「自然吸気」の版間の差分
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== 概要 ==
本来、自動車に限らずエンジンはすべて自然吸気であったので、過給器が自動車に普及し始めてから生まれた「自然吸気」と言う呼び名は、過給器付きエンジンの対立項としての[[レトロニム]]である。<!-- 自然吸気エンジンの呼び名が始めて使われた資料を求む。 -->自然吸気エンジンは特に低燃費や低排出ガスなどの面により、現在の自動車用ガソリンエンジンの主流のエンジンとなっている。
== 特性 ==
一般に言われる自然吸気エンジンの特性は、上においてそもそもの語の成り立ちが過給エンジンの対義語であったことに反映されているのと同様に、<b>過給器のもたらすメリットを得ていないこと、過給器の持つデメリットを持っていないこと</b>にある。
*一般に同排気量の自然吸気エンジンは過給器付エンジンに比べ構造がシンプルかつ軽量である。
:これは過給器付きエンジンが、過給器を持つだけでなく、過給器を冷却/潤滑するためのオイルパイプラインを持ち、さらに排気系統と吸気系統を引き合わせるような構造を必要とすることによる。また、過給エンジンには自然吸気エンジン以上に膨大な圧力がかかるので、ブロックは頑丈であることが必要で、強度上昇のため必然的にエンジン重量も増加する。
*自然吸気エンジンは熱効率が高く、燃費もよい傾向がある。
:ただし、[[ディーゼル]][[直噴]]ターボなどを含む最先端のエンジンには当てはまらない。適度な排気過給は、排気エネルギーの再回収という面で、原理的には熱効率が上がるはずだからである。また、燃費の良い傾向があることは、エンジンの軽さや、低出力故の軽い車体(頑丈でなくとも良い)によるところも大きい。▼
*発熱が過給エンジンより低い。
▲ただし、[[ディーゼル]][[直噴]]ターボなどを含む最先端のエンジンには当てはまらない。適度な排気過給は、排気エネルギーの再回収という面で、原理的には熱効率が上がるはずだからである。
:過給エンジンは、同体積の燃焼室内で、燃料を圧縮空気で大量に燃やすことができるので、発熱が高くなる。これは熱効率を低下させる。熱効率は基本的には低温と高温の温度差が広いほど良く(大きく)なるからである。▼
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:また、低い圧縮比も熱効率を低下させる。この低圧縮比も、高温によるノッキングを避けるための処置である。(ディーゼルエンジンでは過給器付きであっても圧縮比を下げることは少ない。このことがディーゼルエンジンの熱効率を高めている)▼
▲過給エンジンは、同体積の燃焼室内で、燃料を圧縮空気で大量に燃やすことができるので、発熱が高くなる。これは熱効率を低下させる。熱効率は基本的には低温と高温の温度差が広いほど良く(大きく)なるからである。
▲また、低い圧縮比も熱効率を低下させる。この低圧縮比も、高温によるノッキングを避けるための処置である。(ディーゼルエンジンでは過給器付きであっても圧縮比を下げることは少ない。このことがディーゼルエンジンの熱効率を高めている)
*高回転型である。
:過給エンジンでは、吸気を強制的に行うことができる。しかし過給器は同時に、排気ガスを吸入空気の圧縮に使う際、排気ガスの流速を奪ってしまう。このことは、燃焼済みガスの排気がうまく行われない、すなわち排気効率が下がった状態を生み出す。排気効率が下がれば、排気工程でシリンダが上昇する際に排気ガスから受ける抵抗が上昇する。すなわち、エンジンの出力の一部がガスの排気のために消耗される。高回転時のピストンスピードの早い領域ではこの効果がより顕著になるので、過給器付きエンジンは高回転領域でトルクが下がる傾向にある。自然吸気ではこの性質がないので、高回転までもたつきなくトルクを発揮する。
*出力分布が平坦である。
