来の保存方法である[[フロッピーディスク]]や[[データレコーダ]]の代替とはなりえない。▼
▲また、ゲームソフトなどのセーブデータを保存するために8[[KB]]の[[Static Random Access Memory|SRAM]]を搭載しており、[[パナアミューズメントカートリッジ]]と同等の機能を持つ。この機能は対応ソフトウェア以外で
▲従来[[Programmable Sound Generator|PSG]]が(1988年当時は標準的なスペックであった)3[[チャンネル]]のみと貧弱なサウンド機能しか持っていなかったMSXに[[YAMAHA]]のFM音源機能を搭載する拡張カートリッジである。使用されているFM音源チップは[[YM2413]]。2オペレータ、モノフォニック、9和音または6和音+リズム5和音と言った機能となっている。
一般的なMSX用カートリッジに比べて、やや背高のサイズとなっている。FM音源はMSX本体の内部を通り、本体の音声出力端子から、PSGとミックスされた音が出力される。カートリッジ上部にスライドスイッチがあり、FM音源のボリュームは3段階に切り替え
== サンプル曲 ==
== MSX-MUSIC ==
MSXの標準音源規格として本来は[[MSX-AUDIO]]が準備されていたが、MSXのオプション機器として製品化されたFS-CA1が34,800円と高価でほとんど普及しなかったため、低コスト版として開発された<ref> 「早すぎた迷オプション MSX-AUDIO」『MSX MAGAZINE 永久保存版 2』アスキー書籍編集部編著、アスキー、2003年、pp.148-151。</ref>。
▲MSXの標準音源規格として本来は[[MSX-AUDIO]]が準備されていたが、MSXのオプション機器として製品化されたFS-CA1が34,800円と高価でほとんど普及しなかったため、低コスト版として開発された<ref> 「早すぎた迷オプション MSX-AUDIO」『MSX MAGAZINE 永久保存版 2』アスキー書籍編集部編著、アスキー、2003年、pp.148-151。</ref>。1989年11月に発売された、『[[マイコンBASICマガジン]]』の別冊である『MSX/MSX2/MSX2+ ゲーム・ミュージック・プログラム大全集』では、多くのゲームが対応したため爆発的なヒットを記録し、他機種のゲームをも含めたヒットチャートでベスト3入りを記録した上、マイコンBASICマガジン誌上の音楽プログラム投稿コーナーへの投稿の8割がMSX-MUSIC用のデータで占められたとされている<ref>『MSX/MSX2/MSX2+ ゲーム・ミュージック・プログラム大全集』p.218</ref>。
1989年11月に発売された、『[[マイコンBASICマガジン]]』の別冊である『MSX/MSX2/MSX2+ ゲーム・ミュージック・プログラム大全集』では、多くの使用曲が収録された。
FM-PACは爆発的なヒットを記録し、他機種のゲームをも含めたヒットチャートでベスト3入りを記録した上、マイコンBASICマガジン誌上の音楽プログラム投稿コーナーへの投稿の8割がMSX-MUSIC用のデータで占められたとされている<ref>『MSX/MSX2/MSX2+ ゲーム・ミュージック・プログラム大全集』p.218</ref>。
MSX2+ではオプション規格となった。MSX-MUSIC を搭載しなかった機種は松下「FS-A1FX」などごく限られており<!-- 三洋のFDD無し2+も非搭載です -->、事実上の標準搭載機能となった。FM-PAC発売以降のMSX2でも対応ソフトの多くが対応している。
後にMSXturboRにて正式に標準機能となった。使用するにはMSX本体の[[RAM]]が32KiB以上必要である<ref name=fmongaku-p4 />。
== パナアミューズメントカートリッジとして ==
8KBのSRAMにソフトウェアの状態保存などを行う。「パックコマンダー」というデータ管理用[[ユーティリティソフト]]がROMに内蔵されており
通常、SRAMはFM-PACのROMの裏側に隠れて == BASICからのMSX-MUSICの使用 ==
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:FM音源の各チャンネルに音色を設定する。チップ内蔵の15の音色以外は自作音色扱いとなり、1セットしかない自作音色用レジスタを占有してしまうため、同時に1種類しか使用できない。BASICの各命令の実行と、音源の演奏は標準設定では同期しておらず、このコマンドは主に演奏開始前に使用され、曲中での音色変更には通常、[[Music Macro Language|MML]]の@コマンドを用いる。
;CALL TEMPER(9)
:[[音律]]を設定できる。これは当時の日本の他の[[パーソナルコンピューター]]
;CALL VOICE COPY(@63, tone%)
:音色データエリアと任意の配列変数間でデータをコピーする。データサイズは32[[byte]]。[[MSX-BASIC]]では[[整数型]]が2byte
DIM TONE%(15):FOR I=0 TO 15:READ A$:TONE%(I) = VAL("&H" + A$):NEXT
