「ウェストコート」の版間の差分

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'''ウェストコート'''は、男性の[[洋服|洋装]]において上衣の下に着用して胴体部分を覆う被服である。
 
日本では主に正装や礼装用の上着、或はスーツの下に着る袖の無い[[ベスト]]({{Lang-en-us|[[アメリカ英語]]、''vest''}}、{{Lang-en-gb|''waistcoat''}} )を意味する。'''チョッキ'''や'''胴着'''、'''胴衣'''とも呼ばれている。
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== 来歴 ==
17世紀後半以来紳士服は'''ジュストコール'''(上着)、'''長袖の[[ベスト]]'''、'''キュロット'''(半ズボン)、'''クラヴァット'''(ネクタイの原型)から構成されていたが、18世紀に入るとジュストコールが細身になり、[[ルイ15世]]の時代にはベストの袖が無くなった。そして、この袖の無いベストが [[ウェストコート]](Waistcoat,フランスでは'''ジレ'''(gilet))と呼ばれるようになった。
 
== 来歴 ==
現在では、単に「'''ベスト'''」といえば、男女問わず丈が短めで袖が無い上着の下に着る胴着という意味で用いられることが多い。毛糸で編まれたウェストコートと同じ形のもの(ニット系ベスト)は「チョッキ」とも呼ばれ、主に普段着の防寒用として使用される。
17世紀後半以来紳士服は'''ジュストコール'''(上着)、'''長袖の[[ベスト]]'''、'''キュロット'''(半ズボン)、'''クラヴァット'''(ネクタイの原型)から構成されていたが、18世紀に入るとジュストコールが細身になり、[[ルイ15世]]の時代にはベストの袖が無くなった。そして、この袖の無いベストが [[ウェストコート]](Waistcoat,(Waistcoat)(フランスでは'''ジレ'''(gilet))(gilet))と呼ばれるようになった。
{{main|ベスト}}
 
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現在では、単に「'''ベスト'''」といえば、男女問わず丈が短めで袖が無い上着の下に着る胴着という意味で用いられることが多い。毛糸で編まれたウェストコートと同じ形のもの(ニット系ベスト)は「チョッキ」とも呼ばれ、主に普段着の防寒用として使用される。また、[[ジレー]](gilet)と呼ばれる装飾的な前飾りをつけた婦人用の胴着もある。
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== 特徴 ==
[[ファイル:Nixon and the Windsors.gif|200px|thumb|正装時のウェストコート。[[燕尾服]]着用時にはその下に白のウェストコートを着用する。]]
ウェストコートを着用するときは、伝統的にはウェストコートの下が浮くのを防ぐため[[ベルト (服飾)|ベルト]]を用いず、[[サスペンダー]](ズボン吊り)を用いていた。ウェストコートを着用する場合は、[[懐中時計]]はそのポケットに入れるのが通常である。[[ネクタイピン]]はウェストコートがネクタイ止めの役目を果たしているので付けない
 
 最も典型的には正面を縦1行で5個~6ないし6個の[[ボタン (服飾)|ボタン]]で留め(まれに7個)ボタンとボタンの間隔は5センチ(体型により上下する)。前身の生地は[[背広]]と同じもの、後身の生地は[[裏地]]同様のものが用いられる形状であるため背広や裏地の柄・色なども気をつけたい、後身の生地を前身と同じ生地に仕立てることも出来る。襟部分は折返し[[]]がないものと折返し襟があるものとがある。ポケットは腰と胸に左右2ずつ付けることが出来る、[[尾錠]]を付けることも出来る。ウェストコートは[[背広]]の種類や{{要曖昧さ回避|date=2011年1月|[[ブレスト}}]](シングル・ダブル)や[[礼服]]の種類、'''無地かストライプの有無、スーツの色、ボタンの数とVゾーンの深さ'''によって外観が異なる。'''2つボタンのスーツの場合は第一ボタンをかけた状態でヴェストの上のボタンが二個のぞくくらい、三つボタンの場合は一個~一個半覗くくらいで仕立る。'''ダブルスーツの場合はシングル・ダブル問わずにウェストコートを見せないとされている。
 