:過給エンジンでは、過給器の内部が回転して過給を始めた以降には膨大なトルクを発生する。従って、上記の高回転でのトルク低下と合わせ、トルクの分布は急峻な山をなすこととなる。これはしばしば「ドッカンターボ」と俗され、アクセルの加減のし辛さを表現する。自然吸気エンジンにはその特性はない。▼
▲過給エンジンでは、過給器の内部が回転して過給を始めた以降には膨大なトルクを発生する。従って、上記の高回転でのトルク低下と合わせ、トルクの分布は急峻な山をなすこととなる。これはしばしば「ドッカンターボ」と俗され、アクセルの加減のし辛さを表現する。自然吸気エンジンにはその特性はない。
*[[スロットル]](アクセル)操作に対する出力レスポンスに優れる
:これは吸気に過給器が介在しないためである。過給器が介在すると、アクセルを踏み込んだときにその過給器の内部が回転するために一瞬の時間を要してしまう。過給器が慣性モーメントをもつということと同様である。▼
▲これは吸気に過給器が介在しないためである。過給器が介在すると、アクセルを踏み込んだときにその過給器の内部が回転するために一瞬の時間を要してしまう。過給器が慣性モーメントをもつということと同様である。
<!--
また、[[気温]]に依存して出力が変動するという特徴がある。真夏の炎天下など気温が高いときには空気の密度が薄くなる、つまり吸気体積あたりの酸素量が少なくなるため出力は数%程度低下する。逆に厳冬期など気温が低いときには空気の密度が濃くなる、つまり吸気体積あたりの酸素量が多くなるため出力は数%程度増加する。ただし[[高地]]では気温が低くても空気が薄いため出力は低下することになる。
過給エンジンも同様なためコメントアウト-->
== 改造 ==
自然吸気エンジンは、アクセルに対する反応が俊敏かつリニア(踏んだ量に比例して増える)である反面、
同[[排気量]]の過給エンジンよりも非力である。したがって、より出力を上昇させるために
出力上昇のための方法には、過給器追加と[[メカチューン]]とがある。過給器追加では過給エンジンの特性を持つようになる。単に出力を重視する場合はこれを選ぶ。同一モデルの車に過給器付きエンジンがある場合は、そのエンジンに載せ換えたり、アフターパーツとして過給器を追加<ref>このような後付けによるものを、ターボチャージャーの場合は「[[ボルトオン]]ターボ」または「ボルトオンターボチャージャー」、スーパーチャージャーの場合は「ボルトオンスーパーチャージャー」と言う。</ref>する
▲過給器追加では過給エンジンの特性を持つようになる。単に出力を重視する場合はこれを選ぶ。同一モデルの車に過給器付きエンジンがある場合は、そのエンジンに載せ換えたり、アフターパーツとして過給器を追加<ref>このような後付けによるものを、ターボチャージャーの場合は「[[ボルトオン]]ターボ」または「ボルトオンターボチャージャー」、スーパーチャージャーの場合は「ボルトオンスーパーチャージャー」と言う。</ref>する事がある。
メカチューンは高価で、手段も限定的であるが、自然吸気の特性を保存あるいは増強することができる。
== 自然吸気による実用的高出力エンジン ==
<!--* シリンダーのボア径を広げる、クランクシャフトの変更によりストローク長を変えるなどにより、排気量を上げる。
<!--== 自然吸気エンジンによる高出力のデメリット ==
同排気量の過給エンジンと同等の出力を得るためにはより高回転型のエンジンにしなければならない。[[ボアストローク比]]をベースとなるエンジンから変更しなければ、大幅な高回転化は困難である。また、1気筒当たりの排気量を減らし、気筒数を増やすことで高回転化するという手法もあるが、そうすると大幅なコストアップになり、エンジンの寸法も大きくなってしまう。近年の自動車用ディーゼルエンジンでは過給することが前提となっており、自然吸気とすること自体がナンセンスである。-->
== 脚注 ==
<references/>
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