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*佐々木は前半の道化役めいた所と後半の貫禄充分な英雄の対比が必要で、正体見あらわしの際に舌を出して両手を下げる「幽霊見得」やぶっかえりで濃紺の古銭模様の衣装(真田の六文銭にちなむ)へ引き抜くところなど仕どころのある役である。その点では明治期の[[四代目中村芝翫]]、初代中村吉右衛門が最高の演技を見せていた。なお、時政から時姫救出を命じられる件は[[大坂の役#大坂夏の陣|大坂夏の陣]]における[[坂崎出羽守]]の故事に因んでいる。なお、芝翫の型では井戸からの出には藤三郎の衣装に仁王襷をかけ、ぶっかえりは行わない。
*なお[[紀海音]]にも同名の作品がある。[[比企能員]]の謀反を扱った時代物の浄瑠璃だが今日では全く上演されていない。
*現在は三浦之助の登場から始まることが多いが、もとは時姫が御殿女中、迎えの侍たちを連れた大時代な行列豆腐を買う持って登場する「豆腐買」、村の女房が姫たちに飯の炊き方を伝授する「米とぎ」というユーモラスな端場が演じられていた。現在では時間の制約でカットされることが多いが文楽ではよく演じられている。
*前半部のクライマックスは、母に咎められ出陣しようとする三浦之助を時姫が止める件で、美しい男女が「思いは弱る後ろ髪」の浄瑠璃で弓を使ってポーズを決める個所は一番の見どころでもある。
*三浦之助、時姫が奥に引っ込んだ後、脇を固める姫の家臣讃岐局、阿波局、藤三郎女房おくる、富田三郎など間者役が活躍する場面が舞台を半廻しにして演じられる。時宗の手がそこまで伸びているという緊張感をもたらすことで後半部の佐々木の登場に繋がっていく。腕の良い脇役が求められるところでもある。