一番下のボタンは外して着用するのが正しいが、全てのボタンが一直線に配置されているのであれば、一番下のボタンまで掛けても構わない。一番下のボタンが少し開いた位置に付けられているのであれば、これは掛けてならないが、[[燕尾服]]等夜間の礼装の内着として用いられる物(一般的にボタンが3ないし4個と少なく、ゆえにVゾーンが深いデザインとなる)は、全てのボタンを留めるのが通例となっている。燕尾服は本来はダンスのため洗濯をするように出来ているのでウェストコートはボタンと背中の金具が取り外せるように出来ている。ウェストコートの裏側にはウェストコートとスラックスを固定する為の帯が付いている。
 
股上が深いスラックスの場合は、ウェストコートの丈を短くしサスペンダーで吊り、股上が浅いスラックスの場合、丈を長くする必要がある。ベルトとサスペンダーを共用する場合は、スラックスの股上を浅くしウェストコートの丈を長くする必要がある。
ウェストコートを着用の場合は背広のボタンを外しても失礼に当たらない。現在の背広に相当する為。
 
股上が深いスラックスの場合は、ウェストコートの丈を短くしサスペンダーで吊り、股上が浅いスラックスの場合、丈を長くする必要がある。ベルトとサスペンダーを共用する場合は、スラックスの股上を浅くしウェストコートの丈を長くする必要がある。
 
タキシードに用いられる専用のウェストコートでカマーベストという物が存在する。後ろの生地が無く前面の生地と背面のベルトでサイズが調整できるのが特徴。
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== 用いられる衣服 ==
[[File:PlateV Evening Dress.jpg|thumb|200px|アメリカ海兵隊士官のイブニングメスドレス(ホワイトタイ相当,中央)とメスドレス(ブラックタイ相当,右)。同じ服にイブニングメスドレスでは赤いウェストコート、メスドレスでは赤いカマーバンドを着用。]]
 
正装・礼装に於いては[[燕尾服]]、[[フロックコート]]、[[モーニングコート]]及び[[ディレクターズスーツ]]等の下にウェストコートを着用するのが正式とされている。TPOにより共布、黒、灰、白が用いられる。[[タキシード|ブラックタイ]](夜間の準礼装)の場合はウェストコートの代わりに[[カマーバンド]]を着用する。
 
慶事に用いられる[[白衿]]は白や灰のウェストコートの代用品であって正式ではない、弔事では外すこと。なお白衿は[[和服|着物]]の[[半衿]]をウェストコートに採用したと言われている。
 
最近の[[軍服]]では、ドレスコードがホワイトタイ([[燕尾服]])の場合はウェストコート、ブラックタイ([[タキシード]])の場合は[[カマーバンド]]を同じメスジャケットの下に着用するよう規定されている場合もある(例:[[アメリカ]][[アメリカ陸軍|陸]]<ref>Army Regulation 670–1 Chapter 22–10,11/24–10,11</ref>・[[アメリカ海軍|海軍]]<ref>UNITED STATES NAVY UNIFORM REGULATIONS Article 3201,3203</ref>・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]、[[イギリス海軍]])。
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伝統的にはウェストコートは[[紳士]]の服装に必須のものと考えられ、例えば[[1914年]][[2月28日]]以前の[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の将校服制では、決して胴衣部分が見えない[[立襟]]型の[[軍服 (大日本帝国海軍)#正装|正服]]等においても「胴衣」という名称でウェストコートの着用が定められていた(「[[軍服 (大日本帝国海軍)]]」を参照)。
 
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== 参考資料 ==
*佐々井 啓、水谷 由美子ほか 『ファッションの歴史西洋服飾史 (シリーズ「生活科学」)』 佐々井 啓、朝倉書店、2003年4月。ISBN 978-4-254-60598-3。
*ハーディ・エイミス 『ハーディ・エイミスのイギリスの紳士服』 森 秀樹訳、大修館書店、1997年3月。ISBN 978-4-469-24399-4。
 
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{{Commons|Category:Waistcoats}}
*[[背広]]
*[[ファッション]]
*[[カマーバンド]]
*[[カーディガン]]
 
{{DEFAULTSORT:うえすとこと}}
[[Category:アウターウェア]]
[[Category:礼服]]
 
[[da:Vest (tøj)]]