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Dr jimmy (会話 | 投稿記録)
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== 歴史的背景 ==
[[ヨーロッパ]]諸国に出現した[[建築家]]の形成にも歴史的段階があり、サーベイヤーは[[建築家]]に先行する[[職能]]として[[イギリス]]に以前からみられた職名で、一部がのちに[[建築家]]へと分離発展する。
 
[[日本]]で一般に[[イギリス]]のサーベイヤーをさす場合、王立サーベイヤー協会で認定されるチャータード・サーベイヤーを指すか、積算専門家・積算技術者であるクオンティティ・サーベイヤーかを指している。[[イギリス]]独自にある職能名なため、[[日本語]]に訳すときには上記の関連から[[測量]]技師・[[測量士]]などや積算士などと訳される場合がある。
 
[[16世紀]]から[[18世紀]]まで長らく[[アーキテクト]]などと同義に使われたサーベイヤーは、歴史的にみるとクラフトマンとは違った系譜の下で発展してきている。
 
サーベイヤーの前身は[[12世紀]]に設置されたピュアー(Vewer「監査官」)という[[会計検査]]的な側面と[[現場監督]]的側面をもつ職務の官職にさかのぼる。当時イギリスは国家形成期で王室建設局は直轄監理できるほど発達していなく、技術職人・技能士からの人足集めや手配から資材の購入と納品管理、運搬から建設資金の運用など[[建設工事]]の責任主体は各地方[[州長官]]が担った。
 
このとき州政府の建設工事について監督し、工費の正当性を財務裁判所で証言する役目がピュアーである。ピュアーには主に[[医者]]や[[牧師]]など、ほかの職業をもち王室に信頼を得ている人が就任しており、一般に[[建築技術]]等については[[素人]]であったとされている。
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その後、国家体制の集権化の中で増大する工事量をさばくために、工事管理者の位置づけのキーパー(keeper)という職が出現する。さらには、現場監督という位置づけである建設局所属のクラーク(clerk of the work)が現われる。とくに、それまでの証言方式から書類方式とする1236年の会計制度の改革に伴い、王室建設局はクラークを軸に展開する。
 
[[1378年]]にはイギリス全土の王室建築工事をすべて統轄するクラークが確立し集権化が達成されるとともに、ここから[[14世紀]]に「クラークがサーベイする」という言い方がうまれる。集権国家体制の中で建設工事全般の管理という任務が強く出されたことに由来したのである。
 
14世紀には王室建設局でもクラークにあたる任務者に、一時期サーベイヤーという官職名をもちいている。こうしてピュアーが徐々にサーベイヤーと発展していくようになり、その任務もすべての[[大工]]や[[石工]]その他の職人手配や、未熟な職人は腕のある職人に入れ替えるなどや仕事をやり直しを含め、しかるべく遂行するよう、彼らが王室の城郭や館その他国内の領地で行われる仕事全般を担当し、職務に属する諸々の事項が確立していくことになる。
 
[[15世紀]]から[[16世紀]]にかけて、名実ともにサーベイヤーが王室建設局の最高技監の職名になっていく。他方、[[18世紀]]の[[修道院]]領没収という政策によって、その払い下げを受けた新興地主の土地・財産(イギリスでいうところの[[エステート]])の管理が急増し、民間においてこの仕事を引き受ける職能が大量に出現し、これらがエステート・サーベイヤーとして発展する。
 
こうしてイギリスに発生したサーベイヤーは14、5世紀の建設工事管理的職務に、さらに測量・物件鑑定・見積り積算など、今日のサーベイヤー的な職務がだんだんと加わって、民間の[[建設コンサルタント]]的職能の確立をみていった。