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{{Otheruseslist|魚類|テレビのバラエティ番組|深海魚 (テレビ番組)|漫画家|深海魚 (漫画家)}}
[[ファイル: Messina Straits Chauliodus sloani.jpg |thumb|right|300px|[[ホウライエソ]](''Chauliodus sloani'')]]
'''深海魚'''(しんかいぎょ、{{lang-en-short|Deep sea fish}})は、[[深海]]に生息する[[魚類]]の総称。一般に、水深200mより深い海域に住む魚類を深海魚と呼んでいる<ref name=Amaoka1>『深海魚 暗黒街のモンスターたち』 pp.8-13 「暗黒の世界と深海魚」</ref>。ただし
== 概要 ==
[[ファイル: Brockhaus and Efron Encyclopedic Dictionary b15 374-2.jpg |250px|thumb|right|20世紀初頭の百科事典(『[[w:Brockhaus and Efron Encyclopedic Dictionary|Brockhaus and Efron Encyclopedic Dictionary]]』;1906年)に描かれたさまざまな深海魚]]
およそ15,800種<ref name=Nelson11-14>『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.11-14</ref>が知られる[[海水魚]]のうち、少なくとも2,000種以上が深海魚に該当すると見積もられている<ref name=Helfman393-394>『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.393-394</ref><ref>Cohen(1970)は深海産の魚類を2,400~2,900種と概算している(『Fishes of the World Third Edition』 pp.11-17;『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.201-202)。</ref>。これらは[[海底]]付近で暮らす'''底生性深海魚'''と、海底から離れ中層を漂って生活する'''遊泳性(漂泳性)深海魚'''の2タイプに大きく分けられ、それぞれに含まれる種数はほぼ同数と考えられている<ref name=Helfman393-394/><ref name=Cohen1970>{{cite journal|author= Cohen DM |title=How many recent fishes are there? |journal=Proc Californian Acad Sci |year=1970 |volume=38|issue=|pages=341-346}}</ref><ref name=Nelson1994>『Fishes of the World Third Edition』 pp.11-17</ref>。底生性および遊泳性深海魚の生活様式はそれぞれ
[[太陽光]]の届かない深海には[[光合成]]を行う[[植物]]([[海草]]・[[海藻]]や[[植物プランクトン]])が存在しないため、深海における[[食物連鎖]]の基礎を支えるのは浅海の動植物である<ref name=Helfman398-400>『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.398-400</ref>。浅海で消費されなかった生物の遺骸や排泄物は、[[マリンスノー]]となって沈降し、最終的に深海に降り積もる。これらの沈み行く[[有機物]]は[[オキアミ]]や[[クラゲ]]など浮遊性の[[深海生物]]に消費されるほか、深海底に堆積した後は[[貝類]]や[[ナマコ]]、[[クモヒトデ]]などの[[底生生物]]のエネルギー源として利用される。彼ら自身は(深海魚を含む)さらに大型の深海生物によって[[捕食]]され、深海での食物連鎖を形成する。
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== 研究史 ==
=== 深海生物の存在 ===
深海はその過酷な環境のため、生物が存在するかどうかは長く不明であった。[[イギリス]]の[[博物学者]]である[[エドワード・フォーブス]]([[w:Edward Forbes|Edward Forbes]])は、[[1839年]]に行った調査船による観測結果を元に、「深海(300[[ファゾム]]=水深548m以深)には生物が存在しない」という「深海無生物説」を提唱した<ref name=Fujikura2008_chapter2>『深海調査船が観た深海生物』 pp.23-29</ref>。しかし、その後の底引き網や[[海底ケーブル]]を用いた各国の調査により、深海から相次いで生物が採取され、この説はすぐに否定されることになる。深海生物の存在を決定的に証明したのは、[[1872年]]から[[1876年]]にかけて行われた[[イギリス海軍|英国海軍]]の[[チャレンジャー (コルベット)|チャレンジャー号]]による大規模な[[チャレンジャー号探検航海|世界一周探検航海]]である<ref name=
=== 深海探査艇の登場 ===
[[ファイル:Bathyscaphe Trieste Piccard-Walsh.jpg|150px|thumb|right|トリエステ号内部の[[ジャック・ピカール]](中央)とドン・ウォルシュ]]
生身の人間が直接大深度に潜行することはできないため、深海探査には常に困難が付きまとう。[[漁網]]中に混獲されたり、海岸に打ち上げられたりした深海魚も時として貴重な標本となったが<ref>1775年までに、既に26種の底生魚が記載されている
[[1928年]]、有人の[[潜水球]](バチスフェア)が開発され、ようやく深海魚の観察が可能になった。バチスフェアは無動力ではあったが、深度923mまでの潜水に成功している<ref name=Fujikura2008_chapter2/>。そして[[1948年]]、[[オーギュスト・ピカール]]により自前の動力を有した[[深海探査艇]]、[[バチスカーフ]]が建造された。バチスカーフは複数の後継機が作られ、深海魚の生態観察や大深度での標本採集に強力な手段を提供した。[[20世紀]]後半から現代にかけては、日本の[[しんかい6500]]
=== 世界最深の魚類 ===
