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アルギン酸を形成するウロン酸は、1ユニットに1つカルボキシル基を備えている。カルボキシル基はイオン交換能が高く、周辺のカチオンと容易に結びつき、塩を作る性質がある。また多価カチオンの場合は複数のカルボキシル基が架橋構造をとり、錯体を形成する。
アルギン酸はカルシウム(Ca)との親和性が高いことが知られているが、カルシウムと似た挙動をとるストロンチウム(Sr)とも同様に錯体をつくり、不溶性の塩となる。
この性質を利用して、消化管内に取り込まれた放射性Srの体外排泄に関する研究が数多く行われ、ヒトでの実験においても、顕著な効果が認められている。
 
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また西村らは、ラットを用いた動物実験において、アルギン酸をあらかじめ10日間投与して予備飼育した後に<sup>85</sup>Srを投与すると、<sup>85</sup>Srの体内残留率が顕著に減少することを見出した <ref> 西村義一,魏仁善,金絖崙,渡利一夫,今井靖子,稲葉次郎,松坂尚典, RADIOISOTOPES, 40, 244-247(1991)</ref> 。さらに、アルギン酸の予備投与期間が長いほど<sup>85</sup>Srの体内残留率が低くなることから、アルギン酸を日常的に摂取しておくことで、放射性ストロンチウムの体内取り込みを低減させる、防護剤としての役割を果たせることを示唆している。
 
 
 
==脚注==