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「現代の医師が、もし幕末にタイムスリップしたらどうなるか?」を描いた、SF要素の強い[[医療漫画]]。西暦[[2000年]]の現代から[[幕末]]の日本に[[タイムスリップ]]した[[脳神経外科学|脳外科]]医・南方仁が、過去の人間の運命を変えていることを自覚しつつも、人々を救う為、現代から持ち込んだ知識と幕末の人々の協力により、近代医療を実現していく。その過程で南方仁は、日本の歴史自体にも、大きな関わりを持つようになっていく。
 
作者の村上が[[遊郭]]について調べたこと<ref>村上の前作(重複期間あり)である『[[龍-RON-]]』では、ヒロインが映画の役作りのために昭和初期の遊廓を潜入取材している。</ref>が、この作品を描くきっかけになっている。遊郭の[[遊女]]は貧しさで身寄りの無い娘が売られて来た者が多く、その娘が仕事柄[[梅毒]]に冒され、さらには有効な治療法も無かったため、次々と命を落としていった。この事実を知った村上は憤りを感じ、せめて漫画の中だけでも彼女たちを救えないかと考えたという<ref>2010年2月21日放送の「[[マンガノゲンバ]]」より。</ref>。
 
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== ストーリー ==
東都大学付属病院の脳外科医・南方仁は、ある夜急患で運ばれた男性の脳から奇形腫を摘出する。その後、仁は頭痛と空耳に悩まされる。集中治療室から脱走した患者を止めようとしたが、階段からバランスを崩し、そのまま気絶してしまう。意識を取り戻した仁が、ふと辺りを見渡すと、侍達が斬り合いをしていた。実は、仁は文久2年(1862年)、幕末の江戸時代にタイムスリップをしていたのだった。
 
そこで仁は、過去の人間の運命や歴史を変えていることを自覚しつつも、人々を救う為、現代から持ち込んだ知識と幕末の人々の協力により、近代医療を実現していく。
 
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=== 主な登場人物 ===
; 南方仁(みなかた じん)
: 本作の主人公。東都大学附属病院[[脳神経外科学|脳外科]]医局長。34歳(2000年当時)。頭蓋骨内に[[奇形腫|奇形腫瘍]]を持っていた'''謎の男性患者'''との接触により[[文久]]2年([[1862年]])の江戸にタイムスリップ。歴史を変えることになると自覚しつつも、医者としての使命感から江戸の人々を近代医療で救う。西洋医学所と[[コレラ|虎狼痢]]の対策を行ったり、原始的な方法による[[ペニシリン]]の[[抽出]]・[[精製]]を行ったりと、幕末の医療技術を飛躍的に進歩させたことで、[[蘭方医]]だけでなく[[漢方医]]や外国人医師達、幕閣や[[雄藩]]の武士層からも一目置かれる存在となっている。緒方洪庵死後、医学所と距離を置き仁友堂を開業した。数多くの難病の治療を成功させ続けたが、その一方で彼の存在と功績を妬み、恐れる者もおり、何度も妨害に遭ったり命を狙われている。やがて、歴史を変えてしまうことに躊躇しつつも、親友である坂本龍馬の命を救う為に奔走する。
; 橘咲(たちばな さき)
: 本作のヒロイン。[[旗本]]橘家の娘。兄・恭太郎の命を救った仁に興味を持つ。やがて[[麻疹]]にかかり仁に命を救われたのを機に[[看護師|看護婦]]<ref>仁のタイムスリップ元である西暦2000年当時の呼称。</ref>となり、虎狼痢(コロリ)にかかった仁を救うなど、公私共になくてはならない存在になる。仁が未来から来たことは本人から直接告げられている。旗本との縁談(後妻)が進んでいたが、結納の当日土壇場でこれを破棄し野風の手術に駆けつけたため栄から勘当され、仁友堂に身を寄せる。その後、[[楠本イネ|楠本いね]](楠本伊篤)との出会いから女医を志すようになる。
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: その剣の腕前で、幾度も仁の危機を救い、戦乱の幕末に仁らの用心棒役を勤める。
; 橘栄(たちばな えい)
: 恭太郎と咲の母。恭太郎の命を救った仁を屋敷に住まわせる。咲の結納の破談後、体調を崩し「脚気」の為、生命の危機に瀕する。親不孝をした咲や、その原因を作った仁に怒りつつも、幸せになってほしいと願っている。 
; [[坂本龍馬]]
: 実在の人物。史実通りに、倒幕・海外貿易に仁を巻き込みつつ活躍する。
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; 友永未来(ともなが みき)
: テレビドラマ版における仁の婚約者。見た目は野風と瓜二つ。優秀な小児科医だったが、仁がタイムスリップの2年前に執刀した[[脳腫瘍]]摘出手術で[[遷延性意識障害|植物状態]]になってしまい、この出来事が仁のトラウマとなっている。仁にとっては江戸にタイムスリップしてからも非常に重要な存在であり、歴史を変える時には彼女への影響を常に気にしている。
: 原作でも現代に仁の恋人は存在するが、仁のタイムスリップ前にプロポーズを断っているため、物語にはほとんど関係していない。テレビドラマ内では医学生時代に天然ペニシリンを研究し仁に研究成果を話している。が原作では医学生時代の友人でペニシリン製造の回想で出て来る男性が友永と書かれている
 
