「異文化コミュニケーション」の版間の差分

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{{雑多な内容の箇条書き|date=2011年05月}}{{内容過剰|Wikipedia:過剰な内容の整理/過剰な内容の整理|date=2011年06月}}'''異文化コミュニケーション'''(いぶんかコミュニケーション、英名''Cross-cultural Communication'')とは、「文化的背景を異にする存在同士のコミュニケーション」のことである<ref name="gaiyoy">久米昭元・長谷川典子 『ケースで学ぶ異文化コミュニケーション – 誤解・失敗・すれ違い』 有斐閣 2007年</ref>。異文化コミュニケーションでは[[実践]]能力を重視する。コミュニケーションについていくら[[理論]]を展開しても、実践が伴わなければあまり意味がない<ref name="gaiyd">八代京子・町恵理子・小池浩子・吉田友子 『異文化トレーニング〔改訂版〕 - ボーダレス社会を生きる』 三修社 2009年</ref>。実践力を育むための[[訓練]]手段としては「異文化コミュニケーション・トレーニング(実践力養成、擬似体験学習)」<ref name="gaiyd"/>がある。
 
== 概説 ==
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異文化コミュニケーションは、「コミュニケーション」や「文化」<ref>文化とは、一定の地域の中で長年の間に築き上げられ、人々の頭の中に蓄積された「共通の思考体系」のことである。自分の住んでいる地域ではあたり前となっている、共通の「考え方の癖」「行動の仕方」「ものの見方」ともいえる。文化は人間行動の歴史的蓄積であり、それは人々の記憶として蓄積されている。一方、コミュニケーションは歴史を背負った人間が行う他者との「関わり」である。</ref>あるいは「異文化」と同様に可視的なものではなく、あくまでも私たちの頭の中で描いている概念である<ref name="gaiyoy"/>。異文化コミュニケーションは、自分探しの旅であるとよくいわれる。自分と異なる[[人]]や[[文化]]と交わることによって自分が何者なのかに気付かされ、[[アイデンティティ]]<ref>アイデンティティとは、他者の目を通して見えてくる自分、他者の自分に対する接し方によって確立される自分である。</ref>、そして[[自己]]<ref>自己とは信念、価値、態度、欲求といったものが複雑に作用するフィールドである。アイデンティティが社会的でかつ脈絡によって変化しやすいのに比べて、自己はいったん確立してしまうと変わらない部分をその中心に持つ。</ref>が見えてくるのである<ref name="gaiyoa">池田理知子、エリック・M・クレーマー 『異文化コミュニケーション・入門』 有斐閣 2000年</ref>。文化の違いはあらゆるところで見られる。同じ日本人同士であっても、性別、年齢、職業、社会的立場、出身地の違い、など数多くの異文化が存在し、それぞれの違いを乗り越えてコミュニケーションすることすべてが異文化コミュニケーションである<ref name="gaiyoz">大島希巳江 『日本の笑いと世界のユーモア – 異文化コミュニケーションの観点から』 世界思想社 2006年</ref>。
 
:;自己と文化
:人のおかれた環境やそこに伝わる文化が自己の形成に多分に関与している<ref name="gaiyoa"/>。
:;コミュニケーション
:さまざまなメッセージが交差する接点である自己、そこで生じる現象であるといえる<ref name="gaiyoa"/>。
 
=== 異文化を知る意義 ===
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文化背景の異なる人と生活してみると、私たちの[[常識]]が相手の常識でないことに直面する。日常的な文化の違いはどんなに小さくても、それが蓄積すると大きな[[ストレス]]になり、私たちの精神状態に影響を与える<ref name="gaiyd"/>。
 
''';トラブる'''<ref name="gaiyob"/>
:初めての異文化体験は[[トラブル]]続きとなりがち。[[ラーメン]]を音を出してすすって食べるようなささいな行為が、[[マナー]]の無知をさらけ出すようなもの。異文化においては、このようなささいなことこそがストレスに結びつく。[[時差ぼけ]]でしかも新しい環境に慣れていない、はじめの数日は混沌とした中でストレスがどんどん高まるような問題が生じる。 [[日本人]]をはじめ、外国へ[[留学]]する際の問題は、些細なことが原因となっていることが多い。極端なトラブルだと、精神的に不安定な学生が、お世話になっているホストファミリー宅で命を絶ってしまうこともある。
 
初めての異文化体験は[[トラブル]]続きとなりがち。[[ラーメン]]を音を出してすすって食べるようなささいな行為が、[[マナー]]の無知をさらけ出すようなもの。異文化においては、このようなささいなことこそがストレスに結びつく。[[時差ぼけ]]でしかも新しい環境に慣れていない、はじめの数日は混沌とした中でストレスがどんどん高まるような問題が生じる。 [[日本人]]をはじめ、外国へ[[留学]]する際の問題は、些細なことが原因となっていることが多い。極端なトラブルだと、精神的に不安定な学生が、お世話になっているホストファミリー宅で命を絶ってしまうこともある。
 
