「アダルトゲーム」の版間の差分
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== 技術 ==
アダルトゲームの、技術面に関する部分を解説する。
=== 開発環境 ===
1980年代までの[[パーソナルコンピュータ]]の大半は、ソフトウェアの開発環境もトータルにパッケージ化された製品として市場に出ていた。このこともあり、コンシューマ機向けゲームソフトの様な[[ワークステーション]]などの専用機器の導入をせずとも製品の開発が可能で、これはアダルトゲームのみに限定されたことではないが、当時の[[パソコンゲーム]]ソフトのほとんどがこれらゲームを動作させる[[プラットフォーム (コンピューティング)|動作環境]]と同じ機器を利用して開発を行っていた。また、コンシューマ機と異なりソフトの流通をハードメーカーが一括して掌握・管理するシステムは構築されておらず、ほとんどのケースでハードウェアメーカーに対してのライセンスや許諾承認の手間・コストが存在しないか小さかった。
その為、パソコンゲームを開発・発売するにあたっては[[コンシューマーゲーム|家庭用ゲーム機]]よりもハードルが低く、それこそ現在の小規模な[[同人ゲーム]]と同程度の出資・開発規模でも商業規模の作品の制作が可能であった。あとはメンバーの熱意とセンスと開発に投じることの出来る時間で製品の完成度は左右され、同人での活動を目指すものは同人即売会などを目指し、開発チームが小規模でも商業ブランドとして立ち上げたい者たちは、当時の家電量販店や[[日本ソフトバンク]]などのパソコンソフト卸で商品を流通させてゆく事を目指すことになった。このため、日本国内においてのアダルトゲームの開発と発展の歴史は、パソコンとパソコンゲームのそれ自体の発展の歴史、パソコンゲームに関する同人イベント、パソコン用ゲームソフト流通の歴史などとも密接に絡み重なり合う部分が存在する。
開発環境は、家庭向けのパーソナルコンピュータの性能が向上していく過程で、それに牽引される形で発達を見せており、この事情はやはり黎明期からあまり変わっていない。しかし共通化された[[ゲームエンジン]]の開発と導入などにより、「アダルトゲームを含むコンピュータゲームの開発環境」は総じて向上しており、また商業タイトルでも使用されているゲームエンジンが同人ゲームに導入されることも見られ、これは同人ゲーム開発サークルとの境界の曖昧化を発生させていると見ることも可能である。
この中では、技術力と資金のあるメーカーが独自に新しい映像技術やゲームシステムを開発・導入したりする一方で、[[おたく]]文化・[[インターネット]]の発達や同人とその関連産業の拡大を背景に数多のクリエイター(原画・シナリオライター)が輩出されている関係で、技術力に劣る中小のメーカーでも描画力に優れ人気のあるクリエイターを確保できれば、あるいは所属者の原画・シナリオの作風が洗練されたものに変化し時流にマッチし人気が沸騰すれば、その可憐な美少女キャラクターを武器に大手・古参メーカーにも十分伍しての販売をし得るわけで、その様な形で住み分けや販売力の強化を行っている様子も見られる。
=== シナリオ ===
アダルトゲームでは伝統的に、プログラマーもしくはシナリオライターが、ディレクター
ライターは黎明期から現在に至るまで形態に大きな変化がない。基本的にアダルトゲームのメインライターは一人である。ただし大作化傾向が進んだ現在、ボリュームのある作品などでは一般的な文庫本を超える程の文章量があるものも少なくなく、サブライターとして何人かが協力したり、数人のシナリオライターによる全面的にシステマティックな共同作業制を導入しているブランドも見られる。外注を雇う
=== グラフィック ===
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これにより、コンピュータゲームでも[[対戦格闘ゲーム]]や[[ロールプレイングゲーム]]などの他ジャンルでは、立体感のある[[3次元コンピュータグラフィックス|3Dグラフィックス]]を用いたり、人物描写も比較的写実的になるのに対し、アダルトゲームは、現在でも[[2次元コンピュータグラフィックス|2Dコンピュータグラフィックス]]で人物を表現するのが主流となっている。しかし例えば、アリスソフトやソフトウェアぱせりではRPGのダンジョン部分に使用され、エルフのドラゴンナイト4ではユニットを、ニトロプラスのファントム・オブ・インフェルノでは銃を3Dグラフィックスで形成するなど、作品ごとで部分的に使用されることも多く行われる。アダルトゲームの人物の絵やドット絵は[[瞳]]が[[顔]]の大半を占めるほど大きい反面、[[鼻]]や[[口]]がしばしば簡略化ないし省略される、一般的にはマンガ絵・[[アニメ絵]]と呼ばれる独特なデザインで表現されている。そのデザインはしばしばエロさといった性的興奮より、ユーザー・愛好者以外からは幼い・かわいらしいといったイメージを持たれる物で、それらへの愛らしさは『[[萌え]]』という単語で表現され、萌えを喚起する絵ということで『[[萌え絵]]』とも呼ばれている。
