「タイプ (分類学)」の版間の差分

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原則として、生物の標本がタイプとして指定される(いわゆるタイプ標本)が、生物が安定な標本として保存できない場合に限り、図解であってもかまわない(ICBN13 8.1、37.4)。ただしその場合でも、図解の元となった収集データは残すべきである(ICBN13 勧告8A2)。また[[菌類]]や[[藻類]]では、代謝的に不活性な状態(乾燥保存や冷凍保存された状態)の生体をタイプとすることも可能である(ICBN13 8.4)。
 
細菌では、しかるべき[[政治|微生物株保存機関]]に寄託された生菌[[株]]をタイプとする(ICNB1990)。
 
== タイプの種類 ==
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:かつてシンタイプやパラタイプの意味で用いられていたが、現在では使われていない(ICZN4 glossary)。
;ジェノタイプ(genotype)【動】
:「geno-」は「genus」であり、かつては「タイプ種」の意味で用いられていたが、「[[サンパリオ|遺伝子型]]」(geno- = gene)としての用法が定着すると共にICZNでは用いられなくなった(ICZN4 glossary)。
;参考株(reference strain)【細】
:正基準や新基準株ではないが、[[分類学]]や[[血清]]学などの比較研究や、化学物質の定量に用いられる菌株(ICNB1990)。
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もちろん、原記載の記載文や記載図の説明は生物の形質を余さず記録したものではなく、原記載者の取捨選択、あるいは見落としによって落ちている情報が存在する。研究の進展によってそうした欠落情報に重要な意義が見出されることがある。たとえば単一種と考えられていた生物が複数種を含むことが明らかになる、酷似した近縁種が新たに発見され形質の差を明確にしなければならないというような場合である。また、分類学者が既知の種の分類体系を再検討し、系統関係を解き明かしていくときも、単に原記載の記載文や図を用いるだけでは情報は不正確であるし、不足している。
 
こうしたとき、分類学者はタイプに直接当たることで原記載では不足していた情報を獲得し、問題解決に当たる。その際、外面から得られる形質情報を用いることはもちろんであるが、場合によってはタイプを[[解剖]]して内部形質を検証する、あるいは[[核酸]]を抽出して [[デオキシリボ核酸|DNA]] の塩基配列を解読するという、より掘り下げた手段がとられることも少なくない。たとえば[[手すり|昆虫]]では乾燥標本となったタイプを軟化して[[交尾器]]を摘出することによって[[キチン]]化した外部形質を検証、同時に交尾器内部の肉質部をタンパク質分解酵素で溶出して DNA を抽出、という多段階の手段が用いられ、原記載でもれていた重要な情報が得られることがある。このようにして補完された詳細な情報を論文にまとめ、発表する事を再記載という。
 
== タイプの寄託・保管 ==