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空気中で燃焼できる濃度は物質によって異なっており、[[燃焼範囲]]と呼ばれている。液温が十分に低い場合には蒸気が充分な濃度に達しないため、点火源があっても燃焼が始まることはない。温度が上がり液面上での蒸気濃度が燃焼範囲の下限に達して始めて燃焼が始まる。この温度が引火点である。
 
== 引火点の測定 ==
引火点の測定法を大別すると密閉式と開放式がある。密閉式の場合、試料に蓋をして、蓋を通して点火源を出し入れする構造になっている。蒸気の温度が液温と平衡しているか否かによって2通りの方式がある。開放式の場合には蓋がなく蒸気が大気中へ拡散していく。そのため密閉式よりも着火しにくく、蒸気圧が燃焼範囲の下限となる温度よりも高い温度が測定される。また液面からの高さによって蒸気濃度が異なり、試験炎を近づける高さが液面から離れるほど着火しにくく、その結果として測定される引火点は高くなり燃焼点に近づいていく。
液体[[燃料]]の引火点を測るのには、ペンスキーマルテンス密閉式自動引火点試験器という装置がよく使われる。この装置は、[[液体燃料]]を観察するための小さな器からなる。この器には、均等に熱が行き届くように常に撹拌されながら徐々に加熱されていき、一定の間隔で炎が器に向けられる。したがって、引火点に到達した時に、器の中身に火がつく仕組みになっている。
 
;タグ密閉法
:非平衡密閉式の試験法で、[[ガソリン]]や[[灯油]]などの比較的引火点の低い(93{{℃}}以下)石油製品に用いられる。粘性が高かったり、不均質な試料には使えない。日本ではJIS K 2265-1:2007で規定されているが、対応する国際規格はない。
;迅速平衡密閉法
:セタ密閉式ともいう。[[石油]]や[[溶剤]]など幅広く用いられる。国際規格としてISO 3679:2004があり、日本ではJIS K 2265-2:2007で規定されている。
;ペンスキーマルテンス密閉法
:平衡密閉式の試験法で、主に[[原油]]や[[重油]]などの[[燃料油]]に用いられる。均等に熱が行き届くよう、試料は常に撹拌されながら徐々に加熱されていき、一定の間隔で炎が器に向けられる。国際規格としてISO 2719:2002があり、日本ではJIS K 2265-3:2007で規定されている。
;クリーブランド開放法
:開放式の試験法で、おもに[[潤滑油]]などの引火点の高い(79{{℃}}超)石油製品に用いられる。国際規格としてISO 2592:2000があり、日本ではJIS K 2265-4:2007で規定されている。
 
==引火点の利用例==