萌え絵が
=== 音声と声優 ===
グラフィックが女優による映像ではなく、絵による画像が主流のアダルトゲームにおいては、キャラクターに音声を入れる場合がある。その音声は[[声優]]が担当することがほとんどである。
アダルトゲームへの音声の導入は、後述する音楽面と同様に[[CD-ROM]]・大容量[[ハードディスク]]・[[パルス符号変調|PCM]]・データ圧縮技術というハードウェア・ソフトウェア両面の技術進歩と普及があって初めて可能になった要素で、時期的には家庭用ゲーム機における導入とそれほど大差は無く、1990年代前半くらいから徐々に普及し始め、2000年代前半には普遍的なものになった。
コンピュータゲーム業界全体では「第三次声優ブーム」のあおりを受けて、高騰
|url=http://www.chuable.net/srg/srg_top.html|title=スイートロビンガール|publisher=チュアブルソフト|language=日本語|accessdate=2010-07-28}}</ref><ref>各ヒロインのワード数は約2500なので単純に計算すると150,000円前後になる。</ref>。
導入初期は声優業界側の各種取り決めは試行錯誤だった。またアダルトの規制基準が媒体によってまちまちで、媒体ごとに声優を交代させる必要があり、1990年代中期の作品では1キャラあたり4、5人も声優がいるものも存在した。この流れも1999年の法改正(詳細別節)と、ハード間競争がソニーの[[プレイステーション]]・[[プレイステーション2]]が優勢になったことを受け、1キャラあたりアダルト表現まで請け負う声優と、非アダルトの関連作品を担う声優の2名に大別されるケースが多くなった。
声優がアダルトゲームに声をあてる場合、声優名を非公開とするか、またはアダルト用の別の[[芸名]]を使うことがほとんどである(稀に普段使用している声優名のままでクレジットされていることもあるが)。別の芸名を使う場合、一貫して特定のアダルト用の別の芸名を使う者、作品ごとに複数のアダルト用の別の芸名を使い分ける者など、声優によって様々である。そういう風にしてひそかにアダルトゲームに声をあてている声優も多く存在する。他方でアダルトゲームやアダルトアニメに対しては声優を出演させず、ノンアダルト化されたメディアミックス作品への出演ならばOKという姿勢を取る声優事務所も存在する。
2010年現在アダルトゲームでは、[[アトリエピーチ]]や[[イエローテイル]](この2社を指してエロゲー界の「桃色黄色」という通称がある)といったプロダクション会社が、制作会社に替わって大まかな選考・スケジュール調整を各声優事務所や声優と行う形態が主流で、
これらの都合から、特にテレビアニメで成功している声優はアダルトゲームの収録に呼びにくい、あるいは呼べなくなるという事情もあり、結果として、アダルトゲーム業界で仕事を受けられる声優にオファーが集中する傾向があり、人気となれば年間に50本以上、中堅でも30本前後の作品をこなす。その結果、アダルトゲームとその関連作品の収録だけで年間スケジュールの大半が埋まってしまう声優も少なくない。
ただし、アダルトゲームの声優も非アダルト分野における[[声優#アイドル声優|アイドル声優]]と同様に新たな人材が次々と登場してくる新陳代謝の激しい業界であり、演技力が要求されることも変わらないため、ヒット作と人気キャラクターを得て一時的には全盛と言える人気を得ながらも、長期スパンで見た場合、短期間の泡沫的な人気で終わってしまう者も少なくない。
=== 歌と音楽(BGM) ===
アダルトゲームに限らず、販売に用いる記録媒体の主流が
状況が変わるきっかけの1つとなったのは1980年代末以降に一部機種に搭載された[[CD-ROM]]ドライブの導入で、外注で制作したBGMをそのままCDトラックに収録し[[CD-DA]]で再生してゲーム中で使用することが可能になったことによる。その後もハードウェア
現在のアダルトゲーム業界では数人規模の小さな開発チームが大半を占めていることもあり、音楽は専門スタッフや音楽制作の機器・設備を組織内に置かないのが一般的で、全面的に外注を利用するスタイルが広く定着している。また、効果音も含めて全面的に外注に委託したり、外部の専門業者から必要に応じて効果音の音声データを購入してくる事はごく普通に見られる。つまり、関与する企業やプロダクションの規模の違いこそあるものの、現在のサウンド面の制作システムは従来のテレビアニメのそれを概ね踏襲したものになっている。
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