[[1960年]]、バチスカーフの後継機の一つであるアメリカの[[トリエステ (潜水艇) |トリエステ号]]が、当時すでに世界最深地点として知られていた[[マリアナ海溝]]のチャレンジャー海淵を目指して有人潜航を行った。乗船していた[[ジャック・ピカール]](オーギュストの息子)は、到達した最深地点(水深10,900m前後)で「[[ウシノシタ|シタビラメ]]に似た[[カレイ]]の一種」を目撃したと報告した<ref>『深海の生物学』 p.235</ref>。一方、日本の無人探査艇「[[かいこう]]」が[[1998年]]に行った調査では、同地点で魚類を確認することはできなかった<ref>{{cite web |title= マリアナ海溝チャレンジャー海淵において世界で初めて底生生物の採集に成功|publisher =海洋科学技術センター| url=http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/PR/9807/0729/ |accessdate=4月16日|accessyear=2008年}}</ref>。近年ではピカールによる「目撃報告」を疑問視し、ナマコの一種を見間違えたのではないかと考える研究者もいる<ref>『深海の生物学』 p.392</ref>。
確かな科学的裏付けを持つ例として、これまでに最も深い場所から採集された深海魚は[[アシロ科]]([[アシロ目]])の[[ヨミノアシロ]](''[[
=== 捕獲技術の進展 ===
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=== 深海魚研究の課題 ===
深海の生物学的環境は表層における[[海流]]や季節性変化、陸地からの物質供給に大きく依存しており、深海魚の生態を海洋環境と結び付けて理解するためには広範囲かつ経時的な調査が求められる。また、底引き網による乱獲が[[タラ]]類など[[大陸棚]]周辺に生息する一部の食用種を激減させていることが報告されており<ref name=Devine2006>{{cite journal|author= Devine JA, Baker KD, Haedrich RL|title=Deep-sea fishes qualify as endangered |journal=Nature |year=2006 |volume=439|issue=|pages=29|id=PMID 16397489
しかし、特殊な探査艇・採集機器を使用する深海魚の調査は多大なコストを要し、大規模で長期間にわたる生態調査のデータは非常に乏しいのが現状である<ref name=Randall83-99>『Deep-Sea Fishes』 pp.83-99</ref>。個々の種類を詳細に調べる手段の進歩とは対照的に、全体的な生態調査という面では依然立ち遅れている。[[トロール網]]のわずかな改良がまったく異なる漁獲結果を導くこともあり、統一的なサンプリング手段の確立が望まれている<ref name=Randall83-99/>。
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== 深海魚の分布 ==
=== 水平分布 ===
海洋は[[大陸棚]]の縁を境として、陸に近い沿岸域と、陸から遠く離れた外洋に水平区分される。深海には光合成を行う植物のような[[基礎生産|基礎生産者]]が存在せず、深海生物のエネルギー源となる有機物は主に浅海と陸地から供給される。このため、一般的に深海魚(および他の深海生物)は陸に近い海域ほど多く、外洋に出るほど少なくなる<ref name=Kitamura238-239>『深海生物図鑑』 pp.238-239</ref>。また、熱帯域の外洋では[[対流]]が起きないため表層の生物が少なく、利用可能な堆積物に乏しい荒涼とした海底が広がることもある<ref name=Kitamura238-239/>。
海底地形の特徴はそれぞれの地域によって異なり、底生性深海魚の分布に大きな影響を与える。一方で、深海中層の環境は比較的安定し均質であるため、遊泳性深海魚は広範囲な分布域をもつ種類が多い。三大洋([[太平洋]]・[[インド洋]]・[[大西洋]])すべてに分布する深海魚も少なくなく、[[汎存種]](汎世界種)と呼ばれる。遊泳性深海魚の[[生物群系]]は主に[[気候]]や大陸・島嶼地形の影響を受けながらおよそ20に分類され、これは他の生物群と比較して著しく少ない区分数である<ref name=Randall83-99/>。[[ハダカイワシ]]や[[ムネエソ科|ムネエソ類]]など、大陸棚に沿った分布域を示す遊泳性深海魚を、「pseudoceanic(偽外洋性)」と特に区別して呼ぶこともある<ref name=Randall115-117/>。
=== 鉛直分布 ===
[[ファイル:Pelagiczone.svg|thumb|150px|right|海の垂直区分。<br/>表層 epipelagic、<br/>中深層 mesopelagic、<br/>漸深層 bathypelagic、<br/>深海層 abyssopelagic、<br/>超深海層 hadopelagic。]]
海を深さによって鉛直方向に区分した場合、表層・中深層・漸深層・深海層・超深海層に分けられる<ref>『潜水調査船が観た深海生物』 pp.3-4</ref><ref>区分方法や区切りとなる水深は研究者によって異なる。また、[[海底]]には別の区分がある。</ref>。一般に、中深層以深に主たる生息水深をもつ魚類が深海魚として扱われる。
==== 中深層 ====
中深層(水深200-1,000m)には、光合成を行うには不充分ながらも、わずかに日光が届く<ref name=Randall82-83>『Deep-Sea Fishes』 pp.82-83</ref>。主要な[[サーモクライン|温度躍層]](水温が急激に変化する層)のほとんどがこの領域に存在し、その下には物理的に安定で変化の少ない深海独特の環境が広がっている。
中深層の遊泳性深海魚はこれまでに約750種類が知られ<ref name=Helfman393-394/>、[[ワニトカゲギス目]]に属する[[ヨコエソ科]]・[[ムネエソ科]]・[[ワニトカゲギス科]]魚類と、[[ハダカイワシ目]]の[[ハダカイワシ科]]魚類が種類と数の両面で卓越している<ref>これら2目には合わせて約650種が所属し、中深層遊泳性魚類の大半を占めている。</ref>。これらのグループは[[極圏]]の海を含めた全世界の海洋に広く分布し、その[[生物量]]は莫大である。特に[[オニハダカ属]](ヨコエソ科)の仲間は、地球上の[[脊椎動物]]として最大の個体数をもつと考えられている<ref name=Nelson208-209>『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.208-209</ref>。
