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{{クラシック音楽}}
'''ディヴェルティメント ニ長調 K.137(125b) Divertimento K.137 ''' は、当時16歳の[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト]]が作曲した[[弦楽四重奏]]のための[[ディヴェルティメント]]である。[[ザルツブルク]]で作曲されたことからK.136~138をまとめてザルツブルク・シンフォニーとも言い、本項はその2曲目。曲の特徴、楽器編成、こちらの曲に関する論争については→[[ディヴェルティメント K.136]]へ。
 
 
==概要==
K.136で始まる3つのディヴェルティメントはモーツァルトの代表曲でありながら、疑問点の数多い曲であり、楽器編成などで数多くの論争を巻き起こしてきた。
疑問点の数多い曲であり、楽器編成などで数多くの論争を巻き起こしてきた。
 
それらの疑問は現在はほぼ解決を見ており、現段階では論争は落ち着いている。詳細は→[[ディヴェルティメント K.136]]へ
詳細は→[[ディヴェルティメント K.136]]へ。
 
また、[[新モーツァルト全集]]の編集の際の不手際でジャンルの分類に大きなミスがあり、強い誤解と批判を招いている。
詳細は、[[新モーツァルト全集]]へ。
 
また、[[新モーツァルト全集]]の編集の際の不手際でジャンルの分類に大きなミスがあり、強い誤解と批判を招いている。詳細は、[[新モーツァルト全集]]へ
 
==構成==
全3楽章の構成で、演奏時間は約10分。すこぶる自由な作風でまとめられ、[[セレナード]]や[[カッサシオン]]と似た部分が見受けられる。イタリア的な色彩が[[フランツ・ヨーゼフ・ハイドン|ハイドン]]の影響をもろに受けているK.136よりも濃く出ている。
 
[[物理学者]]の[[アルベルト・アインシュタイン]]は大変なモーツァルトの愛好者で、この曲の第2楽章を「[[フレスコ画]]のような絵筆でなでられたような軽いタッチ」と呼んだことは有名。
全3楽章の構成で、演奏時間は約10分。すこぶる自由な作風でまとめられ、[[セレナード]]や[[カッサシオン]]と似た部分が見受けられる。イタリア的な色彩が[[ハイドン]]の影響をもろに受けているK.136よりも濃く出ている。
;第1楽章 [[アンダンテ]] [[変ロ長調]] 4分の3拍子、[[2部形式]] (珍しい開始方法を用いている)
 
;第2楽章 [[アレグロ・ディ・モルト]] 変ロ長調 4分の4拍子、[[ソナタ形式]] (第1、第2ヴァイオリンがほぼ対等の扱い)
[[物理学者]]の[[アルベルト・アインシュタイン]]は大変なモーツァルトの愛好者で、この曲の第2楽章を「フレスコ画のような絵筆でなでられたような軽いタッチ」と呼んだことは有名。
;第3楽章 [[アレグロ・アッサイ]] 変ロ長調 8分の3拍子、ソナタ形式 (交響曲的な性格を持つ)
 
3つのディヴェルティメント中、もっとも風変わりな作品。両半分に反復記号のついた3つの楽章は、緩-急-急([[ストレット]]型)となっており、モーツァルトには非常に珍しい形式である。[[古典派音楽|古典派]]ではこの楽章配列の常として、全楽章[[変ロ長調]]のままになっている。冒頭楽章のアンダンテは第1楽章には珍しい、3/4拍子をとっており、旋律の大まかな形式はK.136と同じといえるが、無伴奏の第1ヴァイオリンのみの弱音から始まり、唐突な2小節目の[[フォルテ]]の[[トゥッティ]]は意外な[[ハ短調]]を響かせている。[[カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ]]なら珍しくもないこの開始方法は、モーツァルトではこの曲のみ。安定した主和音は8小節目でようやく登場するが、そこでも激しい強弱の対比が加わる。第1、第2ヴァイオリンがほぼ対等に扱われているアレグロ・ディ・モルトの第2楽章がこの複雑なニュアンスの憂いを吹き払い、ヴィオラとチェロが目立つアレグロ・アッサイの第3楽章で全曲は上機嫌に閉じられる。第2楽章の展開部では提示部の素材が使われておらず、[[セグヴェンツ]]で転調的に動いている。こうしたものは後のディヴェルティメントでも使われることとなる。[[ディヴェルティメント第17番 (モーツァルト)|ディヴェルティメント第17番]]第1楽章はその典型的な例。
 
;第1楽章 [[アンダンテ]] [[変ロ長調]] 4分の3拍子、[[2部形式]] (珍しい開始方法を用いている)
;第2楽章 [[アレグロ・ディ・モルト]] 変ロ長調 4分の4拍子、[[ソナタ形式]] (第1、第2ヴァイオリンがほぼ対等の扱い)
;第3楽章 [[アレグロ・アッサイ]] 変ロ長調 8分の3拍子、ソナタ形式 (交響曲的な性格を持つ)
 
 
3つのディヴェルティメント中、もっとも風変わりな作品。両半分に反復記号のついた3つの楽章は、緩-急-急([[ストレット]]型)となっており、モーツァルトには非常に珍しい形式である。[[古典派]]ではこの楽章配列の常として、全楽章[[変ロ長調]]のままになっている。冒頭楽章のアンダンテは第1楽章には珍しい、3/4拍子をとっており、旋律の大まかな形式はK.136と同じといえるが、無伴奏の第1ヴァイオリンのみの弱音から始まり、唐突な2小節目の[[フォルテ]]の[[トゥッティ]]は意外な[[ハ短調]]を響かせている。[[カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ]]なら珍しくもないこの開始方法は、モーツァルトではこの曲のみ。安定した主和音は8小節目でようやく登場するが、そこでも激しい強弱の対比が加わる。第1、第2ヴァイオリンがほぼ対等に扱われているアレグロ・ディ・モルトの第2楽章がこの複雑なニュアンスの憂いを吹き払い、ヴィオラとチェロが目立つアレグロ・アッサイの第3楽章で全曲は上機嫌に閉じられる。第2楽章の展開部では提示部の素材が使われておらず、[[セグヴェンツ]]で転調的に動いている。こうしたものは後のディヴェルティメントでも使われることとなる。[[ディヴェルティメント第17番 (モーツァルト)|ディヴェルティメント第17番]]第1楽章はその典型的な例。
 
==関連作品==
*[[新モーツァルト全集]]
*[[モーツァルトの楽曲一覧]]
*[[ディヴェルティメント K.136|ディヴェルティメント ニ長調 K.136(125a)]]
*[[ディヴェルティメント K.138|ディヴェルティメント ヘ長調 K.138(125c)]]
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{{DEFAULTSORT:ていうえるめんとK137}}
[[Category:ディヴェルティメント|もつあるとK137]]
[[Category:モーツァルトの管弦楽曲]]
[[Category:弦楽合奏曲]]
[[Category:モーツァルトの弦楽四重奏曲]]