DATA 0000,0000,0000,0000
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CALL VOICE COPY(TONE%, @63)
:曲中で複数の音色を使用する時は、PLAY文の合間に CALL VOICE COPY 文を挟むことで行う。
:音色設定にはFM音源のパラメータを直接(人間にとって自然に)表記して上記の32バイト配列にコンバートする
;PLAY #2, "C", "D", A$
:MMLに従い演奏を行う。従来の「PLAY」文が拡張されたものである。上記の右端の例の通り文字列変数も使用可能であり、むしろその方が一般的である。どの桁がFM/PSGのどのチャンネルを演奏するかは、CALL MUSICでの設定による。従来のPLAY文と違い、32分音符もある程度ズレなく演奏させることができる。標準設定では演奏はBASICの実行とは非同期に(自動的に)演奏される。なお、1度のPLAY分で流し込めるMMLの長さはMSX-BASICにより制限される。第1パラメータから順に、FM音源チャンネル(0~6個)、リズムチャンネル(0~1個)、PSGチャンネル(3個)となっている。
== MML ==
*オクターブ変更は > で上昇、 < で下降
*{ } で音譜を括る事で[[連符]]となる。
*@Vコマンドで[[音量]]を128段階に細かく設定できる
*Qコマンドを用いることで[[スタッカート]]や[[レガート]]を表現できる。8段階で調整可能
*Tコマンドでテンポが設定される
最も大きな点は、リズム音源演奏専用MMLの存在である。これは一般的なMMLとは全く異なり、例えば典型的な[[8ビート]]であれば、
B!H8H8SH8H8 B!H8BH8SH8H8
となる。B:[[バスドラム]] S:[[スネアドラム]] H:[[ハイハット]] M:[[タムタム]] C:[[シンバル]] となっており、可読性に難はあるものの、1まとまりのMMLで複数の打楽器を鳴らせる仕様となっている。なお、!はアクセントとして、音量を通常のものとは異なる値に変化させる修飾コマンドである
== BASICでの演奏の限界 ==
BASICでの演奏では[[ポルタメント]]が行えない
さらにMSXには[[SCC]]と
MSX-MUSICのドラムパートのうちスネアドラムは、未加工の状態で音程が一定で、かつ
なお、PSGパート
また、PSG制御レジスタはBIOSレベルで書き込みだけでなく読み込みも可能
OPLLのレジスタはライトオンリーであり、それ故タイマ割り込みによる音程や音量の制御は比較的困難だった。
当時、DTMの総本山的扱い
== チップ内蔵音色 ==
音色用レジスタを占有する音色も含めると、MSX-MUSICでは63種の音色が用意されてい
* @0 [[ピアノ]]1 (デフォルト)
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* @9 [[オルガン]]
* @10 [[ギター]]
* @12 [[エレキベース]]
* @14 [[ハープシコード]]
* @16 [[ビブラフォン]]
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* 1 [[中全音律|ミーントーン]]
* 2 [[ウェル・テンペラメント|ヴェルクマイスター]]
* 3 ヴェルクマイスター
* 4 ヴェルクマイスター
* 5 [[キルンベルガー第3法|キルンベルガー]]
* 6 キルンベルガー
* 7 ヴァロッティ・ヤング
* 8 [[ジャン=フィリップ・ラモー|ラモー]]
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*21 純正律 h M (gis m)
== MSX用のその他の音源関係オプション ==
* [[MSX-AUDIO]] - 先発の規格
* FM Sound Synthesizer Unit II - SFG-05 [[YAMAHA]]から発売された拡張音源ユニット。[[YM2151]](OPM)を搭載し、[[MIDI]]端子も装備。希望小売価格29,800円。ただし通常のカートリッジスロットとは異なる独自の形式を持ち、YAMAHA社や[[ビクター]]社製のMSX以外では別売のアダプターが必要だった。[[ミュージックシーケンサー]]や拡張BASICも供給された。[[MSX]]の項目も参照。
* MIDIサウルス - [[BIT2]]より発売された、MIDIインターフェイス。SCREEN6を使用したミュージックシーケンサーがFDで付属
== 脚注 ==
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*[[パナアミューズメントカートリッジ]]
*[[内蔵音源]]
*[[マイクロキャビン]] - MSX版の[[ファイナルファンタジー]]、[[サーク]]などでの、リッチな音使いが話題にな
== 外部リンク ==
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