[[底魚|底生魚]]としては[[軟骨魚類]]である[[ギンザメ目]]・[[ツノザメ目]]の仲間に加え、[[ソコダラ科]]・[[チゴダラ科]]([[タラ目]])、アシロ科(アシロ目)および[[トカゲギス科]]([[ソトイワシ目]])が支配的である。他にも[[チョウチンハダカ科]]([[ヒメ目]])、[[クズアナゴ科]]([[ウナギ目]])や、[[ゲンゲ科]]([[スズキ目]])など、深海の中では比較的多様な魚種が観察される領域である。
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== 身体構造 ==
[[ファイル: Coccorella atrata.png|thumb|right|ミナミヤリエソ ''Coccorella atrata'' (ヤリエソ科)。上方に突き出した大きな両眼は、光の少ない環境への適応と考えられている]]
深海には太陽の光がほとんど届かないほか、高水圧、低水温、低酸素濃度、利用できる有機物が少ないなど、生物にとって過酷な条件が揃っている。深海生物に共通してみられる高水圧への[[適応]]として、[[細胞膜]]の流動性および圧力に対する[[酵素]]の感受性が低下していることが挙げられる<ref>『深海の生物学』 pp.172-173</ref>。以下には、深海魚がもつ特殊な身体構造について
=== 骨格・筋肉 ===
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=== 眼球 ===
[[ファイル:Lovely hatchetfish2.jpg|thumb|left|トガリムネエソ ''Argyropelecus aculeatus'' (ムネエソ科)。上向きの管状眼と、著しく側扁した平べったい体をもつ]]
透明度にもよるが、水深1,000m程度まではかろうじて太陽光が届くため、この領域に住む深海魚には体に対して非常に大きな[[目|眼球]]をもつものがいる。さらに[[デメエソ科]]・ムネエソ科・ヨコエソ科魚類など少なくとも11科の深海魚は、眼を管状に変形させた'''管状眼'''をもつ<ref>{{cite book|author= Locket NA |title=Adaptations to the deep-sea environment. In Handbook of sensory physiology. Vol. VII/5. The visual system in vertebrates|publisher=Springer-Verlag |location= Berlin|year=1977|pages=67–192}}</ref>。深海に達する光は[[散乱]]と[[屈折]]のため、[[太陽]]の位置に関係なく常に真上から降り注ぎ、日没まで光量の変化も少ない<ref name=Kitamura48-49>『深海生物図鑑』 pp.48-49</ref>。[[ボウエンギョ科]]など一部の例外を除き、ほとんどの管状眼は真上を向いており、海面方向からの光に対応している。
なお、同様に暗黒条件下の[[洞穴生物]]では、深海魚とは対照的に眼が退化した例が多い。深海魚の場合、[[洞穴]]とは異なりわずかながら光が差し込むこと、種によっては浅海への移動があること、発光生物が多いことが影響していると考えられる。
1,000m以深の漸深層は光がまったく届かない暗黒の世界で、この領域には落ち窪んだ小さな眼をもつ深海魚が多い。[[ソコオクメウオ科]]のように目が皮膚の中に埋もれてしまったもの、[[チョウチンハダカ]]のように板状の[[網膜]]しか残っていない深海魚もいるが、光を検出する機能は依然として残されており、[[退化]]ではなく特殊化と捉える方がより適切と考えられている<ref>『深海の生物学』 pp.249-250</ref>。漸深層においてまばらに明滅する[[生物発光]]を捉えるためには、先細りの小さな眼球の方が適しているという報告もある<ref>{{cite journal|author= Warrant EJ and Locket NA |title= Vision in the deep sea. |journal=Biol Rev Camb Philos Soc|year=2004|volume=79|issue=3|pages=671–712|id=PMID 15366767}}</ref>。これらの眼は通常の眼よりも空間分解能に優れ、20-30m程度離れた場所の発光を捉えるのに適しているとされる。遊泳力の低い深海魚にとって、視野を比較的狭い範囲に限定することは、エネルギー効率の面で合理的である<ref>{{cite journal|author= Warrant EJ|title=The eyes of deep-sea fishes and the changing nature of visual scenes with depth. |journal= Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci |year=2000|volume=355|issue=1401|pages=1155–1159|id=PMID 11079389}}</ref>。
=== 消化器 ===
[[ファイル: Eurypharynx pelecanoides.jpg|thumb|right|[[フクロウナギ]] ''Eurypharynx pelecanoides'' (フクロウナギ科)。非常に大きな口をもつ深海魚として知られ、世界中の温暖な海の深海(550-3,000m)で比較的普通にみられる<ref>『日本の海水魚』 p.90</ref>]]
[[ファイル: Chiasmodon niger.jpg|thumb|right|自分よりも大きな獲物を飲み込んだ[[オニボウズギス]] ''Chiasmodon niger'' (クロボウズギス科)]]