== 非言語コミュニケーション ==
:''「[[{{See also|非言語コミュニケーション]]」も参照''}}
 
コミュニケーション全体を100とすると、言語を使って伝えられるメッセージは全体の約35、非言語によるコミュニケーションは65(70-80)<ref name="gaiyoi"/>を占めるといわれている。非言語コミュニケーションは、言葉だけでは伝えきれないメッセージを補うのに大きな役割を果たしている。多くの人は、言葉よりもそれ以外の表現の方をより強く真実であると感じる傾向がある。文化圏によって一つのジェスチャーや間の取り方がまったく異なる意味に受け止められがちで、言語と違い、非言語の方がより無意識のうちに使われているだけに、誤解を招き易い<ref name="gaiyoz"/>。
 
== ユーモアの効用 ==
:''「[[{{See also|ユーモア]]」も参照''}}
 
人は、笑いながら自分を笑わせている相手を殴ることはできない。笑っていると人を攻撃するほど体の筋肉に力を入れることはできない。[[ユーモア]]を発する人間に対して好意的な印象を持つのがユーモアの効果である。異文化衝突の多い多民族社会では、ユーモアは頻繁に見られるコミュニケーションのツールとなっている。日常の会話にユーモアを織り込むことにより、衝突を回避したり、敵対心や緊張感を緩和させたりして、人間関係の距離を縮めコミュニケーションをスムーズにする効果がある<ref name="gaiyoz"/>。
 
;役割
'''役割''' - :異文化間の摩擦を和らげるのに、「笑い」「ユーモア」は大きな役割を果たす。お互いに真似をして、失敗して、笑い合って、そんな中から相互理解も生まれてくる。言葉は通じなくても、笑いの中で、異文化の者同士が本当に仲良くなれる、笑いのお陰で、摩擦を感じなくなる<ref name="gaiyoi"/>。
 
;効用
'''効用''' - :欧米では30年ほど前から[[ビジネス]]におけるユーモアの効用が注目されている。1日の大半を過ごす職場でストレスを減少させ、心地よく過ごせる環境を作るということは結果的に生産性や、効率の良さにも反映される。ユーモアのある人材は企業や組織にとって有益であると考えられている。日本の大手損害保険会社の営業担当者400名を対象とした[[2006年]]のアンケート調査では、ユーモア度の高い担当者ほど営業成績がよいことが判っている<ref name="gaiyom">木村洋二・編 『笑いを科学する – ユーモア・サイエンスへの招待』 新曜社 2010年「大島希巳江:異文化コミュニケーションにおけるユーモアの役割」</ref>。
 
== カルチャー・ショック ==
:''「[[{{See also|カルチャーショック]]」も参照''}}
 
異文化コミュニケーションの中でも特に引き合いに出される概念<ref name="gaiyob"/>。
;症状
*症状::「必要以上に手を洗う」、「うつろな視線」、「無力、見捨てられたと感じる」、「騙されているのではないか、略奪されるのではないか、傷つけられるのではないかと怯える」、「強く自国・旧友を懐かしがる」、「頭痛や胃痛、吐き気」、「抑鬱、離人感、不眠」、「慢性的不安、欲求不満、[[偏執病|パラノイア]]状態」、「どうしたらいいのか方向性を見失う」、「過度な自己防衛的態度」
 
それぞれの文化によって異なった考え方、異なった行為が行われるということをまず理解する必要がある。異文化に遭遇した場合、それをいきなり評価するのではなく、如何に自文化と異なるのかを正確に把握し、なぜそのような違いが起こりうるのかを理解する。そして、そこで知りえた知識をもとに、即断即決を出来るだけ避ける心構えが必要である。
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新しい国に行くと買い物ひとつするにも、どこにいってよいか分からなかったり、買い物するのに何時間もかかったり、挙句の果て欲しいものが買えなかったりして無力感を感じることが多い。自己効力感(''Self efficacy'':ある文化の中で、場面に応じた適切な行動が取れる自信)を強めるのに一番効果的なのは、なるべく早く新しい環境について学び、慣れることである<ref name="gaiyd"/>。
 
'''=== 逆カルチャー・ショック''' ===
 
研究者によっては外国に行く際に感じるカルチャー・ショックよりも、帰国してから感じる逆カルチャー・ショック(別名、リエントリー・ショック)の方が大きい、と言う人もいる。その要因としては、「自分の文化に帰る」という期待が大きかっただけに、実際は自分や母国が思ったより変わっていて「裏ぎられた」、という失望(''disconfirmed expectations'')が大きいからではないだろうかと考えられている<ref name="gaiyd"/>。