「宇宙空母ギャラクティカ」の版間の差分

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貝砂利 (会話 | 投稿記録)
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なお、オンエア開始前にこのドラマの内容を把握した『スター・ウォーズ』の製作会社である[[20世紀フォックス]]が、ユニバーサル社を相手に、「この作品は剽窃だ」と訴えた。だが、裁判所は「この作品が著作権を侵しているとすると、『スター・ウォーズ』の著作権を侵している映画が数百本になる」として、訴えをしりぞけた。
 
=== 著作権問題の経緯 ===
 グレン・A・ラーソンは1969年、終了した『[[スタートレック]](宇宙大作戦)』の後継テレビシリーズとして『Adam's Ark』という作品の企画書を作成する。これは人類の祖先が数万光年の彼方に存在し、遥かなる地球を目指すという、旧約聖書の『出エジプト記』を基にしたストーリーだった。1977年、20世紀フォックスの『スター・ウォーズ』が大ヒットすると、ユニヴァーサルがテレビドラマ版SF戦争物の企画を募集し始めた。ラーソンは早速『Adam's Ark』を『Star Worlds』と改題、冒頭に日本軍の真珠湾攻撃にヒントを得た戦闘シーンを加えて派手な第一話とし、以後を人類の生き残りによる宇宙探検という形に物語を整理し、企画書を提出した。
 
 ラーソンは『スタートレック』の創始者[[ジーン・ロッデンベリー]]と『スター・ウォーズ』の監督[[ジョージ・ルーカス]]のやり方を徹底的に模倣し、『スター・ウォーズ』同様、事前にノベライゼーションを出版する手法をとった。この時点ではサイロンは機械人間ではなくヒューマノイドの知的生命体であり、小説版もそのように書かれている。
 
 ユニヴァーサルは視覚効果について『スター・ウォーズ』に匹敵するレベルを目指す為、同作品でアカデミー賞を受賞した[[ジョン・ダイクストラ]]を抜擢した。しかし、ダイクストラは『スター・ウォーズ』の製作中からジョージ・ルーカスと、スケジューリングやVFXの完成度をめぐって対立していたうえ、ルーカスが『スター・ウォーズ』用に自費で立ち上げた特撮工房[[ILM]]のダイクストラ・フレックス(モーションコントロール・カメラシステムの元祖)をダイクストラが以後の仕事に流用するなどした為、ルーカス側との間に緊張関係が生じていた。ルーカスが『[[アメリカン・グラフィティ]]』の扱いをめぐりユニヴァーサルと袂を分かっていた事も事態をややこしくした。
 
 フォックスとユニヴァーサルは水面下で協議し『Star Worlds』のタイトルを取り下げることで合意に至った。こうして『宇宙空母ギャラクティカ』として3時間のパイロット版が完成し、ラーソンは試写を開きルーカスを招いた。ルーカスが何も言わなかった為、ラーソンはマスコミに「ルーカスも満足していた」と発表したが、ルーカスはこれに激怒、「決して認めたものではない」と断じた。フォックスは『スター・ウォーズ』の続編『帝国の逆襲』の配給権を失う事を恐れ、以前のユニヴァーサルとの約束を反故にしルーカスの意見に全面的に賛成して、著作権侵害でユニヴァーサルを訴えた。これにユニヴァーサルも反訴し、知的財産まで範囲を拡大し訴訟合戦が始まった。『ギャラクティカ』の玩具で子供が死亡する事故が起きた時、ルーカスは「自分の作品だと誤解した視聴者から苦情が寄せられた」と公表した。
 
 フォックスの訴えは退けられたが訴訟の影響は業界全体に波及し、1980年に[[ディノ・デ・ラウレンティス]]により製作された『[[フラッシュ・ゴードン]]』は、ILMにVFXを発注していた事もあり、当初のユニヴァーサルから20世紀フォックスに配給を移さざるを得なくなった(冒頭にはユニヴァーサル配給の名残として、ユニヴァーサルのロゴ風の地球が映るカットがある)。『宇宙空母ギャラクティカ』自体もTVシリーズとしては短命に終わったうえに、幾度かの再編集映画版や続編を製作するもルーカス・フィルムの業界影響力下で尻すぼみにならざるをえなかった。
ただし、訴訟の結果を受けて著作権問題自体は解決しており、21世紀の『ギャラクティカ』製作につながる。ルーカスとユニヴァーサルの関係も、[[スティーヴン・スピルバーグ]]が監督した『[[ジュラシック・パーク]]』のVFXをILMが受け持った事で改善に向かった。ただし、ルーカスの『ギャラクティカ』への対抗意識は失われておらず、従来はアニメでしか展開しなかった『スター・ウォーズ』の実写版TVシリーズ製作の意思がある事を『シスの復讐』公開後に発表した。
 
=== ストーリー ===