[[魚食動物|魚食性]]の遊泳性深海魚には、体のサイズと比較してかなり大きな口や[[歯]]を備えたものが多い<ref name=Randall150-172>『Deep-Sea Fishes』 pp.150-172</ref>。並はずれた大きな口の持ち主として、フウセンウナギ目に属する[[フウセンウナギ]]・[[フクロウナギ]]の仲間が特に知られている。彼らは一見すると頭が異常に大きいように見えるが[[頭蓋骨]]は小さく、大きな口は極端に発達した顎の骨に支えられている<ref name=Kitamura170-175>『深海生物図鑑』 pp.170-175</ref>。フウセンウナギが鋭い歯をもち大型の獲物を飲み込むのに対し、フクロウナギの顎には歯がほとんどなく、小型の魚や[[プランクトン]]をかき集めて食べている<ref name=Kitamura170-175/>。
発達した歯列もまた魚食性深海魚の特徴であり、[[オニキンメ]](オニキンメ科)など鋭い牙状の歯をもつものもいる。ワニトカゲギス・チョウチンアンコウ類の一部には、内側に折れ曲がった歯をもつものがあり、捕えた獲物を逃しにくい構造になっている<ref name=Randall150-172/>。
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=== 体色 ===
[[ファイル: Flabby whalefish.jpg|thumb|left|クジラウオ科の一種(Cetomimidae sp.)。鮮やかな紅色の体色、発達した[[側線]]と小さな眼が本科の特徴]]
深海の中では比較的明るい中深層に住む魚類では、体表面の'''銀化'''による[[擬態]]がみられる<ref name=Herring275-280>『深海の生物学』 pp.275-280</ref>。ムネエソの仲間は厚さ数ミリの平べったい体をもち、表面は[[アルミホイル]]のような光沢のある銀色を呈している。彼らの体表面にはグアニンによる微小な反射性結晶が何層にもわたり規則的に並んでおり<ref>{{cite journal|author= Denton EJ and Land MF|title=Mechanism of reflexion in silvery layers of fish and cephalopods |journal= Proc R Soc Lond B Biol Sci |year=1971|volume=A178|issue=|pages=43-61|id=PMID 4397267}}</ref>、鏡のように光を反射して捕食者に自らの姿を認識されないようにしている。ムネエソ類の一部は夜間には反射効率を低下させ、生物発光の反射による発見の危険性を減らすことができる。
水深600m付近から、深海魚の体色は銀白色から鉛色へと急速に変化し、1,000mの漸深層に達するとほぼ均一に暗色となる<ref>『深海の生物学』 p.281</ref>。クジラウオ類の多くは鮮やかな赤い体色をしているが、青い波長の光しか届かない深海においては、黒色同様ほとんど目立たないと考えられる。
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=== 共生発光 ===
[[ファイル: rattail.jpg|thumb|left|200px|ソコダラ科の一種(Macrouridae sp.)。ソコダラ類は消化管と繋がった発光器をもつ]]
このタイプの発光を行うのは比較的少数の深海生物であり、遊泳性の深海魚ではチョウチンアンコウとニギス目の一部、底生性魚類ではソコダラ科・チゴダラ科の仲間が代表的である<ref>{{cite journal|author= Haygood MG|title=Light organ symbioses in fishes |journal= Clitical Rev Microbiol |year=1993|volume=19|issue=|pages=191-216|id=PMID 8305135}}</ref>。このうちチョウチンアンコウ類を除く3グループの発光器は消化管から連続して発達しており、[[腸内細菌|腸内細菌叢]]で維持された発光バクテリア(主に ''Photobacterium phosphoreum'')が持続的に補給されているとみられる<ref name=Herring287-289>『深海の生物学』 pp.287-289</ref>。発光器の数は少なく、通常1-2個である。
チョウチンアンコウ類の発光器官は擬餌状体に位置し、消化管とは連続していない。彼らの「提灯」を光らせる発光バクテリアがどこから来ているのかは不明である。[[ビブリオ属]]の細菌であることは判明しているものの、人工[[培養]]にはいまだ成功していない<ref
=== 自力発光 ===
[[ファイル: Malacosteus niger cam.jpg|thumb|right|300px|オオクチホシエソ ''Malacosteus niger'' (ワニトカゲギス科)による赤色発光。紫外線励起によって赤く光る眼下発光器(s-o)と、白色光を発する眼後発光器(p-o)。両者はそれぞれ別個に明滅させることができる(下段)]]
深海魚を含めた多くの深海生物は、自分自身で産生したルシフェリンを利用する自力発光を行う<ref name=Herring289-291>『深海の生物学』 pp.289-291</ref>。一般に発光器の数は多く、数百から数千に達することもある<ref>{{cite book|author= Herring PJ |title=Luminescent organs. In The Mollusca. Vol. 11. Form and function |publisher=Academic Press |location= San Diego|year=1988}}</ref>。発光器の開口部にレンズやフィルター状の構造を伴う場合もあり、光量や照射方向、発光色の調節に役立っている。
深海に届く光は緑や青の[[波長]]に限られるため、多くの深海魚の目は青い光だけを感知できるようになっているが、ワニトカゲギス科に属するホテイエソ亜科およびホウキボシエソ亜科の魚類には、例外的に赤い光を認識できるものがいる<ref>{{cite journal|author= Douglas RH, Partridge JC, Marshall
=== 発光の機能 ===
==== カウンターイルミネーション ====
深海といえども、水深1,000m程度まではごくわずかに光が差し込む。そのため、日中に下から海面を見上げたとき、上部にいる生物の影が浮かび上がることになる。腹部に発光器を配置し、降り注ぐ光と同じレベルに輝度を調節すれば、このシルエットを消すことが可能になる。これを'''カウンターイルミネーション'''と呼び、中深層遊泳性の深海魚のほとんどがこの方法を利用している<ref name=Herring297-302>『深海の生物学』 pp.297-302</ref>。完全に暗黒の領域となる1,000m以深ではカウンターイルミネーションの効果が期待できないためか、漸深層の深海魚には腹部の発光器はあまりみられない。
