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[[Image:Holbein-death.png|thumb|right|[[ミヒャエル・ヴォルゲムート]] 『死の舞踏』1493年、版画]]
 
'''メメント・モリ'''({{lang|la|Memento mori}})は、[[ラテン語]]で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句である。日本語では'''[[死]]を記憶せよ'''などと訳される。[[芸術]]作品のモチーフして広く使われ、「自分普通死すべきものである」ということを人々に思い起こさせるために使われた
[[芸術]]作品のモチーフとして広く使われ、「自分が死すべきものである」ということを人々に思い起こさせるために使われた。
 
==歴史==
===古代ローマ===
[[古代ローマ]]では、これは[[将軍]]が凱旋のパレードを行なった際に使われた、と伝えられる{{要出典|date=2011年7月}}。将軍の後ろに使用人が立ち、この使用人は、将軍は今日絶頂にあるが、明日はそうであるかわからない、ということを思い起こさせる役目をになっていた。そこで、使用人は「メメント・モリ」と言うことによって、それを思い起こさせていた{{要出典|date=2011年7月}}。
 
ただし、古代ではあまり広くは使われなかった{{要出典|date=2011年7月}}。当時「メメント・モリ」の趣旨は''[[carpe diem]]''([[その日を摘め|今を楽しめ]])ということで、「食べ、飲め、そして陽気になろう。我々は明日死ぬから」というアドバイスであった{{要出典|date=2011年7月}}。これの起源は[[聖書]]にあり、[[イザヤ書]]22:13には「食べ、飲もう。我々は明日死ぬのだから」とある。[[ホラティウス]]の詩には''Nunc est bibendum, nunc pede libero pulsanda tellus.''(今は飲むときだ、今は気ままに踊るときだ)とある{{要出典|date=2011年7月}}。
 
この言葉はその後の[[キリスト教]]世界で違った意味を持つようになった。[[天国]]、[[地獄 (キリスト教)|地獄]]、[[霊魂|魂]]の救済が重要視されることにより、死が意識の前面に出てきたためである{{要出典|date=2011年7月}}。キリスト教的な芸術作品において、「メメント・モリ」はほとんどこの文脈で使用されることになる。キリスト教の文脈では、「メメント・モリ」は''Nunc est bibendum''とは反対の、かなり徳化された意味合いで使われるようになった。キリスト教徒にとっては、死への思いは現世での楽しみ・贅沢・手柄が空虚でむなしいものであることを強調するものであり、来世に思いをはせる誘引となった
===キリスト教における受容===
この言葉はその後の[[キリスト教]]世界で違った意味を持つようになった。[[天国]]、[[地獄 (キリスト教)|地獄]]、[[霊魂|魂]]の救済が重要視されることにより、死が意識の前面に出てきたためである{{要出典|date=2011年7月}}。キリスト教的な芸術作品において、「メメント・モリ」はほとんどこの文脈で使用されることになる。
 
キリスト教の文脈では、「メメント・モリ」は''Nunc est bibendum''とは反対の、かなり徳化された意味合いで使われるようになった。キリスト教徒にとっては、死への思いは現世での楽しみ・贅沢・手柄が空虚でむなしいものであることを強調するものであり、来世に思いをはせる誘引となった。
 
==美術・芸術・建築・工芸==
===墓石===
腐敗した死体を表現した[[墓]]は[[15世紀]]にヨーロッパの富裕階級の間で流行した{{要出典|date=2011年7月}}。
 
===死の舞踏===
有名な『[[死の舞踏 (美術)|死の舞踏]]』は、「メメント・モリ」の最も知られているテーマで、[[死神]]が貧乏人と金持ちを等しく連れ去っている。これは[[ヨーロッパ]]の多くの教会に飾り付けられた{{要出典|date=2011年7月}}。その後の植民地時代の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でも、[[ピューリタン]]の墓には翼を持つ頭蓋骨、[[骸骨]]、蝋燭を消す[[天使]]が描かれている{{要出典|date=2011年7月}}。
 
===静物画===
芸術では、「[[静物画]]」は以前「[[ヴァニタス]]」(''vanitas''、ラテン語で「空虚」)と呼ばれていた。静物画を描く際には、なにかしら死を連想させるシンボルを描くべきだと考えられていたからである{{要出典|date=2011年7月}}。明らかに死を意味する骸骨(頭蓋骨)や、より繊細な表現としては花びらが落ちつつある花などがよくシンボルとして使用されていた。美術における骸骨に関しては、[[:en:Skull (symbolism)]]に詳述されている。
 
