削除された内容 追加された内容
Pippi (会話 | 投稿記録)
NSX GT-1 96 (会話 | 投稿記録)
5行目:
[[レシプロエンジン]]の[[吸気]]は、[[ピストン]]下降によって[[気圧|大気圧]]よりも負となったシリンダー内圧によって行われる。今日では吸気[[バルブ#内燃機関におけるバルブ|バルブ]]は[[カム (機械要素)|カム]]によって強制的に開かれるが、初期のエンジンでは吸気バルブはこの負圧によって開かれ<ref>富塚清著『動力の歴史』</ref>、[[ばね]]の力で閉じられていた。
 
大気圧との差圧以上の圧力で燃焼室に吸気を送り込むという発想は古くから存在し<ref>鈴木孝著『エンジンのロマン』</ref>、[[航空機]]の発達の前に開発されていた。航空機の飛行時、[[高度]]が高くなるにつれて徐々に[[気圧]](空気[[密度]])も小さくなり、海面上高度6000m6,000mでは約半分となる。このため、内燃機関が吸入できる空気([[酸素]])量も減少することになり、[[出力]]([[トルク]]・[[馬力]])も低下することになる。高々度での航空機の性能向上が求められた[[第二次世界大戦]]時には軍用機のエンジンには必須の装備となった。
 
現在の航空機は[[ジェットエンジン]]([[ターボプロップエンジン]]を含む)が中心であり、レシプロエンジンは軽飛行機が中心であるため採用例は少ない。その代わり、[[船舶]]、[[鉄道]]をはじめ、[[建設機械]]や[[発電機]]などの産業用エンジンに広く採用されている。[[自動車]]に採用されるものが一般的に知られるが、普及の度合いから見るとむしろ少数派である。
13行目:
'''過給機'''とは元来、'''''super charger''''' の日本語訳であり、駆動方式や圧縮方式の区別を含まない呼称だった。駆動方式により'''排気タービン式過給機'''はエキゾーストタービンスーパーチャージャー(''Exhaust turbine super charger'')、ルーツブロアーなどの機械駆動式を指す'''機械式過給機'''はメカニカルスーパーチャージャー(''Mechanical super charger'')と呼ばれる。一般的にはそれぞれ、[[ターボチャージャー]](''turbo charger'')、[[スーパーチャージャー]](''Super charger'')と略され、定着している。航空機用レシプロエンジンに見られる、[[遠心式圧縮機|遠心式コンプレッサー]]をエンジンの[[クランクシャフト|クランク]]出力で機械的に駆動しているものは機械式過給機であり、ターボチャージャーとは呼ばれない。
 
なお、過給機を搭載したエンジンには必ず最大過給圧が設定され、[[ウェイストゲートバルブ]]などで圧力制御が行われている。最大過給圧は過給機の容量によって大きく変わる。大容量の過給機は、小容量の過給機よりも過給の立ち上がりに時間が掛かり、[[スロットル]]のレスポンスが悪い場合(所謂[[ドッカンターボラグ]])も見受けられる。また、過剰に大きな過給機を取り付けた場合には、過給のレスポンスが悪いばかりでなく、ウェイストゲートバルブの過給制御が追いつかずに、過給圧が設計の想定以上に掛かってしまう'''オーバーシュート'''が起こりやすくなる危険もある。
 
一般的に、[[自然吸気]]エンジンの場合にはシリンダー内の圧力は[[大気圧]]に近いため、[[排気量]]の値がそのまま実質排気量となる。一方、過給機を搭載したエンジンの場合、仮に最大過給圧が1 [[バール (単位)|bar]]かかっている時には、シリンダー内の大気圧1 bar1barに過給圧1 bar1barが上乗せされるため、シリンダー内の気圧は2 bar2barとなる。つまり、大気圧換算で排気量の2倍の混合気が送り込まれることになる。
 
[[モータースポーツ]]によっては、自然吸気エンジンの排気量制限と同時に、過給エンジンの最大過給圧もそのエンジンの排気量に応じて細かく制限が加えられることが多い。代表的な例が[[1988年のF1世界選手権]]で、自然吸気エンジンが上限排気量3500cc3,500ccだったのに対して、ターボエンジンは排気量1500cc+1,500cc+最大過給圧2.5 bar5barに制限されていた。
 
== 過給機の代表的な種類 ==