==== 捕食 ====
[[ファイル: Malacosteus.JPG|thumb|right|200px|眼下・眼後発光器で視界を照らすオオクチホシエソ ''Malacosteus niger'' (ワニトカゲギス科)の想像図(1887年に描かれたもの)]]
餌となる生き物を照らし出すことが、生物発光の捕食における基本用途であり、多くの深海魚がこの種の発光を行う<ref name=Herring302-306
==== コミュニケーション ====
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==== 防衛 ====
ワニトカゲギス科に属する一部の深海魚は、防御的な強い閃光を発することができる<ref name=Herring293-297>『深海の生物学』 pp.293-297</ref>。非常に明るい光を出すことによって、捕食者を気絶させることさえある<ref>{{cite journal|author= Young RE|title=Review of oceanic luminescence |journal= Bull Marine Sci |year=1983|volume=33|issue=|pages=829-45 }}</ref>。[[ハナメイワシ科]](ニギス目)の魚は[[えら|鰓]](えら)の下から発光液を分泌し、捕食者の目を引きつけるダミーの役割を果たすと考えられている<ref>『深海生物図鑑』 pp.52-53</ref>。
== 生態 ==
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深海魚の捕食シーンを観察することは容易でないため、彼らが何を食べて生きているのかという問題は胃内容物を直接調べるか、身体構造・[[寄生虫]]などの間接的な情報から推測されることが多い。大深度から引き揚げられた深海魚は浮き袋の膨張・反転により、消化管内容物が漏出していることがしばしばある<ref name=Randall118-128/>。また、大型の捕食魚は餌をとる頻度がかなり低いとみられ、胃の中が空っぽというケースが大半である<ref name=Randall118-128/>。
このように、直接的な胃内容物の情報は限定的であることも多いが、胃内に残る生物以外の堆積物から、深海魚の[[食性]]をある程度推測することは可能である。ある深海魚の胃から砂粒が見つかるなら、その魚は直接あるいは間接的に砂泥中の生物を利用していることがわかるし、逆に堆積物がまったくないならば、これらの生物への依存度が低いと考えられる。同じ[[ソ
ある種の寄生虫がもつ厳密な種特異性(特定の[[中間宿主]]・[[終宿主]]のみに感染すること)もまた、深海魚の食性を調べるために利用されている。一部のソコダラ類に感染している寄生虫から、彼らがその中間宿主である[[ヨコエビ]]([[端脚類]])や[[アミ (甲殻類)|アミ類]]を食べていることや、ソコガンギエイ属の1種(''Bathyraja richardsoni'')がヨロイダラを捕食していることなどが推測されている<ref name=Randall118-128/>。
小型の遊泳性深海魚には[[動物プランクトン]](特に甲殻類)を主食とするものが最も多い。クラゲ([[刺胞動物]])・[[サルパ]]([[尾索動物]])類は深海で比較的豊富に存在する生物群であるが、これらの[[ゼラチン|ゼラチン質]]生物を主食とする深海魚は少なく、
海底に沈降した大型生物の死骸もまた、深海生物の重要な食料となる。[[無顎類]]に所属するヌタウナギ科の仲間や、ホラアナゴ科の[[コンゴウアナゴ]]は、こうした遺骸を専食する[[腐肉食|腐肉食性]]の深海魚である<ref name=Randall128-150/>。死体に集まるヨコエビ類を狙うことで間接的に生物遺骸を利用するものも多く、[[ソコオクメウオ科]](アシロ目)やクサウオ科、ゲンゲ科の一部(コンニャクハダカゲンゲ属)などが知られている。こうした腐肉利用性の深海魚の体は一様にゼラチン状でぶよぶよしており、摂食時以外はほとんど動かず静止するか、海底直上を流れに任せ漂っている<ref name=Randall128-150/>。彼らの身体組成と低い運動性は、大型遺骸の沈降という予測不能かつ低頻度な捕食機会に対するエネルギー的適応とみられている。
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==== 日周鉛直移動 ====
[[ファイル:Lanternfish larva.jpg|thumb|right|200px|[[ハダカイワシ]]の仲間。ハダカイワシ類の多くは、夜間に餌を求めて浅海に浮上する日周鉛直移動をする]]
昼間は深海に住む魚が、夜間に餌を求めて浅海に移動することを[[日周鉛直移動]](英:[[w:diel vertical migration|diel vertical migration]])と呼び、中深層遊泳性の深海魚に多くみられる特徴である<ref name=Herring128-138>『深海の生物学』 pp.128-138</ref>。深海魚に限らず、[[ヤムシ]]や[[カイアシ類]]などの動物プランクトン、[[サクラエビ]]など多くの深海生物が日周鉛直移動を行う。日周鉛直移動を行う深海魚は比較的発達した浮き袋をもち、一部の種類では鉛直移動に伴う水圧の変化に対応するため、空気の代わりに脂肪を蓄えるなどの適応がみられる<ref name=Randall150-172/>。
主に中深層に生息する[[ハダカイワシ]]類は日周鉛直移動を行う深海魚の代表的存在で、水深1,000mまでに分布する多くの種類が、夜間は海面に向かって移動する。深海での生息範囲と、浮上して餌をあさる水深は種類ごとに異なっており、互いに競合しないよう住み分けを行っている。この住み分けは「鉛直移動の梯子(ladder of migrations)」とも呼ばれ、浅海の有機物を速やかに深海に運搬する重要なメカニズムとして機能している<ref name=Randall99-102/>。
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==== 雌雄同体・性転換 ====
