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}}</ref>(ふっせき、zeolite)とは、天然に産する[[鉱物]]のグループ名である。
 
[[アルミノケイ酸塩]]のなかで[[結晶構造]]中に比較的大きな空隙を持つものの総称でもあり、[[分子ふるい]]、[[イオン交換]]材料、[[触媒]]、[[吸着]]材料として利用されるため、現在ではさまざまな性質を持つ沸石が人工的に合成されており、工業的にも重要な物質となっている。また、最近では、[[福島原発]]の[[放射能]][[汚染水]]処理に使用されている。
 
工業的に利用される場合は、しばしば英名のまま'''ゼオライト'''と呼ばれる。<!--一般的にはM<sup>n+</sup><sub>x/n</sub>(Al<sub>x</sub>Si<sub>y</sub>O<sub>2x+2y</sub>)<sup>x-</sup>・zH<sub>2</sub>O という形で表される。-->成分に含まれている[[水]]とアルミノケイ酸骨格との結びつきが弱いため、加熱すると容易に水を分離して[[沸騰]]しているように見え、このことから[[ギリシャ語]]の''zeo''(沸騰する)と''lithos''(石)を合わせて''zeolite''と名付けられた。
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* [[湯河原沸石]](yugawaralite) - Ca[Al<sub>2</sub>Si<sub>6</sub>O<sub>16</sub>]・4H<sub>2</sub>O、単斜・三斜
 
== 工業利用機能 ==
=== イオン交換材料 ===
ゼオライトは[[二酸化ケイ素]]からなる骨格を基本とし、一部の[[ケイ素]]が[[アルミニウム]]に置き換わることによって結晶格子全体が負に[[帯電]]している。そのため微細孔内に[[ナトリウム]]などの[[カチオン]]を含み、[[電荷]]のバランスを取っている。[[粉末]]状にしたゼオライトを別の種類のカチオンを含んだ[[水溶液]]中にいれると、細孔内と水溶液中で[[イオン交換]]・吸着が起こる。この交換反応は可逆的であり、時間がたつと飽和して平衡状態となる。カリウムや[[セシウム]]もカチオンなので、ゼオライトによってイオン交換・吸着される。
ゼオライトの陽イオン交換優先順位は下記の通り。[[セシウム]]やストロンチウムなど有害物質の交換順位が高い。Cs([[セシウム]])>Rb>K>NH4>Ba>Sr(ストロンチウム)>Na>Ca>Fe>AL>Mg>Li
 
=== 吸着作用 ===
この性質のためゼオライトは水質改良剤として用いられる。例えば、水中の[[カルシウム|カルシウムイオン]]や[[マグネシウム|マグネシウムイオン]]をゼオライト中のナトリウムイオンと置きかえることで水の[[硬度 (水)|硬度]]を下げることができるので、衣類用の洗剤などに含まれている(「水軟化剤」等と記載されている)。また微細孔内に[[植物]]の生育に必要なカチオンを保持するため、[[陽イオン交換容量]]を増す土壌改良剤としても用いられる。
ゼオライトは、液体の中において、微細孔内の水分子を放出し、かわりに毒素・アンモニア等を吸着することができる。そのため、有機溶媒の脱水や湿度調節に用いられる。
 
 
== 工業利用 ==
=== イオン交換材料 ===
この性質のためゼオライトは上述のイオン交換能をもつため水質改良剤として用いられる。例えば、水中の[[カルシウム|カルシウムイオン]]や[[マグネシウム|マグネシウムイオン]]をゼオライト中のナトリウムイオンと置きかえることで水の[[硬度 (水)|硬度]]を下げることができるので、衣類用の洗剤などに含まれている(「水軟化剤」等と記載されている)。また微細孔内に[[植物]]の生育に必要なカチオンを保持するため、[[陽イオン交換容量]]を増す土壌改良剤としても用いられる。
 
=== 触媒 ===
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=== 吸着材料 ===
ゼオライトは微細孔内に水分子を吸着し、また放出することができるため、[[有機溶媒]]の[[脱水]]や[[湿度]]調節に用いられる。また水分子のほかに[[ホルムアルデヒド]]などの気体分子を吸着するとされるため、[[消臭]]や、[[シックハウス症候群]]を防止する目的にも期待されている。
 
== 生体応用 ==
ゼオライトは、[[米国]][[FDA]](食品医薬品局)において安全との認知を受け、GRAS(Generally Recognized As Safe)リストに登録されている。また、日本国内においても、[[食品添加物]]として指定されている。
 
[[米国]]や[[ヨーロッパ]]では、広く[[サプリメント]]として普及しており、様々なゼオライト粉末[[サプリメント]]が開発されている。いずれも、[[デトックス]]のためのサプリメントとして普及している。また、[[家畜]]の[[飼料]]に混ぜると生育がよくなることから、海外のみならず国内においてもゼオライト飼料が普及している。
 
日本国内では[[食品衛生法]]上、ゼオライトを粉状で食品として販売することは認められておらず、また、[[薬事法]]上の薬ではない。
 
 
=== 安全性 ===
[[洗剤]]の成分としてゼオライトが採用された際に多くの安全性試験が行われ、安全性が確認されている。
 
試験項目
1.急性経口投与毒性試験
2.皮膚暴露毒性検査
3.吸入毒性試験
4.目への投与試験
5.皮膚への慢性ゼオライト暴露試験
6.遺伝子に対する影響
7.長期経口投与試験
 
=== 放射性物質の対外除去への応用 ===
[[ヨーロッパ]]では、[[チェルノブイリ]]後に、ゼオライトを使った[[放射性物質]]の対外除去実験([[動物実験]])が数多く行われ(注)、いずれも肯定的な結果を残している。
 
注:[[スイス]][[ベルン大学]] 1988年 他