=== 市井の人々 ===
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: [[浅草]]の茶屋の看板娘。餡を作っている際、熱い餡が顔にかかり大火傷を負う。一旦は人生そのものに絶望するも、仁に[[植皮]]を施され、再び茶屋で働くようになる。のちに仁考案の[[脚気]]予防の菓子・安道名津([[あんドーナツ]])の製造に協力、自身の勤める茶屋で大々的に売り出す。
: 生真面目な恭太郎に惹かれる。
; [[濱口梧陵|浜口儀兵衛(梧陵)]]
: 江戸で醤油工場(現[[ヤマサ醤油]])を経営する実業家。緒方洪庵の遺志を継ぎ、醤油倉を使って醤油職人にペニシリン精製をさせるなど、仁に協力する。
; [[澤村田之助 (3代目)|澤村田之助]]
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: 雲泉の娘。仁の執刀で父が立ち直ったため、近所の足袋屋に嫁いだ。その後懐妊するが、[[骨盤位|逆子]]であったため[[帝王切開]]で出産。
; お駒(おこま)
: [[日本堤|浅草田町]]の町娘。巾着切り([[スリ]])でもあった。銭湯での喧嘩で後頭部を負傷した際に治療を受ける。同時に右手人差指の腱が切れていたことが後に判明するが、仁の治療を受けることで完治した。後にスリを再開するが、咲の優しさに触れて改心する。[[テトロドトキシン|フグ中毒]]を救ったのを機に千吉の思いを受け入れ、祝言を挙げた。手術衣や用具の縫製で仁に貢献する。
; 鎌田(かまた)
: 浅草田町の自身番小屋に出入りする[[岡っ引き]]。痘痕だらけの面構えがカエルを連想するのか「ガマの親分」と呼ばれている。かつてお駒の父がスリで捕まった際に口利きを条件に手篭めにした卑劣漢。
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; [[松本良順]]
: 西洋医学所頭取助→医学所頭取→陸軍[[軍医総監]]。
: 緒方洪庵の遺志を継ぎ、仁に協力。奥医師になることをすすめる。慶応4年(1868年)閏4月、旧幕府軍と合流する為江戸を離れる。
; 福田玄孝
: [[奥医師]](漢方医)。[[胃潰瘍]]で倒れるが、仁の手術で一命を取り留める。のち、奥医師を辞して仁友堂の漢方内科医(当時は「本道」と呼ばれた)となる。多紀元琰(えん)に内情を伝えるスパイでもあるが仁の能力と人格を高く評価しており、後に多紀から仁を医学館側に取り込もうとする策を知らされて喜び、全面的な協力を誓う。
; [[多紀安琢|多紀元琰(えん)]]
: 奥医師(漢方医)。[[医学館]]督事。仁の手術を目の当たりにしたことで、彼の持つ近代医療に驚愕し危険視するも、仁の存在が漢方医だけでなく当時の蘭方医の脅威になると感じ(実際にほぼ同時期に仁に対する妨害が始まっていた)、福田をスパイとして仁友堂に送った。
: 福田から得た情報により、仁の医学がはるか未来の発達したものであることを感じ取った多紀は、医学館が次の時代に適応・延命できるよう、仁とのさらなる接近を模索。そんな折、和宮毒殺未遂騒動の容疑者となった仁の無実を証明し、貸しを作った。大の相撲好きとして知られ、仁を相撲見物に誘っている。
: 鳥羽・伏見の合戦後、多くの傷病兵が出た際には外科治療技術の習得も進んで修めようとする器の大きさを示した。
; 佐分利祐輔
: 大坂の[[春林軒|合水堂]]で医学を学んだ[[華岡青洲|華岡]]流の若き医師。[[紀伊国|紀州]]の出身。経験を積むために行っていた[[売春婦|総嫁]]の検診が悪評を呼んでしまい、軍艦の船医に転ずる。ほどなく、事故による[[気胸]]を仁に救われたのが縁で仁友堂に移籍。過去の経験を活かして仁に代わって野風を診察し彼女が乳癌であることを見抜いた。[[全身麻酔]]の技術で仁に貢献する。
; 三隅俊斉