[[雌雄同体]]であれば、2匹が出会いさえすれば繁殖が可能となる。両性の[[生殖腺]]を維持する必要があるため、エネルギー面の負担は大きくなるが、個体密度の低い深海魚にとってはメリットが大きい。ヒメ目に所属する[[フデエソ科]]・[[ミズウオ科]]・チョウチンハダカ科・シンカイエソ科の深海魚はいずれも雌雄同体である<ref name=Herring332-336>『深海の生物学』
[[性転換]]をする魚類は浅海魚からも知られているが、深海魚にも同様の繁殖様式がみられる。浅海魚では雌から雄に性転換する[[雌性先熟]]が多いのに対し、深海魚ではオニハダカ属やヨコエソ属など、雄から雌に性転換をする[[雄性先熟]]がしばしばみられる。主に中深層に生息するヨコエソ属の魚類は生後1年目までは全て雄だが、概ね2年目までには雌に性転換をする。
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[[矮雄]](わいゆう)とは雌に比べて極端に小さな雄のことで、特にチョウチンアンコウ上科に多くみられる<ref>{{cite journal|author= Pietsch T|title=Dimorphism, parasitism and sex: reproductive strategies among deep-sea ceratioid anglerfishes |journal= Copeia |year=1976|volume=4|issue= |pages=781-793}}</ref>。チョウチンアンコウ類の雄は、雌の3分の1から13分の1程度にしか成長しない<ref name=Nelson254-255>『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.254-255</ref>。[[ミツクリエナガチョウチンアンコウ科]]・[[オニアンコウ科]]など少なくとも4科の矮雄は雌に[[寄生]]する習性をもち、当初は自由生活を送っている雄は、雌を見つけると腹部<ref>腹部が最も多いが、背部や頭部、あるいは誘引突起に付着していた例も知られている(『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.396-397)。</ref>に食いつき一体化する。雄はその後、栄養を雌の皮膚から伸びた血管を通じて得るようになる。自力で泳ぐ必要がないため雄の眼や鰭は次第に退縮する一方、生殖に必要な[[精巣]]の機能は保持されている。雌と矮雄の結合が、互いの性成熟を達成するための必要条件になっている場合もある。
矮雄をもつ他の深海魚としては、ミツマタヤリウオ属とオニハダカ属の一部(ワニトカゲギス目)、および[[クジラウオ科]]の仲間が知られ、いずれも雌への寄生はしない。[[ミツマタヤリウオ]](''Idiacanthus antrostomus'')は50cmほどに成長する雌に対して雄は5cm程度にしかならず<ref>『日本の海水魚』 p.109</ref>、歯と消化器官は貧弱で自力で餌をとることはほとんどできない。眼下発光器と精巣は発達していることから、普段はエネルギー消費を抑えて浮遊しており、発光で雌を呼び寄せるものと考えられる。
このように雌ではなく雄が小型化するのは、上述の性転換の場合と同様で、繁殖には雌の方が多大なエネルギーを要することが理由となっている。矮雄は雌を求めて比較的長い距離を遊泳する必要があるため、持久力の高いいわゆる赤身の[[筋繊維]]が発達している<ref name=Helfman396-397>『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.396-397</ref>。また、ほとんどの矮雄は雌よりも発達した高精度の[[嗅覚]]と、わずかな光を鋭敏に捉える[[視覚]]をもち、雌の位置を特定するために役立てている<ref>{{cite journal|author= Marshall NB|title=The olfactory organs of bathypelagic fishes |journal= Symposia Zoo Soc L|year=1967|volume=19|issue= |pages=57-70}}</ref><ref name=Helfman396-397/>。
=== 成長 ===
[[ファイル: Idiacanthus atlanticus (no common name).gif|thumb|left|ミツマタヤリウオ属の1種(''Idiacanthus atlanticus'')。
生物は成熟するまでに、多くのエネルギーを必要とする。深海では充分な食料を得ることが難しいため、深海魚は浅い海で[[幼生]]時代を過ごすことがしばしばある。[[スケトウダラ]]のように浅い海で産卵するものと、チョウチンハダカのように深い海で産卵し、自然に浮上するに任せるものがある。
表層で成長する深海魚の仔稚魚は、外敵に見つか
浅海で成長した深海魚は[[変態]]を行って成魚とほぼ同じ姿の[[稚魚]]となり、本来の生息場所である深海へと移動する。寒冷で餌の少ない環境で過ごす深海魚の成長速度は遅く、特に底生魚では寿命も長いと考えられている<ref name=Randall102-103>『Deep-Sea Fishes』 pp.102-103</ref>。深海魚の年齢は他の魚類と同じく、[[耳石]]や[[鱗]]に刻まれた同心円状の模様によって推定できる。しかし、成長周期の季節的変化に乏しい深海魚の耳石に明瞭な[[年輪]]が形成されることはまれで、年齢推定はごく微小な日周輪によって行われる<ref name=Randall102-103/>。
ミナミシンカイエソ([[シンカイエソ科]])やセキトリイワシ科の1種(''Conocara macropterum'')は小型の稚魚と大型の成魚のみが突出して多く、両者の中間にあたるサイズが非常に少ないという二峰性の体長分布を示す<ref name=Randall103-106/>。これらの魚類は稚魚期に何らかの原因による選択的捕食を受け、この時期を生き延びたものだけが急速な成長を遂げるものとみられる。
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=== 遊泳行動 ===
{{Double image aside|right|Bathysaurus mollis.jpg |200| Coryphaenoides leptolepis 1.jpg|200|シンカイエソ ''Bathysaurus mollis'' ([[シンカイエソ科]])。海底で静止したまま獲物の接近を待つ、待ち伏せ型(sit-and-wait)底生魚の1種。体を支える胸鰭と腹鰭が発達する|ソコダラ科の1種 (''Coryphaenoides leptolepis'')。本種のような狩猟採集型(active foraging)底生魚は、海底直上での遊泳に適した基底の長い背鰭・臀鰭と尻すぼみの体型をもつことが多い}}