===写真===
[[写真]]が発明されると、親族の死体の写真を写真で記録することが流行した{{要出典|date=2011年7月}}。
 
==時計==
また[[時計]]は、現世での時間がどんどん少なくなっていくことを示すもの、と考えられていた。公共の時計には''ultima forsan''(ことによると、最後(の時間))や''vulnerant omnes,ultima necat''(みな傷つけられ、最後は殺される)という銘が打たれていた{{要出典|date=2011年7月}}。現代では''tempus fugit''(光陰矢のごとし)の銘が打たれることが多い。[[ドイツ]]の[[アウクスブルク]]にある、有名なからくり時計は、死神が時を打つ、というものである。[[スコットランド]]女王[[メアリー (スコットランド女王)|メアリー]]は、銀の頭蓋骨が彫られ、ホラティウスの詩の一文で飾られた、大きな[[腕時計]]を持っていた{{要出典|date=2011年7月}}。
 
===文学===
「メメント・モリ」は文学上でも重要なテーマであった。[[イギリス]]の作品では、[[トーマス・ブラウン (作家)|トーマス・ブラウン]]の『''Hydriotaphia、Urn Burial''』とジェレミー・テイラーの『聖なる生、及び聖なる死』がある。また、トーマス・グレーの『''Elegy in a Country Churchyard''』やエドワード・ヤングの『''Night Thoughts''』もこのテーマを扱っている。
 
==具体例==
===;墓石===
: 腐敗した死体を表現した[[墓]]は[[15世紀]]にヨーロッパの富裕階級の間で流行した{{要出典|date=2011年7月}}。
===;死の舞踏===
有名な: 『[[死の舞踏 (美術)|死の舞踏]]』は、「メメント・モリ」の最も知られているテーマで、[[死神]]が貧乏人と金持ちを等しく連れ去っている。おり、これは[[ヨーロッパ]]の多くの教会に飾り付けられた{{要出典|date=2011年7月}}。その後の植民地時代の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]でも、[[ピューリタン]]の墓には翼を持つ頭蓋骨、[[骸骨]]、蝋燭を消す[[天使]]が描かれている{{要出典|date=2011年7月}}。
===;静物画===
: 芸術では、「[[静物画]]」は以前「[[ヴァニタス]]」(''vanitas''、ラテン語で「空虚」)と呼ばれていた。静物画を描く際には、なにかしら死を連想させるシンボルを描くべきだと考えられていたからである{{要出典|date=2011年7月}}。明らかに死を意味する骸骨(頭蓋骨)や、より繊細な表現としては花びらが落ちつつある花などがよくシンボルとして使用されていた。美術における骸骨に関しては、[[:en:Skull (symbolism)]]に詳述されている。
===;写真===
: [[写真]]が発明されると、親族の死体の写真を写真で記録することが流行した{{要出典|date=2011年7月}}。
==; 時計==
: また[[時計]]は、現世での時間がどんどん少なくなっていくことを示すもの、と考えられていた。公共の時計には''ultima forsan''(ことによると、最後(の時間))や''vulnerant omnes,ultima necat''(みな傷つけられ、最後は殺される)という銘が打たれていた{{要出典|date=2011年7月}}。現代では''tempus fugit''(光陰矢のごとし)の銘が打たれることが多い。[[ドイツ]]の[[アウクスブルク]]にある、有名なからくり時計は、死神が時を打つ、というものである。[[スコットランド]]女王[[メアリー (スコットランド女王)|メアリー]]は、銀の頭蓋骨が彫られ、ホラティウスの詩の一文で飾られた、大きな[[腕時計]]を持っていた{{要出典|date=2011年7月}}。
===; 文学===
「メメント・モリ」は文学上でも重要なテーマであった。: [[イギリス]]の作品では、[[トーマス・ブラウン (作家)|トーマス・ブラウン]]の『''Hydriotaphia、Urn Burial''』とジェレミー・テイラーの『聖なる生、及び聖なる死』がある。また、トーマス・グレーの『''Elegy in a Country Churchyard''』やエドワード・ヤングの『''Night Thoughts''』もこのテーマを扱っている。
<!--関連性不明:
==関連項目==
{{commonscat|Memento mori}}
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*[[その日を摘め]](カルペ・ディエム)
*[[ヴァニタス]]
*[[UVERworld]]-->
 
 
{{DEFAULTSORT:めめんともり}}
[[Category:西洋美術史]]
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[[Category:ラテン語の成句]]
[[Category:古代ローマの名言]]
 
[[bg:Memento mori]]
[[ca:Memento mori]]