「物理モデル音源」の版間の差分

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'''物理モデル音源'''(ぶつりモデルおんげん)は、[[デジタル信号処理|DSP]]を利用して、生楽器の発音構造や共鳴構造をコンピュータ上でいかに振動・共振するかをリアルタイムに演算し、音色を合成し仮想的に[[シミュレーション|シミュレート]]して[[音]]を出す方式。生楽器だけでなく、実在しない楽器も作成することも可能である。この物理モデル音源は物理音源やDSP音源とも呼ばれる。
 
==特徴==
持続系の[[管楽器]]や[[弦楽器]]など音色変化のある楽器のシミュレートを得意とするが、減衰系の[[ピアノ]]や[[ドラムセット|ドラム]]の音は[[PCM音源]]に比べて得意でない。
 
管楽器を鍵盤のついたシンセサイザーで、リアルさを追求しつつ演奏する場合は、コントロールする項目が多くなる。
コントロールする項目が多いため、鍵盤を押しただけではリアルな音が出せず、[[ブレス・コントローラ]]などを利用して初めてリアルな音が出せる。そのため、PCM音源のような手軽さはなく、弾きこなすには相当の訓練を要する。複雑な処理をDSPで行うため、最大同時発音数は1音または多くても16で、同価格帯のPCM音源より発音数が少ない。また、コストパフォーマンスもPCM音源や[[FM音源]]に比べるとあまり良くない。
管楽器のように息でリードを振動させて音を出すような楽器では、鍵盤を押すだけではリアルな音が出せず、[[ブレス・コントローラ]]などを利用して初めてリアルな音が出せる。
そのため、PCM音源のような手軽さはなく弾きこなすには慣れが必要だが、ブレスコントローラや、[[ウインドシンセサイザー]]の様な機器を使用することにより、鳴り始めから鳴り終わるまでの擦れるような細かな息遣いまで再現が出来るのは物理モデルの最大の特徴でり利点である。
2011年現在では、プロ仕様のシンセサイザーや、エレクトーンに搭載されることが多く、1台で和音を演奏するような場合は安価に入手できな。
 
==歴史==
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==現在までに搭載された製品==
ヤマハでは[[ヤマハ・VL/VPシリーズ]]、[[ヤマハ・EXシリーズ]]のEX5・EX5Rシンセサイザーに搭載。
また、1990年代の後半から2000年代前半に発売された一部のシンセサイザーと、モジュール音源向けに発売された拡張ボード[[Modular Synthesis Plug-in System|PLG150-VL・PLG100-VL]]として発売されたがある
近年ではSTAGEA等の一部の、1998年以降発売された[[エレクトーン]]の上位機種や、現行機の[[STAGEA]]の上位機種に搭載されている。
 
[[ヤマハ]]以外の製品では、[[コルグ]]社のZ1やProphecyなどのMOSS音源も物理モデル音源であり、米国スタンフォード大学とヤマハからライセンスを受けたが所有する電子楽器の特許技術の[[SONDIUS-XG]]を応用した音源を搭載している。[[コルグ・Z1]]や[[コルグ・Prophecy]]ともに2005年現在は生産完了しており、[[コルグ・TRITONシリーズ|TRITON]]シリーズのオプションの拡張ボードと、[[コルグ・OASYS|OASYS]]やKRONOSの内蔵音源の一部にこのMOSS音源は販売されている。
 
アナログシンセサイザーをデジタルで再現したNord Leadや、ローランドのJP-8000などの[[バーチャルアナログ音源]]は、この物理モデル音源を生楽器でなく、アナログシンセサイザーに特化したものである。