「ナッシュ均衡」の版間の差分

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==混合戦略ゲームにおけるナッシュ均衡==
[[混合戦略ゲーム]]とは、参加者が行動を確率的に選ぶような戦略をとることでナッシュ均衡に到達する非協力ゲームのことである。このようなゲームでは純粋戦略ナッシュ均衡が必ずしも存在せず、ナッシュ均衡は各参加者の行動確率の組として表される。有限の(=プレーヤーの数と各プレーヤーの戦略の数が有限の)混合戦略ゲームでは少なくとも 1 つのナッシュ均衡が存在することは'''ナッシュの定理'''で証明されている(ナッシュは、この証明を[[角谷静夫|角谷]]の[[不動点]]定理を応用することによって得た)。
 
 
以下では具体例を用いて混合戦略ナッシュ均衡を求めてみる。2人のプレイヤーP<sub>a</sub>とP<sub>b</sub>はそれぞれ2つの戦略から1つを選択するが、相手がどの戦略を選択するかはわからないため、各プレイヤーが確率的に相手の行動を予測する。すなわちP<sub>a</sub>は相手(P<sub>b</sub>)が確率qでB<sub>1</sub>を選択し、P<sub>b</sub>は相手(P<sub>a</sub>)が確率pでA<sub>1</sub>を選択すると予想しているとする。
 
 
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この表のゲームにおいて P<sub>a</sub> の得る利得の[[期待値]]は:
 
A<sub>1</sub>を選択:1×q + 0×(1-q)
 
A<sub>2</sub>を選択:2×:0×q + 2×(1-q)
 
 
一方、 P<sub>b</sub> の得る利得の[[期待値]]は:
 
B<sub>1</sub>を選択:2×p + 0×(1-p)
 
B<sub>2</sub>を選択:1×:0×p + 1×(1-p)
 
 
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なお、p=1/3, q=2/3のときはそれぞれ期待利得が相手の行動に関して無差別なので、平面上に各軸を行動確率(pとq)として各プレイヤーの最適反応をグラフで表わすことができる(これを'''均衡経路'''という)。混合戦略ナッシュ均衡とはこの図における均衡経路の交点であり、従って混合戦略ナッシュ均衡においてP<sub>a</sub>は(1/3, 2/3)を選択し、P<sub>b</sub>は(2/3, 1/3)を選択する。
 
ここで分析したゲームは一般的に[[両性の争い]]('''Battle of the Sexes''')と呼ばれているものである。
 
==関連項目==