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[[ファイル:bookinfo.gif|thumb|本の構造<br/>図の8が標題紙を示す]]
 
'''標題紙'''(ひょうだいし、{{lang-en|title page}})は[[本]]や[[論文]]、その他[[文書]]において、[[その冒頭にあって題名]][[著者]]と通常はその文書の[[名、出版]]に関する[[情報]]者名などしたページである。'''扉'''(とびら)とも、あるう。以前「口絵」'''タイトルページ'''同義で用いられていたが、[[現代]]では、はや同一のものではな
 
== 本の標題紙 ==
以下、特に断らない場合は洋書の標題紙について述べたものである。
本の標題紙(本の表紙とは区別される)は、本編が始まる前の部分、すなわち「前付」において最も重要な部分である。標題紙およびその裏には、本タイトルと、必ずしもあるわけではないがたいてい責任表示(著者・編者など)と出版に関するデータも記載されている<ref>Gorman, Michael and Paul W. Winkler 編(1978) "Anglo-American cataloguing rules", 2nd ed., [[ロンドン|London]], Library Association, 'Glossary', 571ページ</ref>。これにより、[[図書館]]の蔵書録や学術的な文書における[[参考文献]]の書誌情報を引用するときの表記法が決定される。
 
=== 範囲 ===
標題紙には、作品(本)の題名、作品の責任を負う[[個人]]または[[団体]]の名称、出版地、出版者、発行年を記載するのが理想的とされる。しかし、[[ペーパーバック]]の場合は表紙に記載されているよりも短い題名が書かれている、あるいは副題を省略していることがある。本に関する他の情報としては[[著作権]]が挙げられるが、これは標題紙よりもその裏に表示されることが多い。また、[[ISBN]]やプリンターズ・キー([[:en:Printer's key| Printer's key]]、[[刷]]を示す数字の列)もそこに記載されることが多い。
日本語の「標題紙」、英語の「title page」はいずれも、その表面のみを指す場合と、裏面を含む場合とがある。裏面は標題紙裏 (verso of title page) と呼ばれ、英語で両面を指す場合には「title leaf」とも呼ばれる。
 
標題紙は見開きとなっている場合もあり、1枚とは限らない。同じ内容を複数の言語で記しているもの、全集・シリーズの標題紙とその巻の標題紙とをもつもの、あるいは単に見開き2ページ分を割いているもの、などがある。復刻版などでは、原書の標題紙と復刻版の標題紙がそれぞれついている。現在では、標題紙の前にもう1枚、ただ略標題のみを記した略標題紙が挿入されることも多い。
[[インキュナブラ]]と呼ばれる初期の[[活字]]本は標題紙を持っていなかった。本文は最初のページから始まり、それぞれの本の識別は[[インキピット]]という書き出しの数語によって行われた。
 
=== 内容 ===
以上は洋書における標題紙について述べたものである。和書では[[奥付]]があるため、標題紙とその裏の情報は比較的簡潔なものとなっている。
標題紙の表面には、長く完全な形の本タイトルが記され、サブタイトルや他言語のタイトルもあれば併記される。ただし、[[ペーパーバック]]の場合は表紙に記載されているよりも短い題名が書かれている、あるいは副題を省略していることがある。初版以降の版(改訂版、第2版など)であれば版も記される。責任表示として著者や編者のほか、監修者・原作者・イラストレーター・序文の著者なども記される。出版地、出版者、出版年も記されているのが普通だが、出版地と出版者は複数あることも。出版年は該当する版の年である。標題紙裏には、出版・印刷の履歴、[[著作権]]関連の情報、[[ISBN]]、CIP、プリンターズ・キー([[:en:Printer's key| Printer's key]]、[[刷]]を示す数字の列)などが記載される。
 
[[図書館]]の所蔵目録をつくる際の目録規則(英米目録規則、日本目録規則)では、標題紙を目録のための情報源のひとつとして定めている。また、学術的な文書における[[参考文献]]の書誌情報もこの情報によって決定される。
 
和書では[[奥付]]があるため、標題紙とその裏の情報は比較的簡潔なものとなっている。特に裏面は白紙に近いものが多いが、近年の翻訳書ではここに原書の情報を記すことが多い。
 
=== 歴史 ===
写本時代の書物には標題紙といえるものはなかった。[[インキュナブラ]]と呼ばれる初期の[[活字]]本は標題紙を持っていなかった。も同様で、本文は最初のページから始まり、それぞれの本の識別は[[インキピット]]という書き出しの数語によって行われた。標題紙が登場するのは1475年から1480年ごろであり、15世紀末には(現在とは少し異なるが)一般的なものとなった<ref>若松 (2006)</ref>
 
== 論文の標題紙 ==
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学術論文の場合、標題紙には、省略されていない正式の題名、著者名、著者の[[学歴]]、[[学位]]を授与された[[大学]]名および学部名、卒業年、国際的な[[著作権#コピーライトマーク|コピーライトマーク]](©、cを○で囲んだもの)を入れる。 論文の標題紙は通常1ページ目であるが、ページ数にはカウントされず、2ページ目にある論文要旨(アブストラクト)が第1ページとして数えられる。
 
== 扉絵 ==
[[File:Kaitai shinsyo01.jpg|thumb|解体新書の扉絵]]
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* 秋本 治『両さんと歩く下町 -『こち亀』の扉絵で綴る東京情景』[[集英社]]、2004年11月22日、247pp. ISBN 4-08-720265-8
* 江下雅之『マンガ古雑誌マニア』長崎出版、2006年5月5日、230pp. ISBN 4-86095-093-3
* 木寺清一『洋書事典』、明治書院、1975年。
* 柴田正美『資料組織概説』、日本図書館協会、2008年。* 中原 泉(1993)"立証!解体新書の扉の元絵"日本歯科医史学会会誌.19(2):62-70.
* 図書館用語辞典編集委員会編『最新図書館用語大辞典』、柏書房、2004年。
* 樋口輝雄・中原 泉(2001) "「解體新書」緑版と黄版の書誌学的考察"日本歯科医史学会会誌.24(2):137-144.
* 綿抜豊昭(2004)"『源氏物語』(若菜上巻)の絵像について"情報メディア研究.3(1):25-28.
* 若松昭和「十五世紀ヨーロッパにおける標題紙の出現とその発展 : ニューベリー図書館所蔵インクナブラの調査を通して」、『聖学院大学論叢』第18巻第3号、聖学院大学、2006年、pp. 325-338。
 
== 関連項目 ==
* [[本]]
* [[装丁]]
 
== 外部リンク ==
{{commonscat|Title pages}}
* [http://special.lib.gla.ac.uk/exhibns/month/june2006.html GLASGOW UNIVERSITY LIBRARY, SPECIAL COLLECTIONS DEPARTMENT, Book of the Month](英語、[[グラスゴー大学]]の公式サイト内、[[聖書]]の扉を掲載)
* [http://www.swaen.com/archive-thumbnail-catalogue.php?categories=204 High resolution scans of title pages](英語、古書の扉が多く掲載されている。)