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{{出典の明記|date=2008年4月}}
[[Image:Macrophage.jpg|thumb|250px|[[ハツカネズミ|マウス]]のマクロファージ。[[病原体]]の可能性がある2つの粒子を捕食するため、細胞体を突起状に伸長させている。]]
'''マクロファージ'''(Macrophage, MΦ)は[[白血球]]の1つ。[[免疫]]システムの一部をになう[[アメーバ]]状の[[細胞]]で、[[生体]]内に侵入した[[細菌]]、[[ウイルス]]、又は死んだ[[細胞]][[捕食]][[消化]]する。また[[抗原提示]]を行い、[[B細胞]]による[[抗体]]の作成に貢献する。別名'''大食細胞'''、'''貪食細胞'''とも。名称は、ミクロファージ、小食細胞に対する対語([[マクロ]]⇔[[マイクロ|ミクロ]])として命名されたが、これは後に様々な機能を持つ[[リンパ球]]などとして再分類され、名称が[[死語]]化した。免疫機能の中心的役割を担っている。
 
== 起源 ==
マクロファージは血液中の[[白血球]]の5%を占める[[単球]](単核白血球)から分化する。[[造血幹細胞]]から分化した単球は[[骨髄]]で成熟し、[[血流]]に入ると炎症の化学仲介に関わる。単球は約2日間血中に滞在した後、[[血管]]壁を通り抜けて[[組織 (生物学)|組織]]内に入りマクロファージになる。組織に入ると、マクロファージは細胞内に[[リソソーム]]を初めとした[[顆粒]]を増やし、[[消化酵素]]を蓄積する。マクロファージは[[細胞分裂|分裂]]によっても[[増殖]]することができ、[[寿命]]は数ヶ月である。
 
[[進化]]上ではかなり早い段階から存在し、[[脊椎動物]]・[[無脊椎動物]]を問わずほぼ全ての動物に存在している。[[B細胞]]等他の白血球はマクロファージから進化しており、血管や[[心臓]]を構成する細胞とも起源は同じである。
 
== 機能 ==
[[image:Phagocytosis.png|thumb|right|300px|'''マクロファージによる食作用の経過'''<br/>'''a.''' 貪食された異物が[[食胞]](ファゴソーム)に取り込まれる<br/>'''b.''' 食胞は[[リソソーム]]と融合しファゴリソソームを形成、異物は[[酵素]]により破壊される<br/>'''c.''' 残渣は細胞外に排出される(あるいは消化される)<br/><br/>'''1.''' 異物([[病原体]])、'''2.''' [[食胞]]、'''3.''' [[リソソーム]]、'''4.''' 残渣、'''5.''' [[細胞質]]、'''6.''' [[細胞膜]]]]
 
=== 食作用 ===
マクロファージが細菌、[[ウイルス]]、死んだ細胞等の異物を取り込むことを[[エンドサイトーシス#食作用|食作用]]と呼ぶ。これがマクロファージの主要な機能である。この食作用の主な役割は病原体への対処と、細胞死の残骸の処理である。炎症の初期は好中球がになうが、後期になるとマクロファージが集まり死んだ細胞や細菌を食作用により処理する。
 
マクロファージが貪食した異物は小胞(食胞、phagosome)[[:en:Phagosome|Phagosome]])の形で取り込まれる。細胞内で小胞はリソソームと融合し、リソソーム中に存在する様々な[[加水分解酵素]]の作用により分解される。
 
=== 抗原提示 ===
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マクロファージは[[抗原]]を摂取すると、各種の[[サイトカイン]]を放出し、特定のT細胞を活性化させる。マクロファージは、食作用によって取り込み、分解した異物をいくつかの断片にし、もともと細胞内に持っていたクラスII MHC (MHC-II)と結合させ、細胞表面に表出させる。これをマクロファージによる'''[[抗原提示]]'''と呼ぶ。
 
マクロファージによる抗原提示のシグナルは、[[T細胞]]のなかでも[[ヘルパーT細胞]]と呼ばれる[[リンパ球]]に伝達される。ヘルパーT細胞の表面には、CD4というヘルパーT細胞特有の表面[[タンパク質]]と、T細胞受容体(TCR, T-cell receptor)と呼ばれる[[受容体]]タンパク質が存在しており、それぞれがマクロファージのMHC-IIと、マクロファージによって提示された抗原と結合することによって、ヘルパーT細胞が活性化される。T細胞受容体の構造は、そのヘルパーT細胞ごとに異なっており、マクロファージによって提示された抗原断片とぴったり合う受容体を持つヘルパーT細胞だけが活性化される。
 
活性化したヘルパーT細胞は、[[インターロイキン]]や[[リンフォカイン]]等のホルモン様物質(サイトカイン)を生産することでマクロファージを活性化するとともに、自分が認識するものと同じ抗原を認識するB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は抗体産生細胞に分化して増殖し、抗原に対応する抗体を作成し、放出する。抗体は抗原に特異的に結合し抗体-抗原複合体を作る。マクロファージはこの抗体-抗原複合体に引きつけられ、そしてこの複合体を貪食する。抗体の結合した細菌やウイルスはマクロファージにとって非常に能率よく食すことができるものとなる。この際[[T細胞]]はリンフォカインを放出するなどしてマクロファージを活性化したり、B細胞の増殖、分化を助ける。
 
=== 活性化 ===
マクロファージはT細胞の生産するサイトカインを受け取ることにより活性化する。サイトカインとは抗原と接触した[[T細胞]]及び一部の他の白血球が生産する物質のことで、主な標的はマクロファージである。サイトカインは様々なタンパク質より成り、大食細胞起動要素(maf)、大食細胞遊走阻止因子 (mmif)、免疫複合物、c3b、様々な[[ペプチド]][[多糖]]類、免疫補助等が存在する。
 
ある種のサイトカインは単球の成熟を促進し、マクロファージを増殖させ貪食作用を活性化する、またあるものはマクロファージを集め抗原を攻撃させる。これらの働きにより炎症反応が強くなる。