: さる[[御家門]]の[[藩医]](蘭方医)。[[適塾]]出身で、医学所の序列も高い(松本良順に留守を頼まれるほど)。野風の癌を見抜けず、仁によって面目を潰されたことを恨んでいる。仁に対して表面上協力的な態度を取っているが、裏では仁の暗殺を企てたり、和宮毒殺未遂騒動などの妨害活動を繰り返している。外見は柔和だが、共犯者を[[ヒ素|砒素]]で自殺に追い込んだり毒殺するなどの卑劣さを持つ。やがて仁の正体を知った彼は、その知識の独占と派閥の利権の恒久化を謀り仁の殺害を本格化する。
; [[楠本イネ|楠本いね]]
: [[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]の娘。またの名を伊篤(いとく)。日本初の西洋女医で、専門は[[産科学|産科]]。ペニシリンの講義を聴講に来た際にお志津の出産に遭遇、産科経験の無い仁の助手を務めた。
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; 東修介
: [[長州藩]]の若き武士。[[禁門の変]]で負傷し、仁の治療を受ける。回復後は神戸海軍操練所に入るが、閉鎖後は龍馬の誘いを断り、長州へと帰った。多くの仲間を殺されたことから[[沖田総司]]を恨んでおり、[[近江屋事件]]では薩長の討幕派に協力して龍馬の避難先を襲い、彼と共にいた沖田を襲撃するが、沖田を庇って威嚇した龍馬を咄嗟に斬ってしまう。この一撃で龍馬は瀕死の重傷を負う。
: 半ば事故だったとはいえ龍馬を斬ってしまったことに苦悩するが、証拠隠滅の為に同志であった長州からも狙われることになる。
: ドラマ版では、沖田が登場しないため、兄がシーズン1で龍馬を襲撃し、返り討ちにあっていたという設定になった。恭太郎から斬られかけた龍馬を半ば事故で斬ってしまい、「兄の敵を討った」として自刃。劇中で西郷は倒幕・幕府側のいずれかが龍馬を暗殺した、ということにしないためであろうと推測している。
; [[三浦啓之助]]
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; [[沖田総司]]
: 新選組の隊士。禁門の変で敗走した長州兵を追って来た際に仁と面識を持つようになる。向かってきた敵を躊躇無く斬れるが、負傷した猫のために車椅子を考案するなど少年らしい一面も見せている。
: 肺病の食餌療法(獣肉食)を仁に勧められて実践した<ref>史実でも松本良順に勧められ、新撰組は屯所で豚を飼うことになるが、作中では触れられていない。</ref>一時は回復傾向にあったが、結局は史実通りに死去。
; [[近藤勇]]
: 新選組の局長。沖田からの報告により仁を呼び出すが、医者として患者の元へ戻りたいという仁の意志に感服する。松本良順と親交がある。
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: [[川越藩]]主[[松平直克]]正室。首筋に大きな瘤を患い、幕府筋から仁に手術が依頼されたものの、当人はそれまでの治療が功を奏さなかったことから医者不信に陥っていた。咲の説得によって頑なになっていた心を動かされ、仁の手術を受けることを決意。手術は無事成功した。
; [[田中久重]]
: 「からくり儀右衛門」の異名を持つ[[久留米藩]]出身の老技術者(後の「[[東芝]]」創設者)。彼が発明した無尽灯は術野を照らす照明として役立った。長崎で仁と出会い、未来から持ち込まれた[[LED]]電球を託され、原理は解明できなかったが電池をつないで照らすことに成功する。
; [[南方熊楠]]
: 佐分利の故郷・紀州で仁と出会った赤ん坊。仁と同姓だが、血縁の有無については不明。手が触れ合った際、お初の時と同様の奇妙な感覚に襲われた。
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}}</ref>。初回2時間5分スペシャルで放送(21:00 - 23:03)。第四話と第六話は5分拡大(21:00 - 21:59)。第十話は10分拡大(21:00 - 22:04)。最終話は54分拡大(21:00 - 22:48)。
 
