「HeLa細胞」の版間の差分

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HeLa細胞は、ヘンリエッタ・ラックスの子宮頸部の上皮細胞に感染し、がんの原因になった[[ヒトパピローマウイルス]]18型 (HPV18) の遺伝子の一部(L1、E6、E7を含む領域)が、細胞の染色体に組み込まれたことが、癌化の形質や不死化に関与していると考えられている。マウス由来の細胞などに、HPVのE6、E7遺伝子を[[遺伝子導入]]すると、細胞は不死化することが知られている。
 
HPV18の持つE6およびE7と呼ばれるウイルス初期遺伝子(感染後早い段階で発現する遺伝子群)には、それぞれ宿主細胞の細胞増殖を抑制的に制御する[[p53遺伝子|p53タンパク質]]や[[Rb遺伝子|Rbタンパク質]]と結合して阻害する働きがある。E6タンパク質はp53と結合して[[ユビキチン]]化を促進する活性があり、これによって細胞内のp53は分解される。E7タンパク質はRbと結合する活性を持っており、[[転写因子]]E2FとRbとの結合を阻害することによって、E2Fが活性化され、細胞周期の停止した状態を解除する。これらの働きによって[[細胞周期チェックポイント]]の機構や[[アポトーシス]]が回避された結果、HeLa細胞は無限増殖性を持ったがん細胞としての性質を持っていると考えられている。
 
一般に、(L細胞の起源となった例のように)マウスなどのげっ歯類由来の細胞は、比較的容易に不死化し、通常の培養過程で自発的 (spontaneous) に不死化することもあるが、これに対してヒト細胞は不死化しにくく、HPV E6E7だけでは不死化が起こらないケースも多い。HeLa細胞では、この機構に加えて、他のがん細胞でもしばしば見られるように、[[テロメア|テロメラーゼ]]が活性化されており、[[老化]]とその結果として起こる[[アポトーシス|細胞死]]に関係があるとされる[[テロメア]]の漸次的短縮を妨げている。これによって、HeLa細胞は[[ヘイフリック限界]]を回避している。
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[[Category:細胞生物学]]
[[Category:生物学の研究技術培養]]
 
[[ca:HeLa]]