「フォトマスク」の版間の差分

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フォトマスクやレチクルはステッパ等で扱われる間に埃などが表面に付くと不良の原因となるので、ペリクルと呼ばれる透明な膜がペリクルフレームに支持されて6.3mmの高さで表面上に張り渡される。この距離によって埃がペリクル上にあっても焦点からは遠く光線は結像に影響せずにすむ。これでフォトマスク、又はレチクルが完成する。
 
半導体製造工程では[[ステッパー]]によりウェハ上を移動しながら順次露光され、碁盤目状に多数の素子のパターンが転写される。ダイの大きさに応じて、2×2や3×3個分のパターンをマスク上に描画しておき、1回の露光で転写できる素子数を増やすことで生産性を向上させることも行なわれる。露光は1990年ごろまでは1:1サイズであったが、回路の微細化によって直線寸法で4-5倍の大きさで作られたフォトマスクで縮小露光されるものが現れた。先端の半導体製造現場ではこれらは特に'''レチクル'''と呼ばれ等倍のフォトマスクとは区別される<ref group="出典" name = "半導体LSIのできるまで">半導体LSIができるまで編集委員会編著 『半導体LSIのできるまで』 日刊工業新聞社、2001年12月5日初版1刷発行、ISBN 4-526-04856-9</ref>
露光は1990年ごろまでは1:1サイズであったが、回路の微細化によって直線寸法で4-5倍の大きさで作られたフォトマスクで縮小露光されるものが現れた。先端の半導体製造現場ではこれらは特に'''レチクル'''と呼ばれ等倍のフォトマスクとは区別される<ref group="出典" name = "半導体LSIのできるまで">半導体LSIができるまで編集委員会編著 『半導体LSIのできるまで』 日刊工業新聞社、2001年12月5日初版1刷発行、ISBN 4-526-04856-9</ref>。
 
単に露光光が透過の有無の2値のみのマスクをバイナリマスク、又はバイナリレチクルと呼ぶ。これに対して、不透過部にも若干(数%程度)の透過率を与え、透過部との[[干渉]]を利用して[[解像度]]を向上させようとしたものをハーフトーンマスク、又はハーフレチクルと呼ぶ。主に光の位相差を利用して解像度向上を図ることから、フェーズシフトマスク、又はフェーズシフトレチクルと呼ばれることもある。
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光学的な解像度の限界を越えて求められる微細な半導体製造用の高精細なフォトマスクやレチクルでは、以下のような特別な工夫が行なわれている<ref>20世紀末までは、紫外線による波長の限界によって半導体回路の微細化が21世紀に入るとすぐに限界を迎えて、X線露光装置というさらに大掛かりな装置の導入が求められたために、[[ムーアの法則]]で語られる半導体能力の向上速度は守られないという声が多くなっていた。</ref>。
 
:; 位相シフト
: 位相シフタによって位相の変わった光線と位相シフタを通過していない光線とを干渉させることで、通常では得られない光線波長以上の解像度を作り出す技術である。
:; OPC
: オプティカル・プロキシミティ・コレクション(Optical Proximity Correction)とは解像度の不足によって例えばパターンの鋭角部分が丸くなまるなどの変化をあらかじめ考慮して、角に突起を付加しておくなどの元画像に修正を加えておく技術である。
 
=== フラットパネルディスプレイ用 ===
フラットパネルディスプレイ用でもフォトマスクは、製造しようとする素子の各積層ごとや加工処理ごとに1枚ずつ必要となる。そのため、ディスプレイ素子の構造が複雑になればそれだけフォトマスクの枚数は増加する。現在最も一般的なフラットパネルディスプレイである液晶ディスプレイでは、それぞれ機能を造り込まれた2枚のガラスに[[液晶]]を挟み込むことによって形成されているが、画素のON/OFFを司るTFT (Thin Film Transistor) 基板では3から6枚、画素の色をコントロールするカラーフィルタ基板では4から7枚のフォトマスクが用いられる。
 
