「乗数効果」の版間の差分
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しかし、この2はやがて家計の所得となり、消費は所得の関数であるため、その所得の90%(C=0.9Y より)の1.8が消費される。その消費1.8は同量の国民所得1.8を増加させ、さらにその90%の消費1.62を拡大させる。
こうして、貯蓄と消費への振り分けが十分に早いペースで最終段階まで進むと仮定した場合、この年における消費量
このことは、当初の投資によって増加した所得のうち、貯蓄されずに消費された分だけが、それと同量の新たな所得を実現することを示している。つまり、限界貯蓄性向を高めれば高めるほど、それだけ乗数効果が弱まるということになる。たとえば限界貯蓄性向が1であったとする
▲このことは、当初の投資によって増加した所得のうち、貯蓄されずに消費された分だけが、それと同量の新たな所得を実現することを示している。つまり、限界貯蓄性向を高めれば高めるほど、それだけ乗数効果が弱まるということになる。たとえば限界貯蓄性向が1であったとする。これは増加した所得を全く消費せず、全額を貯蓄に回すことを意味している。このとき、新たな所得はまったく生まれないことになる。
この投資乗数の例では、当初の投資の増加分2は、最終的に生じた貯蓄2と一致している。また、かりに限界貯蓄性向の値を高めたとしても、それまで以前よりも乗数が下がって消費と所得が減少するだけであり、最終的な貯蓄は2のままで変化することはない。これは、貯蓄がマクロ的には投資と一致することを意味している。すなわち総投資が変化しない限り、総貯蓄が変化することはない。日常的な感覚(ミクロ)によれば、投資ができる分量は貯蓄された分量に制約されており、貯蓄をすればするほど大きな投資も可能になるように見えるが、マクロ経済では単年度の追加的な投資量によりその年の追加的な貯蓄量が決定されており、このことを貯蓄のパラドックスという。マクロ経済で単年度の貯蓄量を増やそうと当年度の投資量を減らしたとしても、当年度の貯蓄量は減ることになる(参照:[[合成の誤謬]])。
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