「終身定期金」の版間の差分

'''終身定期金'''（しゅうしんていききん）とは、[[契約|典型契約]]の一類型。自己、相手方または[[第三者]]が[[死亡]]するまでの期間、定期に一定の[[金銭]]その他の物を相手方または第三者に給付し続けることを内容とする契約である。[[日本]]の[[民法 (日本)|民法]]では[[典型契約]]の一種とされる（[[b:民法第689条|民法689条]]）。終身定期金契約の法的性質は'''[[諾成契約''']]であり、対価性の有無によって'''[[有償契約]]・[[無償契約''']]あるいは'''[[双務契約]]・[[片務契約''']]の性質が定まる。

[[日本]]の[[民法 (日本)|民法]]では[[b:民法第689条|689条]]から[[b:民法第694条|694条]]までに規定がある。このような規定の立法の背景としては、民法の立法当時において、起草者は将来的に[[個人主義]]風潮が強まって、このような契約による生涯保障が行われることが多くなると予想していたためとされる<ref>内田貴著　『民法Ⅱ 第3版 債権各論』　東京大学出版会、2011年2月、316頁</ref>。[[欧米]]では[[農村]]の農業経営者の親子間で慣習的にこのような契約が結ばれることがある<ref>川井健著　『民法概論4 債権各論 補訂版』　有斐閣、2010年12月</ref>。しかし、日本ではこのような契約が用いられることはほとんどなく、過去から現在までこのような[[慣習]]が定着したことはない。現代においては[[社会保障]]の充実が図られ、[[公的年金]]制度（[[国民年金]]・[[厚生年金]]・[[共済年金|共済組合年金]]）や[[私的年金]]、[[企業年金]]がその役割を果たしているためであり、また、私的年金については[[特別法]]や[[約款]]で内容が定められるため民法の規定の適用の余地はないとされる<ref>内田貴著　『民法Ⅱ 第3版 債権各論』　東京大学出版会、2011年2月、316頁</ref>。その結果、民法の終身定期金について定めた規定はほとんど存在意義を失っているとされる<ref>内田貴著　『民法Ⅱ 第3版 債権各論』　東京大学出版会、2011年2月、316頁</ref>。