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'''ウージー'''または'''ウジ'''(ヘブライ語:עוז 英語:'''UZI'''または'''Uzi''')とは、[[イスラエル]]の[[イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ|IMI]]社(現 IWI社)製の[[短機関銃]]。戦後第一世代を代表する短機関銃である<ref name="床井SMG図鑑26">[[#床井|床井雅美 サブ・マシンガン図鑑 p26]]</ref>。
イスラエル初の国産兵器として陸軍技術少佐<ref name="小林用語事典">[[#小林|小林宏明 銃器用語事典 pp33,34]]</ref>の[[ウジエル・ガル]](''Uziel Gal'':ウジール
== 概要 ==
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[[第二次世界大戦]]後、[[パレスチナ]]に建国したイスラエルは、敵対する[[アラブ]]諸国から[[キブツ]]を防衛するため、簡単な訓練で使用できる銃火器を必要とした<ref name="床井SMG図鑑26" />。しかし、当時のイスラエルは工業基盤が貧弱で、高い技術力を必要とするような火器の製造はできなかった。そのため、比較的構造の単純な短機関銃を開発することにし、イスラエル陸軍兵器研究所のウジエル・ガルとそのスタッフ達<ref name="床井SMG図鑑26" />が設計開発を担当した。ガルが設計の際に参考にしたのは、[[チェコスロバキア]]で試作された短機関銃ZK476<ref name="床井SMG図鑑32">[[#床井|床井雅美 サブ・マシンガン図鑑 p32]]</ref>、もしくは[[:en:Sa vz. 23|Vz23]]シリーズであるとされる<ref name="Hogg">Hogg, Ian V. (1979). Guns and How They Work. New York: Everest House. p. 157. ISBN 0-89696-023-4.</ref>
貧弱な工業基盤で容易に生産できるように部品点数を極力少なくし、プレス加工を多用した単純な設計となっている。
こうして完成したUZIは[[イスラエル国防軍]]に採用されたのみならず、その優れた性能と生産性の高さから旧[[西側諸国]]で高く評価され、西側で多用される短機関銃の一つとなった。例えば旧[[西ドイツ]]の[[ドイツ連邦軍]]に採用され、コッキングハンドルの大型化・ダストカバーの追加を行った改良型の'''MP2'''が[[ライセンス生産]]された<ref group="注">ただし西ドイツ軍のUZI採用の要因には、ユダヤ人国家であるイスラエルに対して、ユダヤ人を排他した[[ナチス・ドイツ]]との関係を払拭したと示す、政治的な意図が含まれている。</ref>。アメリカ法執行機関でも採用され、
しかし、オープンボルト方式由来の命中精度の悪さと、フルオート射撃中以外は煩わしいその重量も相まって、現在は命中精度の高い同じ9mm口径の[[H&K MP5]]に取って代わられてしまった<ref group="注">クロアチアなどの一部を除き、現在はヨーロッパの多くの国軍で制式から外れており、本国イスラエルでもフルサイズのモデルは運用されていない。</ref>。ただし、UZI自体は2005現在でも通用する優れた性能、信頼性を誇り<ref>大波篤司『図解 ハンドウェポン』新紀元社 ISBN 9784775304327 p162</ref>、MP5は製造単価が高く中小国では運用しづらいため、現在でも多くの国で運用は続いている。
== 開発 ==
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発射機構にオープンボルト方式を採用した単純な構造となっており、砂や泥に強い<ref name="坂本明">坂本明『世界の軍用銃』文林堂 ISBN 4893191403 p157</ref>という高い信頼性を確保した上で、当時工業基盤が貧弱だったイスラエルでも大量生産できる程の生産性を実現している。生産性を向上させるため、全体的に部品数を減らし、レシーバーやグリップのフレームなどの主用部品の多くをプレス加工して製造している<ref name="床井SMG図鑑26" />。
伝統的な円筒型レシーバーではなく、スチール版を用いた四角形の箱型レシーバーを採用している<ref name="床井SMG図鑑27">[[#tokoi|床井雅美 サブ・マシンガン図鑑 p27]]</ref>。ボルトもレシーバーと同じく円筒型ではなく、四角形の箱型で、ボルト重量を前方に置くべく、銃身を包むような設計をしている<ref name="床井事典" />(左画像参照)。このボルト内部に銃身後端が深く入り込む構造のボルトは「ラップアラウンド(包み込む)・ボルト」と称され<ref name="小林用語事典" /><ref name="世界の銃3" />、銃の全長を短くし、フルオート射撃の制御を容易にすることができる<ref name="床井SMG図鑑28" />
安全装置を兼ねたスライド式のセレクタースイッチがグリップ左側面にあり<ref name="床井SMG図鑑28" />、スイッチを前方でクリックするとフルオート、中間でセミオート、後方で安全装置がそれぞれ選択ができる<ref name="床井SMG図鑑28" />。また、グリップを握ることで解除される安全装置(グリップセイフティ)も存在する<ref name="床井事典" /><ref name="床井SMG図鑑28" />。グリップセイフティを押さない限り、ボルトは後退しない<ref name="GUN" />。このほかにも、ボルトをコックする際に手が滑り、暴発することを防ぐため、コッキングセイティも組み込まれている<ref name="床井SMG図鑑28" /><ref name="床井事典" />などで、安全性を確保している。なお、コッキングセイフティについては、[[ドイツ連邦軍|西ドイツ軍]]の要請で追加された仕様である<ref name="床井SMG図鑑33">[[#床井|床井雅美 サブ・マシンガン図鑑 p33]]</ref>。
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== 主要参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=小林宏明、野木恵一、白石光、他|year=2006|title=図説 世界の銃 パーフェクトバイブル3|publisher=学習研究社|isbn=4056044287|ref=世界の銃3}}
* {{Cite book|和書|author=床井雅美|year=2000|title=最新 サブ・マシンガン図鑑|publisher=徳間書店|isbn=4198913420|ref=床井}}
* {{Cite book|和書|author=床井雅美|year=2002|title=現代軍用ピストル図鑑|publisher=徳間書店|isbn=4198916608|ref=床井4}}
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