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与平 (会話 | 投稿記録)
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{{Law}}
'''濫用'''(らんよう:'''乱用''')とは、あること([[権利]][[権限]]など)やものなどを濫(みだ)りに用いること。特に権利、権限の行使について用いられ、ある権限を与えられた者が、その権限を本来の目的とは異なることに用いることをさすことが多い。権限外の行為は[[権限踰越]]。
 
なお「濫」の字は[[当用漢字]]・[[常用漢字]]であり、「乱」に書き換えるのは[[1954年]]([[昭和]]29年)の当用漢字補正資料(あくまでも[[国語審議会]]の試案であり実際の内閣告示などではない)に基づいたものである。当用漢字・常用漢字であるのにもかかわらず書き換えられることが多いのは日本新聞協会が加盟社に対し「1954年4月1日から一斉にこれを採用する」としたことも影響していると考えられる。(参考:「新聞協会報」1954年3月22日)
 
== 憲法 ==
[[日本国憲法|憲法]][[日本国憲法第12条|12条]]は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民はこれを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定する。
 
詳細は[[公共の福祉]]の項目を参照。
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== 民法 ==
=== 概説 ===
[[b:民法第1条|民法1条]]3項は、「権利の濫用は、これを許さない。」と規定する。
 
概念は、[[19世紀]]後半に[[フランス]]で[[判例法]]として確立され、[[牧野英一]]らによって日本に導入された。最初に権利濫用の法理が実質的に採用された事件は[[信玄公旗掛松事件]](大判大正8年3月3日民録25輯356頁)であるが、「権利の濫用」が概念として初めて用いられたのは[[宇奈月温泉事件]](大判昭和10年10月5日民集14巻1965頁)においてである。権利濫用の概念は[[20世紀]]に入り重要な法理となったが、日本では戦後の[[民法 (日本)|民法]]改正(昭和22年法律第222号による追加)で初めて民法1条3項として明記された<ref name="saibantosyakai">『裁判と社会―司法の「常識」再考』ダニエル・H・フット 溜箭将之訳 NTT出版 2006年10月 ISBN:9784757140950』</ref><ref>[[水本浩]]著『民法(全)体系的基礎知識〔新版〕』9頁、[[有斐閣]]、2000年</ref>。
 
=== 権利濫用の要件 ===
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=== 権利濫用の効果 ===
「権利の濫用」とされる場合には、権利行使の法的効果が否定され、他人に損害を与えた場合には不法行為として損害賠償や原状回復義務などが認められることになる。なお、[[親権]]については、親権者がこれを濫用した場合に、家庭裁判所は子の親族または検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができると明文で規定されている([[b:民法第834条|民法834条]])。
 
=== その他 ===
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== 商法 ==
*[[取締役]]等の権限濫用行為が[[善管注意義務]]違反などで[[損害賠償]]や[[株主代表訴訟]]の対象になる。また[[株主|株主権]]の濫用的な行使の禁止につき、[[利益供与の禁止]]の項目を参照。
 
== 民事訴訟法 ==
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== 刑事訴訟法 ==
[[捜査機関]]の権限濫用につき、[[おとり捜査]]、[[別件逮捕]]の項目を参照。また、当事者の濫用的な裁判の引き延ばしにつき、[[迅速な裁判]]、[[一事不再理]]の項目を参照。
 
== 脚注 ==
<references/>{{脚注ヘルプ}}
 
== 関連項目 ==
*[[権利]]
*[[民法]]
*[[公務員職権濫用罪]]
*[[薬物乱用]]
 
== 脚注 ==
<references/>{{脚注ヘルプ}}
 
{{DEFAULTSORT:らんよう}}