TBS[[開局記念番組|開局60周年記念番組]]として放送<ref>ただし、ここでいう60周年とは[[TBSテレビ]]ではなく[[TBSラジオ&コミュニケーションズ]](開局当時の名称はラジオ東京)の開局から60周年を指す。</ref>、放送前ながら既に南米以外のほぼ全世界にあたる世界80国での放送が決定しており、日本での放送6日後に台湾、5月に香港、7月以降には韓国、ヨーロッパ、北米にて順次放送予定<ref>{{Cite news|title=『JIN-仁-』最新作、世界80ヶ国で放送決定~放送前の契約成立は開局史上初|publisher=ORICON STYLE|date=2011-04-13|url=http://www.oricon.co.jp/news/confidence/86563/full/|accessdate=2011-04-13}}</ref>。
 
キャッチコピーは「'''先生、未来の江戸も美しき街ですか?'''」。
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* 現代の医療器具に近い物がこの時代の技術で製作できるかどうかスタッフが時代考証の山田順子に相談した結果、「注射針は腕のいい職人であれば製作可能、チューブなどは太いものであれば作れないことはない」とのアドバイスを受け劇中に登場させた。
* この作品(第一期)で、[[東芝]]が7年ぶり、「日曜劇場」に改名後初の提供復帰した。
* 第二期完結編とのコラボレーションフェアとして[[セブン-イレブン]]で劇中に登場した食べ物をモチーフとした食品が発売され、700円購入者へのプレゼント企画などのキャンペーンが展開された<ref>{{Cite news|publisher=お知らせ|TBSテレビ:日曜劇場「JIN -仁-」TBS開局60周年記念|date=2011年5月11日|url=http://www.tbs.co.jp/jin-final/info/|title=『JIN -仁-』とセブン-イレブンのコラボフェア開催決定!!}}</ref>。中でもその商品の一つである[[あんドーナツ|安道名津]]は2011年[[5月24日]]の発売から3日間で60万個を売り上げた<ref>『[[スポーツニッポン]]』2011年5月27日付</ref>。
 
=== 受賞 ===