中層で生活する遊泳性深海魚は、エネルギー消費を抑えるためかあまり活発に動き回らないものが多い。中深層に分布する小型の被捕食魚であるハダカイワシやオニハダカの仲間には、普段は立ち泳ぎをするような姿勢でじっとしているものがいる<ref name=Kitamura62-65>『深海生物図鑑』 pp.62-65</ref>。これは自分の影をできるだけ小さくすることで、捕食者に見つかりにくくする効果があると考えられている。
中深層に多いワニトカゲギス類、および漸深層に幅広く分布するチョウチンアンコウ類は、遊泳性の待ち伏せ型(float-and-wait)捕食魚の代表である。後者は[[シダアンコウ科]]など一部を除いて丸みを帯びた球状の体型をしており、浮力の維持には向いているが素早い遊泳には適していない。彼らの筋肉はいわゆる白身であり、瞬発力に優れるものの持久力はほとんどない。積極的に餌を探す狩猟採集型(active foraging)の遊泳性深海魚としては、ミズウオ科・クロボウズギス科などが知られる。
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[[ファイル: Hydrolagus02 600.jpg|thumb|right|アカギンザメ属の1種 ''Hydrolagus'' sp. (ギンザメ科)。ギンザメ類は現生の軟骨魚類として最も原始的なグループで、すべて深海底生性]]
[[ファイル: Squalus acanthias2.jpg|thumb|right|[[アブラツノザメ]] ''Squalus acanthias'' (ツノザメ科)。ツノザメ類は中深層の海底で普通にみられる深海ザメである]]
[[ファイル: Latimeria menadoensis.jpg|thumb|right|シーラカンス科の1種(''Latimeria menadoensis'')。インドネシアで発見された本種は、1999年に新種として記載された]]▼
現生はヌタウナギ目・[[ヤツメウナギ目]]の2目のみで、後者は主に淡水産。
* '''[[ヌタウナギ|ヌタウナギ目]]'''(旧メクラウナギ目)
** ヌタウナギ科
=== 軟骨魚類 ===
[[軟骨魚綱|軟骨魚類]]にはいわゆる[[サメ]]・[[エイ]]およびギンザメの仲間が所属し、底生性の深海魚が多く含まれる。
* '''[[ギンザメ目]]'''
** ゾウギンザメ科
** テングギンザメ科
** ギンザメ科
* '''[[ネズミザメ目]]'''
** [[ミツクリザメ|ミツクリザメ科]]
** [[メガマウス
* '''[[メジロザメ目]]'''
** トラザメ科
* '''[[カグラザメ目]]'''
** [[ラブカ科]]
** カグラザメ科
* '''[[キクザメ目]]'''
** キクザメ科
* '''[[ツノザメ目]]'''
** [[ツノザメ科]]
** [[アイザメ科]]
** [[カラスザメ科]]
** [[オロシザメ科]]
** [[ヨロイザメ科]]
** [[オンデンザメ科]]
* '''[[トビエイ目]]'''
** ムツエラエイ科
** ウスエイ科
=== 肉鰭類 ===▼
[[肉鰭綱]]に属し、[[四肢動物]]の祖先と考えられている一群。現存は[[ハイギョ]]類とシーラカンス類のみ。▼
* '''[[シーラカンス目]]''' [[w:Coelacanthiformes|Coelacanthiformes]] [[生きている化石]]とも呼ばれ、現生種は2種。▼
** [[シーラカンス科]] [[w:Latimeriidae|Latimeriidae]] - [[ラティメリア|シーラカンス]]▼
=== 条鰭類 ===
[[ファイル: Opisthoproctus soleatus.png |thumb|right|デメニギス科の1種(''Opisthoproctus soleatus'')。真上を向いた管状眼が特徴]]
[[ファイル:
[[ファイル: Chauliodus sloani (Enoshima).jpg|thumb|right|[[ホウライエソ]] ''Chauliodus sloani'' (ワニトカゲギス科)の標本展示([[新江ノ島水族館]])。本科魚類は中深層遊泳性の捕食者として重要な存在である]]
[[ファイル: Daggertooth.PNG |thumb|right|ミズウオダマシ属の1種 [[w:Anotopterus sp. (2008)|''Anotopterus'' sp.]] (ハダカエソ科)。写真の個体は2008年に捕獲されたもので、新種と考えられている<ref>[http://www.fish.govt.nz/NR/rdonlyres/7CF525AF-2985-4152-B225-28E52E389F3B/0/IPYdiary10.pdf NZ IPY-CAML Voyage 2008] (英語)</ref>]]
[[ファイル:King of herrings.png|thumb|right|[[リュウグウノツカイ]] ''Regalecus glesne'' (リュウグウノツカイ科)。[[硬骨魚類]]として最大の体長をもち、[[シーサーペント]]や[[人魚]]伝説の元になったと考えられている]]
[[ファイル: Spectrunculus grandis 2.jpg |thumb|right|[[ソコボウズ]] ''Spectrunculus grandis'' (アシロ科)。世界最深部の魚類の1種]]
[[ファイル:
[[ファイル: Himantolophus sp.jpg|thumb|right|チョウチンアンコウ科の1種(''Himantolophus'' sp.)。チョウチンアンコウ類は種類が多く、漸深層の遊泳性深海魚としては最もありふれた存在である]]
[[ファイル: Anoplogaster cornuta 2.jpg|thumb|right|[[オニキンメ]] ''Anoplogaster cornuta'' (オニキンメ科)。牙のように長く鋭い歯を備え、口を閉じることはできない]]
[[ファイル: Careproctus ovigerum (juvenile).jpg |thumb|right|クサウオ科コンニャクウオ属の1種(''Careproctus ovigerum'')。本属は名前の通りぶよぶよした体が特徴]]
[[ファイル:
