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対して、[[香港]]・[[マカオ]]・[[シンガポール]]など、1980年代以降に競馬の近代化・国際化が進められた地域では、騎手は第一義的には現地の競馬統括団体に所属する形を取り、その枠の中で調教師と騎手が所属や騎乗にまつわる契約を結ぶという、日本に近い形態が現在でも多く見られる。その中には、自前の騎手や競馬関係者の養成所を持ってはいるものの、実際には他の地域からの移籍者や限定的なライセンスを得て活動する他地域所属の騎手に少なからず依存している競馬場も珍しくない。
 
他方で[[オーストラリア]]の場合には、競馬の厩舎制度はほぼ全面的な外厩制となっており、競馬関係のライセンス取得が日本や欧米よりも比較すればやや容易になっており、騎手育成についても、最初の養成機関の入学試験から卒業までの時点でふるいを掛け続けて徹底的に絞り込む狭き門である日本とは大きく様相が異なっている。このこともあって、大規模な厩舎には自前でトレーニングセンターの様な施設を構え100頭以上を管理するものが見られる一方で、競走馬の取扱者としては小規模な[[個人事業主|個人経営]]の[[牧場]]の経営者が競馬調教師としてのライセンスを取得し、競走馬も自己生産や自己所有のものを家族で数頭管理するだけで、これを地元の競馬場や調教場などのコースに持ち込んで調教して仕上げ、主に地元の小さな「草レース」などへ出走させるスタイルの“家族経営型小規模厩舎”も数多く存在している。この場合、牧場主の子や兄弟が騎手を務めるなど、所属や契約以前の家族の枠で終始する事も珍しくない。また、この様な者が騎乗ノウハウを取得してライセンスを取得するための民営の騎手養成所が多数存在している。[[ニュージーランド]]もほぼ同様である。
 
また、オーストラリアやニュージーランドでの騎手ライセンス取得は国籍などにまつわる制限も緩いため、競馬学校や地方競馬教養センターの騎手養成過程に入れなかったり、中途退学を余儀なくされた日本人にとっては騎手になために残された数少ないルートの1つとなっている。その為、騎手になるチャンスを求めて渡航し、現地のライセンスを取得後に調教師や厩舎と契約して所属したり、牧場の従業員として働きつつ騎手として参加するケースも若干数だが見られる。また、過去には廃止された地方競馬場に所属していた騎手が再起を目指して渡航し現地で養成所に入り直したケースも見られる。
 
日本国内でJRAかNARが発行した騎手免許を持つ騎手が海外で騎乗する場合には、外国人騎手の日本における短期騎手免許と同様に、基本的には現地の競馬統括機関に所定のライセンスを発行してもらう必要がある。ライセンスの交付を受けるためには、現地の調教師・厩舎に身元保証を依頼してライセンスを申請する、馬主やエージェントと騎乗の契約書を交わして統括機関に申請するなど幾つかの方法があるが、これは渡航地の競馬制度や騎乗予定期間・騎乗予定状況などによって大きく変わってくる。