半導体用と異なり、ほとんどの工程では等倍露光が用いられる。ただし、低温ポリシリコン液晶のTFTなど一部の工程では拡大、縮小露光も用いられている。露光方法としては、フォトマスクの像をレンズないしプロジェクションミラーによって転写するプロジェクション方式、及び光学系を使わず、フォトマスクと被転写基板を数十~数百ミクロンの間隔で近接させて転写するプロキシミティ方式の両方が用いられる。前者は解像度、転写像の忠実性に優れ主にTFT基板加工用に用いられ、後者はコスト、及びタクトタイムに優れ、比較パターンの大きいカラーフィルタ基板で主に用いられる。ただし、TFT基板でプロキシミティ方式を用いたり、カラーフィルタ基板でプロジェクション方式を用いるケースも見られる。
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=== プリント基板用 ===
プリント基板では半導体用途のような高度に微細な加工は求められず、また、各層では銅層を除去、又は積層するだけの単純なプロセスであるため、フォトマスクは簡単であり枚数も少ない。スルーホールはドリルで空けることが多いが、パターン、ビア(バイアホール)などの導通加工処理はフォトマスクを使ったプロセスが使われる。マザーボード用途とは異なり、主にパターンが微細な小型のプリント基板、LSIパッケージ、ベアチップなどを搭載するインターポーザ(サブストレート)などの製造に用いられる
スルーホールはドリルで空けることが多いが、パターン、ビア(バイアホール)などの導通加工処理はフォトマスクを使ったプロセスが使われる。
マザーボード用途とは異なり、主にパターンが微細な小型のプリント基板、LSIパッケージ、ベアチップなどを搭載するインターポーザ(サブストレート)などの製造に用いられる。
 
== 問題点 ==
=== 半導体用 ===
==== 微細化と価格の高騰 ====
半導体の微細化に伴い、フォトマスク作成の技術も高い精度が求められコストも増大している。1つの半導体チップを作るには、各層ごとのレチクルが合計で数十枚ほど求められ、2004年では、0.18umプロセスのマスクセットを製造するのに約3,200万円、0.13umで約8,000万円、90nmで1億8,000万円にもなると云われていた[1]。2008年現在の1セットのレチクル価格は65nm世代で約1億円とされ、世代交代されつある45nm世代で約2億円、32nm世代で約4億円に増大するとされる<ref group="出典" name = "フォトマスク"/>。1990年代の0.5umのマスクセットで数百万円オーダーだったのに比べ、指数関数的に増大している。
半導体の微細化に伴い、フォトマスク作成の技術も高い精度が求められコストも増大している。
1つの半導体チップを作るには、各層ごとのレチクルが合計で数十枚ほど求められ、2004年では、0.18umプロセスのマスクセットを製造するのに約3,200万円、0.13umで約8,000万円、90nmで1億8,000万円にもなると云われていた[1]。2008年現在の1セットのレチクル価格は65nm世代で約1億円とされ、世代交代されつある45nm世代で約2億円、32nm世代で約4億円に増大するとされる<ref group="出典" name = "フォトマスク"/>。1990年代の0.5umのマスクセットで数百万円オーダーだったのに比べ、指数関数的に増大している。
 
試作時のフォトマスクのコスト増を回避するために、1セットのマスクセットに、複数の試作チップを載せてコストを分担する。1ショットに複数の異なるチップが転写されるため、周期的な模様からピザマスクと呼ばれる。複数のプロジェクトで乗り合いの形になるため、期日が限定されているシャトルウエハという形態をとるが、プロセス調整の自由は失われる。
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* [[東洋精密工業株式会社]]
 
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=== 出典注記 ===
<small><references /></small>
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
== 出典 ==
=== 出典 ===
<small><references group="出典" /></small>
 
== 参考文献 == <!-- {{Cite book}} --> <!-- {{Cite journal}} -->
{{節stub}}
 
== 関連項目 ==
<!-- {{Commonscat|Photomask}} -->
* [[フォトリソグラフィ]]
* [[電子線描画装置]]
 
== 外部リンク == <!-- {{Cite web}} -->
#* http://www.cqpub.co.jp/interface/column/tony/2004/200405.htm
 
{{tech-stub}}
 
[[Category:半導体製造|ふおとますく]]
{{デフォルトソート:ふおとますく}}
[[Category:半導体製造|ふおとますく]]
 
[[de:Fotomaske]]