[[ファイル: Ragfish.png|thumb|right|[[イレズミコンニャクアジ]] ''Icosteus aenigmaticus'' (イレズミコンニャクアジ科)。若魚(上)は特徴的なまだら模様と腹鰭をもつが、成魚(下)ではいずれも消失する。生態には謎が多く、本種のみで独立の目とされたこともあるなど、議論の多い深海魚の一つである]]
▲[[ファイル: Latimeria menadoensis.jpg|thumb|right|シーラカンス科の1種(''Latimeria menadoensis'')。インドネシアで発見された本種は、1999年に新種として記載された]]
[[条鰭綱]]には現生の[[硬骨魚類]]のほとんどが含まれ、所属する約40目のうち半数は深海への適応がみられる。
* '''[[ソトイワシ目]]'''
** [[トカゲギス科]]
** [[ソコギス科]]
* '''[[ウナギ目]]'''
** [[ホラアナゴ科]]
** フサアナゴ科
** ヘラアナゴ科
** シギウナギ科
** クズアナゴ科
** ノコバウナギ科
* '''[[フウセンウナギ目]]'''
** ヤバネウナギ科
** フウセンウナギ科
** [[フクロウナギ|フクロウナギ科]]
** タンガクウナギ科
* '''[[ニギス目]]'''
** [[ニギス科
** [[デメニギス科
** ミクロストマ科
** [[ハナメイワシ科
** [[w:Bathylaconidae|Bathylaconidae 科]]
** [[セキトリイワシ科]]
* '''[[ワニトカゲギス目]]'''
** ユメハダカ科
** [[ヨコエソ科]]
** [[ムネエソ科]]
** ギンハダカ科
** [[ワニトカゲギス科]]
* '''[[シャチブリ目]]'''
** シャチブリ科
* '''[[ヒメ目]]'''
** [[チョウチンハダカ科]]
** フデエソ科
** [[w:Bathysauropsidae|Bathysauropsidae 科]]
** [[デメエソ科]]
** ヤリエソ科
** ミズウオ科
** ハダカエソ科
** [[シンカイエソ科]]
** [[ボウエンギョ科]]
* '''[[ハダカイワシ目]]'''
** ソトオリイワシ科
** [[ハダカイワシ科]]
* '''[[アカマンボウ目]]'''
** クサアジ科
** アカマンボウ科
** [[ステューレポルス|ステューレポルス科]]
** アカナマダ科
** ラディイケパルス科
** [[フリソデウオ科]]
** リュウグウノツカイ科
* '''[[ギンメダイ目]]'''
** [[ギンメダイ科]]
* '''[[タラ目]]'''
** ウナギダラ科
** アシナガダラ科
** [[ソコダラ科]]
** チゴダラ科
** [[メルルーサ科]]
** [[タラ科]]
* '''[[アシロ目]]'''
** [[アシロ科]]
** [[ソコオクメウオ科]]
* '''[[アンコウ目]]'''
** [[アンコウ科]]
** [[フサアンコウ科]]
** [[アカグツ科]]
** ヒレナガチョウチンアンコウ科
** ネオケラティアス科
** クロアンコウ科
** [[チョウチンアンコウ科]]
** フタツザオチョウチンアンコウ科
** ラクダアンコウ科
** タウマティクテュス科
** ケントロプリュネー科
** ミツクリエナガチョウチンアンコウ科
** [[シダアンコウ科]]
** オニアンコウ科
* '''[[クジラウオ目]]'''(カンムリキンメダイ目)
** カブトウオ科
** カンムリキンメダイ科
** ヒースピドベーリュクス科
** フシギウオ科
** アンコウイワシ科
** アカクジラウオダマシ科
** [[クジラウオ科]]
*** トクビレイワシ科
*** ソコクジラウオ科
* '''[[キンメダイ目]]'''
** オニキンメ科
** [[ナカムラギンメ科]]
** ヒウチダイ科
** [[キンメダイ科]]
* '''[[マトウダイ目]]'''
** オオメマトウダイ科
** ベニマトウダイ科
** ソコマトウダイ科
** ヒシマトウダイ科
* '''[[カサゴ目]]'''
** [[キホウボウ科]]
** アカゴチ科
** ギンダラ科
** トリカジカ科
** [[クサウオ科]]
* '''[[スズキ目]]'''
** [[イシナギ科]] {{sname||Polyprionidae}}
** ヤエギス科 [[w:Caristiidae|Caristiidae]]▼
** [[ヤセムツ科]] {{sname||Epigonidae}}
** ソコニシン科 [[w:Bathyclupeidae|Bathyclupeidae]]▼
** ゲンゲ科 [[w:Zoarcidae|Zoarcidae]]▼
** アルテディドラコ科 [[w:Artedidraconidae|Artedidraconidae]]▼
** [[クロボウズギス科]] [[w:Chiasmodontidae|Chiasmodontidae]] - [[オニボウズギス]]▼
** イレズミコンニャクアジ科 [[w:Icosteidae|Icosteidae]] - [[イレズミコンニャクアジ]]▼
** [[ムカシクロタチ科]] [[w:Scombrolabracidae|Scombrolabracidae]]▼
** [[クロタチカマス科]] [[w:Gempylidae|Gempylidae]] - [[バラムツ]]・[[アブラソコムツ]]▼
** オオメメダイ科 [[w:Ariommatidae|Ariommatidae]]▼
** ヒシダイ科 [[w:Caproidae|Caproidae]]▼
* '''[[カレイ目]]''' [[w:Pleuronectiformes|Pleuronectiformes]] 上記2目と同じく、多くの科は浅海種・深海種を満遍なく含む。ウシノシタ科に所属する2亜科のうち、アズマガレイ亜科は深海性である。▼
** カワラガレイ科 [[w:Poecilopsettidae|Poecilopsettidae]]▼
▲* '''[[カレイ目]]'''
** ベロガレイ科 [[w:Samaridae|Samaridae]]▼
* '''[[フグ目]]''' [[w:Tetraodontiformes|Tetraodontiformes]] 浅海魚が多いが、ベニカワムキ科の約20種は底生性の深海魚である。▼
** ベニカワムキ科 [[w:Triacanthodidae|Triacanthodidae]]▼
▲* '''[[フグ目]]'''
▲=== 肉鰭類 ===
== 出典・脚注 ==
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